突然ですが、「アキュビュースマート調光」というコンタクトレンズをご存じでしょうか。光に合わせて色が変わる“調光コンタクト”として話題を集めた、ちょっと未来的なアイテムです。しかし、そんなユニークなレンズが2024年に販売終了となり、いまでは入手が難しくなっているのです。この記事では、販売終了の背景や入手状況、そして代替品・後継モデルの現状を詳しく解説していきます。
アキュビュー スマート調光とは？光に反応する2週間コンタクト
アキュビュー スマート調光（正式名称：アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光）は、ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発した2週間交換タイプのソフトコンタクトレンズです。
最大の特徴は、「光に応じてレンズの色が変わる」こと。屋外ではほんのりグレーに変化して眩しさをやわらげ、屋内に入ると透明に戻るという、まるで調光サングラスのような仕組みを持っています。
紫外線や高輝度の光を自動で調整し、目の負担を減らすことを目的に開発されたこのレンズは、発売当初から「メガネ＋サングラス不要の新発想」として注目されました。
特に通勤やランニング、ドライブなど屋外で過ごす時間が多い人から支持を集め、「一度使うと手放せない」という声も多かったのです。
販売終了の正式発表と時期
そんな革新的なレンズですが、2024年6月12日をもって製造・販売が終了しました。
公式サイトの発表によると、終了理由は「世界的な供給体制の見直し」。原材料や製造工程の安定供給が難しくなったことが背景にあるとされています。
一部販売店では2024年2月ごろから「度数によっては先行終了」と案内され、春にはすでに欠品が目立つように。夏以降は“在庫限り”の状態となり、現在（2025年）では店頭で見かけることはほとんどありません。
メーカーの決定により再販予定はなく、今後は市場在庫が完全になくなり次第、入手不可となります。
なぜ販売終了になったのか？背景にある複数の要因
公式発表だけでなく、販売店やユーザーの声を総合すると、販売終了の背景にはいくつかの要因が重なっていたようです。
1. 製造コストと特殊素材の課題
調光機能を実現するには、光に反応する特殊素材を使用する必要があります。これらの素材は通常のコンタクトよりも製造コストが高く、安定供給が難しいといわれています。品質管理の難しさも相まって、長期的に採算を取るのが難しかったと推測されます。
2. ニーズの減少と市場規模の限界
リモートワークや在宅勤務が広がったことで、屋外で過ごす時間が減少。
その結果、「眩しさを軽減したい」という調光機能のニーズが相対的に減り、利用者数の伸び悩みにつながったと見られます。
3. 利用者の“実感の薄さ”
「色の変化が思ったほどわからない」「屋内では普通のレンズと変わらない」など、調光の効果を実感しにくいという声も少なくありませんでした。
こうした“使ってみないと分からない”特性が、リピート率を下げた可能性もあります。
4. 他の選択肢が豊富だった
調光サングラスやUVカット付きコンタクトなど、眩しさ対策の手段は他にも多く存在します。
「価格が高めで、手軽に買えない」「他製品でも代用できる」と感じるユーザーが多かったことも、終売の一因でしょう。
現在の販売状況と在庫の有無
2025年時点では、公式販売は終了済みです。
一部の通販サイトや在庫を抱えている販売店ではまだ取り扱いがある場合もありますが、度数が限られており、希望するスペックを入手するのは難しくなっています。
また、再生産の予定もなく、在庫が尽きれば完全に終了となります。
通販サイトで販売されている場合でも、「在庫限り」「度数限定」「再入荷なし」といった表記が多いため、購入を検討している人は早めの確認が必要です。
ただし、転売品や長期保管品には注意し、必ず正規の販売ルートから購入するようにしましょう。
アキュビュースマート調光の代替品はある？
残念ながら、現時点で「アキュビュー スマート調光」と同等の“調光機能付きコンタクト”は国内で販売されていません。
