「クロネコヤマトの梅干し、最近見かけないな」と感じた人は多いのではないでしょうか。かつてヤマト運輸の営業所や通販サイトで販売されていたあの梅干し。長年親しまれてきた味が突然姿を消したことで、「販売終了?」「もう買えないの?」と話題になりました。この記事では、クロネコヤマト梅干しがなぜ販売終了になったのか、その背景や今後の展開について詳しく解説します。
クロネコヤマトの梅干しとは?人気の理由をおさらい
まずは「クロネコヤマトの梅干し」がどんな商品だったのかを振り返りましょう。
この梅干しは、ヤマト運輸が取り扱っていたオリジナル商品で、「いつもの梅」や「やまとの梅」という名前で販売されていました。和歌山県産の南高梅を使用し、塩分は約7%。保存料や合成着色料を使わず、自然な酸味とまろやかさが特徴でした。特に北海道を中心に人気が高く、「ヤマトの営業所で梅干しを買う」というユニークな購買体験も話題に。配送会社のイメージからは意外な「食品販売」だったこともあり、贈答品やお取り寄せとしても好評を得ていました。
「いつもの梅」は家庭用にちょうど良いサイズ感で、「やまとの梅」は大粒の高級タイプ。どちらもご飯やおにぎりのお供として定番の存在でした。
販売終了の真相:ヤマト運輸の物販事業が終了していた
では、なぜこの人気商品が販売終了になってしまったのでしょうか。
最も大きな理由は、ヤマト運輸が自社で行っていた「物販・通販事業」の終了です。ヤマト運輸では、かつて「得選市場」や「デリバリー・プラス」といったサービス名で、食品や日用品を販売していました。その一環として取り扱われていたのが、この梅干し商品。しかし、2021年8月31日をもって物販事業が終了し、それに伴って梅干しの販売も停止となりました。
ヤマト運輸の公式アナウンスでは、明確な「販売終了理由」は公開されていません。ただし、物流事業への集中やコロナ禍以降の事業再編などが影響したとみられています。近年、ヤマト運輸は「宅急便」や「EC配送」にリソースを集中させており、物販部門は採算面で見直しが進んでいました。つまり、梅干し販売の終了は「事業整理の一環」だったと考えられます。
原料確保の困難も一因?梅の大不作と雹被害の影響
販売終了の背景には、梅そのものの生産状況も関係しているようです。2021年から2024年にかけて、和歌山県を中心に全国的な梅の不作が続いており、特に2024年は3月末に大規模な雹被害が発生しました。これにより、南高梅の多くが傷つき、出荷量が激減。原料価格も上昇しています。
梅干し製造会社の多くが影響を受ける中、ヤマト運輸が委託していた製造元も例外ではありませんでした。原料確保の難しさやコスト上昇が続いたことで、従来の価格・品質を維持した販売が難しくなったとみられます。
その後、製造を引き継いだ事業者も「内容量を減らす」などの対応を余儀なくされており、原料供給の厳しさが長期化していることがうかがえます。
実は販売継続中?引き継ぎ先「いーうめ本舗」の存在
「もう二度と買えないの?」と嘆く声も多い中、朗報があります。クロネコヤマト梅干しの味とブランドを引き継いでいる会社が存在します。それが、株式会社イークラフトマンが運営する「いーうめ本舗」です。
この会社は、ヤマト運輸での販売終了後、2021年10月1日から「いつもの梅」「やまとの梅」の販売を引き継ぎました。公式サイトや通販ページでは、従来の味わいを継承しつつ、パッケージデザインをリニューアルして販売を継続しています。
つまり、「クロネコヤマトの梅干し」は名前こそ変わったものの、実質的には同じ商品が引き続き購入できるというわけです。ブランドの歴史もそのまま受け継がれ、「北海道で30年以上愛されてきた梅干し」として紹介されています。
現在は「いーうめ本舗」の通販サイトや、提携するECモール(Amazon・楽天市場など)で購入が可能です。
味や品質は変わった?リニューアル後の違い
引き継ぎ後の「いつもの梅」「やまとの梅」は、味の方向性や製造方針は従来とほぼ同じです。ただし、梅の不作や雹被害などの影響により、一部規格が見直されています。
具体的には、内容量が「400g→300g」「800g→600g」に変更されるなど、やや少量化。また、価格も原料調達コストの上昇により以前より若干高くなっています。とはいえ、塩分7%・保存料不使用・南高梅使用という基本仕様は変わっておらず、「あの懐かしい味が戻ってきた」とリピーターからも評価されています。
パッケージは「クロネコヤマト」ロゴが外れた新デザインに変わっていますが、味の方向性や品質は維持されています。製造元や販売体制が変わっても、ファンの声を大切にして再販を実現した形です。
販売終了と再販に見る「ブランド継承の成功例」
今回のケースは、単なる「販売終了」ではなく、「ブランド継承の成功例」と言えるでしょう。ヤマト運輸という大企業が手を引いた後も、商品そのものが他社の手によって生き続ける――これは珍しいパターンです。
クロネコヤマト梅干しの場合、単なるロゴやパッケージの話ではなく、長年のファンが支えた「味」と「信頼」が継承の原動力になりました。製造を担っていた企業が独立的にブランドを維持したことで、消費者も安心して購入を続けられる環境が整いました。
このように、「販売終了=消滅」ではなく、「形を変えて存続」する例は食品業界でも増えています。背景には、顧客の記憶と口コミがブランドの価値を保ち続けていることが挙げられます。
今後の展開と購入方法
2024年以降も、「いーうめ本舗」を中心に「いつもの梅」「やまとの梅」の販売は継続されています。ただし、梅の収穫状況により内容量や価格が変更される可能性があります。最新情報は公式サイトやプレスリリースで随時更新されています。
購入方法は主に以下の通りです。
- 「いーうめ本舗」公式通販サイト
- Amazon・楽天市場などのECモール(販売元が株式会社イークラフトマンであることを確認)
- 一部のギフト専門サイト(美味北彩など)
なお、「クロネコヤマト営業所」や「ヤマトの得選市場」など、旧来の購入ルートでは現在取り扱いがありません。もし店頭で見かけた場合は、旧在庫や他社の類似商品である可能性が高いため注意が必要です。
クロネコヤマト梅干しが販売終了?なぜ消えたのか理由と今後の展開【まとめ】
クロネコヤマト梅干しは、ヤマト運輸の物販事業終了に伴い2021年8月末で販売を終了しました。しかし、商品の製造・販売は「いーうめ本舗」が引き継ぎ、現在も「いつもの梅」「やまとの梅」として継続販売されています。背景には物流事業の再編、原料の不作、事業譲渡といった複合的な理由があります。
かつての「クロネコ梅干し」を懐かしむ人も、今は新しい形であの味に再会することが可能です。時代や販売者は変わっても、愛され続ける味と品質はそのまま。これからも「やまとの梅」は、長年のファンに寄り添いながら、静かに食卓を彩り続けていくでしょう。
