最近、「カプシEXがどこにも売ってない」「通販でも在庫がない」という声が増えています。発売当初は“安静時のエネルギー消費をサポート”というユニークな訴求で注目を集めたカプシEXですが、いつの間にか姿を消してしまったようです。この記事では、カプシEXの販売終了の背景やメーカー側の動き、考えられる要因をわかりやすく整理して紹介します。
カプシEXとはどんな商品だったのか
まずは、カプシEXがどんな製品だったのかをおさらいしておきましょう。
カプシEXは、味の素株式会社が2017年に発売した機能性表示食品です。辛くないトウガラシ由来の成分「ジヒドロカプシエイト（Dihydrocapsiate）」を配合し、「BMIが高めの人の日常のエネルギー代謝の一部である安静時のエネルギー消費をサポートする」機能を持つとされていました。
つまり、運動をしなくても“じっとしている時のエネルギー消費”を少しでも高めることを狙ったサプリメントだったのです。
味の素は長年アミノ酸研究を進めており、その延長線上でこの「辛くない唐辛子由来成分」に注目したことが背景にあります。
発売当時は、基礎代謝の低下を気にする人や、ダイエット中に“代謝サポート”を求める層から一定の注目を集めました。
メーカー公式の販売終了情報
味の素公式サイト内の「販売終了商品のお知らせ」には、2024年8月をもっていくつかの健康食品が販売終了となる旨が掲載されています。その一覧の中に、カプシEXも含まれていると見られます。
また、味の素ダイレクトなどの通販サイトでも、カプシEXの商品ページが非公開・在庫終了の状態となっており、一般的なオンラインストアでも「在庫なし」「販売終了」と表示されています。公式に明確な理由は公表されていませんが、メーカーとしては生産・出荷を終了したと考えられます。
なぜカプシEXは販売終了になったのか
カプシEXの終了理由は公式に明言されていないものの、いくつかの要因が重なった可能性が高いです。ここでは主な背景を推測しながら解説します。
1. 市場競争の激化と需要の変化
機能性表示食品やサプリメント市場は、2015年の制度開始以降に急拡大しました。その結果、「脂肪燃焼」「代謝サポート」「ダイエット補助」といったテーマの商品が次々に登場し、競争が非常に激しくなっています。
特に、代謝サポート系のサプリは“運動前に飲むタイプ”“カフェインやブラックジンジャーを使うタイプ”など、多彩な選択肢が増えました。その中で、カプシEXが打ち出していた「安静時の代謝サポート」というテーマは、消費者にとって効果が感じにくく、他製品に埋もれてしまった可能性があります。
2. 原料調達や製造コストの課題
カプシEXの主成分「ジヒドロカプシエイト」は、辛くない唐辛子「CH-19甘」から抽出される非常に特殊な成分です。この原料を安定的に供給するには特別な栽培や抽出工程が必要であり、製造コストが高いと考えられます。
さらに、機能性表示食品は、科学的根拠の維持や安全性試験、品質管理などに継続的なコストがかかります。こうした負担が重なったことで、採算が取りづらくなった可能性もあります。
3. 消費者の実感とリピート率の問題
健康食品において“効果の実感”はリピート購入の大きなカギです。カプシEXの場合、「座っている時も燃焼をサポート」という機能性はユニークでしたが、実際に体感として分かりにくいという声もありました。
ネット上では「飲んでも変化を感じにくかった」「効果がわからないまま終わった」というレビューも見られます。こうした消費者の反応が広がると、継続購入率が下がり、商品寿命が短くなる傾向があります。
4. 機能性表示食品制度の運用・コスト増加
機能性表示食品は、事業者が科学的根拠を自ら提出し、安全性・品質を維持する義務を負います。この制度が年々厳格化し、届出の更新や表示内容の管理コストも増加傾向にあります。
味の素のように多数の健康食品を展開する企業にとって、製品ごとの管理コストが増えることは大きな負担です。カプシEXは販売規模が限られていたため、コスト対効果の面で継続が難しくなったと考えられます。
5. ブランド戦略の見直しと事業再編
味の素は現在、健康・栄養領域で「アミノバイタル プロ」シリーズを中核ブランドとして強化しています。
実際、同社の販売終了リストでは、カプシEXの代替品として「アミノバイタル カプシ」が挙げられています。
このことから、企業全体のブランド戦略の中で、カプシEXを整理し、より統一感のあるラインナップへと集約したと考えられます。
つまり、事業撤退ではなく「ブランド統合」「商品ラインの再編成」による終了とみることもできるのです。
今後の再販や代替商品の可能性
現時点で、カプシEXの再販情報やリニューアル発表は確認されていません。しかし、2025年以降に「新たな代謝サポート商品」が登場する可能性もあります。
味の素は引き続き“体内エネルギー代謝”に関する研究を進めており、カプシEXで培った知見を新製品に活かすことは十分あり得ます。
また、類似成分を使った他社製品や、同社の「アミノバイタル カプシ」なども、代替候補として検討できるでしょう。
まとめ：カプシEX販売終了の背景を読み解く
カプシEXが販売終了となった背景には、次のような要因が複合的に関係していると考えられます。
- 代謝系サプリ市場の競争激化と需要の変化
- 特殊原料による製造コストと採算性の問題
- 効果実感の難しさによるリピート率の低下
- 機能性表示食品制度に伴うコスト・管理負担
- 味の素の事業戦略転換によるブランド整理
これらの要因が重なり、同社はカプシEXの生産・販売を終了したとみられます。とはいえ、これは同社の健康食品事業の縮小を意味するものではなく、より競争力のあるブランドへ集中するための判断といえるでしょう。
もし今後「再登場」や「リニューアル版」が出るとすれば、それはカプシEXの研究成果が新たな形で活かされた製品として戻ってくる時かもしれません。
安静時のエネルギー代謝をサポートするという発想自体は今も魅力的です。今後も味の素の研究開発動向に注目していきましょう。