メーカー公式にも「後継モデルはなし」と明言されています。
では、どのような代替手段があるのでしょうか。ここでは目的別に現実的な選択肢を紹介します。
1. 普通の2週間交換タイプのアキュビュー オアシス
「調光機能は不要だが、装用感や信頼性は維持したい」という人には、通常タイプのアキュビュー オアシスシリーズがおすすめです。
保湿力や酸素透過率の高さはそのままで、長時間装用にも向いています。
2. UVカット・ブルーライト対策レンズ
「眩しさ対策」を重視するなら、UVカットやブルーライトカット機能のあるソフトコンタクトが代替になります。
たとえば、アキュビュー オアシスやアキュビュー モイストシリーズには紫外線カット機能が搭載されています。
3. 調光メガネやサングラスとの併用
屋外での眩しさを抑えたい場合は、コンタクトと調光メガネ・サングラスの併用が現実的です。
メガネなら調光効果がはっきり分かりやすく、屋内外の移動にも自然に対応できます。
4. 遮光コンタクト・医療用レンズ
特定の光刺激に敏感な人向けに、遮光フィルターを組み込んだ医療用コンタクトもあります。
ただし、一般販売されているものではなく、医師の指導のもとで使用する必要があります。
調光コンタクトが定着しなかった理由
「便利そうなのに、なぜ広まらなかったのか？」という疑問を持つ人も多いでしょう。
実際にユーザーの声を追うと、いくつかの理由が見えてきます。
- 効果が微妙に感じられた
屋内と屋外の変化が緩やかで、「変わったのか分からない」という感想が多かった。
特に日常生活では劇的な違いを感じにくかったようです。 - 価格とコストのバランス
通常のレンズよりも高価で、ランニングコストを考えると続けにくいという意見が目立ちました。 - 用途が限定的だった
“屋外活動が多い人向け”という性質上、万人向けではありません。
屋内勤務や夜間中心の生活ではメリットが少なかったのです。
結果として、“ニッチな人気商品”にはなったものの、大きな市場を形成するまでには至らず、販売終了という選択が取られたと考えられます。
代替品を選ぶときの注意点
アキュビュースマート調光がなくなった今、代わりのレンズを選ぶときには以下の点を意識すると失敗しません。
- 装用感と酸素透過率を重視する
長時間つける人ほど、目の乾きや酸素不足が起こりやすくなります。性能面を優先しましょう。 - 紫外線・ブルーライト対策を確認する
“調光機能”はなくても、UVカット機能があるレンズなら眩しさや目の疲労軽減に役立ちます。 - 無理に在庫品を探さない
賞味期限にあたる使用期限が切れた製品は安全に使えません。在庫にこだわるより、現行製品に切り替えるほうが安心です。 - 眼科で相談して選ぶ
度数やレンズ素材の相性は個人差が大きいため、必ず眼科で適正を確認してから購入を決めましょう。
アキュビュースマート調光の販売終了は“時代の転換点”
販売終了のニュースは残念ですが、それは同時にコンタクトレンズ市場の転換点でもあります。
「高機能」「便利さ」だけではなく、ユーザーが実際にどのような環境で使うのか、どんな体験を求めるのか――。
その“リアルな生活シーン”に寄り添った製品が求められているというサインでもあるのです。
いまは調光コンタクトがなくても、テクノロジーの進化は早いもの。
近い将来、より自然で快適な「次世代スマートレンズ」が登場する可能性も十分あります。
アキュビュースマート調光の販売終了まとめ
最後に、今回の内容を簡単に整理しておきましょう。
- アキュビュースマート調光は2024年6月に販売終了
- 理由は供給体制や製造コスト、需要の減少など複合的
- 現在は在庫限りで、後継モデルは存在しない
- 実用的な代替は通常のアキュビュー オアシスやアキュビュー モイスト、または調光メガネ併用
- 在庫品を無理に探すより、現行の安全な製品へ切り替えるのが安心
“調光コンタクト”というユニークな挑戦は終わりましたが、その発想は確実に次世代のアイウェアに受け継がれています。
光をあやつるレンズの進化は止まりません。あなたの目に最も心地よい選択を、これからも見つけていきましょう。
