「えっ、もう売ってないの?」
スーパーやコンビニのお菓子棚を見て、そう感じた人も多いのではないでしょうか。かつて人気を集めた「ビスコ焼きショコラ」。あの濃厚で香ばしい味わいをもう一度味わいたいという声が、SNSでも多く見られます。
この記事では、なぜビスコ焼きショコラが販売終了になったのか、そして再販・復活の可能性はあるのかを、グリコのブランド戦略や市場の動向を踏まえて解説します。
ビスコ焼きショコラとは?大人向けに誕生した“特別なビスコ”
「ビスコ焼きショコラ」は、2018年に江崎グリコから発売された“ビスコの大人向けシリーズ”の一つ。従来のやさしいクリームサンドではなく、カカオの香りとほろ苦さを生かしたビスケットで、濃厚なショコラ味に仕上げられていました。
ガーナ産カカオマスを使用した深い味わいと、しっとり香ばしい焼き上げが特徴で、まるで小さなチョコレート菓子のよう。発売当初は「仕事の合間に癒される」「子どもが寝たあとにこっそり食べたい」といった口コミが多く、特に30代〜40代の女性層から支持を集めました。
一方で、ビスコといえば1933年の誕生以来、子ども向けの“栄養ビスケット”として親しまれてきたブランドです。そんなビスコが“おとなの嗜好”を意識して発売した焼きショコラは、シリーズの中でも異色の存在でした。
ビスコ焼きショコラが販売終了になった背景
では、なぜそんな人気商品が突然店頭から姿を消したのでしょうか。公式に明確な発表はありませんが、グリコのブランド戦略や業界動向から、その背景を読み解くことができます。
1. 子ども向けブランドへの原点回帰
グリコは近年、ビスコブランドの「原点」に立ち返る戦略を強化しています。
PRESIDENT Onlineの取材では、「売上が好調だった“大人ビスコ”をあえて見直し、子ども市場に再び注力する方針をとった」と紹介されています。
これは、一時的な流行ではなく“世代を超えて愛されるブランド”を育てるための長期戦略。ビスコが持つ“成長期を支える栄養菓子”という立ち位置を再強調する動きの中で、大人向けラインは整理対象となった可能性が高いです。
つまり、ビスコ焼きショコラは“成功していたけれど終了した商品”の代表例といえるでしょう。
2. 商品ラインナップの整理とコスト見直し
菓子業界全体で原材料価格が高騰していることも無視できません。
カカオ価格の上昇、包装資材や物流費の増加などにより、チョコ系ビスケットは特にコストがかさみやすいカテゴリです。
ビスコ焼きショコラは通常のビスコよりも原材料にこだわっており、製造コストも高かったと考えられます。そのため、ブランド全体の安定供給や生産効率を優先し、“定番ビスコへの集中”という判断がなされた可能性があります。
3. 市場競争の激化
2018年前後は「大人のスイーツ菓子」ブームの真っただ中。
森永の「小枝〈大人の濃厚ミルク〉」やロッテの「カカオの恵み」など、プレミアムチョコ系ビスケットが多数登場していました。
その中で、ビスコ焼きショコラが独自のポジションを維持し続けるのは容易ではなかったはずです。競争の激化により、販売チャネルや棚の確保が難しくなり、販売終了に追い込まれたという見方もあります。
4. ブランド刷新による世代交代
ビスコは2020年代に入り、パッケージデザインや製法をリニューアルし続けています。
「発酵バター仕立て」「アーモンドミルククリーム」「低糖質タイプ」など、新しいテーマの商品が続々登場し、ブランドイメージを時代に合わせて更新しているのです。
その流れの中で、ビスコ焼きショコラは役割を終え、新世代ビスコへの橋渡し的存在になったとも言えます。
販売終了の時期と現在の流通状況
ビスコ焼きショコラが公式に終売と発表された時期は明示されていません。
ただ、2024年ごろから店頭での目撃情報が減少し、2025年現在では公式サイトの商品一覧にも掲載がなくなっています。
一部通販サイトでは「在庫限り」「終売品」と明記して販売されているケースがあり、再生産は行われていないようです。中古販売やフリマアプリでの出品もありますが、賞味期限や保管状態には注意が必要です。
つまり、現在の「ビスコ焼きショコラ」は、実質的に販売終了・在庫のみの状態と考えられます。
消費者の反応と惜しむ声
SNSでは、「あのほろ苦さが忘れられない」「仕事の合間のお供だったのに」といった声が多数投稿されています。
中には「子どものおやつに買っていたのに、いつのまにか見かけなくなった」というユーザーも。
こうした“惜しむ声”がある商品は、一定の再販需要があるともいえます。実際、過去にはグリコが「期間限定復刻」や「地域限定再販」を行った例もあるため、ビスコ焼きショコラにも復活の余地は残されています。
復活・再販の可能性はある?
現時点で、グリコ公式からビスコ焼きショコラ再販の発表はありません。
しかし、過去の事例をみると、人気のあった限定フレーバーやシリーズは数年後に“復刻版”として再登場するケースがあります。
例えば、かつて終了した「カフェオレ味」や「発酵バター仕立て」も、数年後に限定復活したことがありました。
グリコはファンの声を商品開発に生かす傾向があるため、SNSなどでの要望が増えれば再販の可能性は十分にあります。
また、バレンタインや秋冬限定のチョコレート需要期に合わせた“期間限定再発売”も考えられるでしょう。
ビスコ焼きショコラの代わりに楽しめる商品
「もうあの味は食べられないの?」と寂しく感じている人には、代わりに試せる商品もあります。
- ビスコ〈発酵バター仕立て〉
コクのある風味が特徴で、焼きショコラに近い満足感があります。 - ビスコ〈大人のアーモンドミルク〉
やさしい甘さと香ばしさがあり、ヘルシー志向の人にもおすすめ。 - 他社のチョコビスケット系菓子
「アルフォート」「小枝〈大人の濃厚ミルク〉」「チョコリエール」など、チョコを感じられる軽い食感のビスケットも代替に向いています。
いずれも、ビスコ焼きショコラの“香ばしさと甘さのバランス”に近い味わいを持っており、懐かしさを感じられるでしょう。
ビスコ焼きショコラが販売終了の理由は?まとめと今後への期待
ここまで見てきたように、ビスコ焼きショコラが販売終了した理由は単なる“売れなかった”ではありません。
むしろ、ブランドの方向性を再定義する中で「子ども向けブランドへの原点回帰」「商品ライン整理」「コストと流通の最適化」といった、戦略的な理由によるものと考えられます。
とはいえ、その人気と記憶は今も多くのファンの中に残っています。
グリコが再び“おとなビスコ”の需要を感じ取ったとき、ビスコ焼きショコラの復活は決して夢ではないでしょう。
ビスコ焼きショコラが教えてくれたのは、ただのお菓子以上の“ブランドの挑戦”だったのかもしれません。
次に登場する新しいビスコシリーズにも、ぜひ注目していきたいですね。
