最近、「ラグノスゼリーが手に入りにくい」「薬局で在庫がない」といった声が増えています。
便秘治療や肝性高アンモニア血症などに使われているこの薬ですが、代替できる薬や処方の変更方法を知っておくと安心です。
この記事では、ラグノスゼリーの特徴から、代替品の選び方、切り替えの注意点まで、わかりやすく解説していきます。
ラグノスゼリーとはどんな薬?
ラグノスゼリー(正式名称:ラグノスNF経口ゼリー)は、有効成分に「ラクツロース」を含む浸透圧性下剤です。
腸内で水分を引き込み、便をやわらかくして排出を促す作用があります。
また、ラクツロースが腸内細菌により乳酸や酪酸に分解されることで、腸内を弱酸性に保ち、善玉菌を増やす効果もあります。
もともとシロップ剤だったラクツロースを、ゼリー状にしたのがラグノスゼリー。
携帯しやすく、味も改良されているため、子どもから高齢者まで幅広く使われています。
主な適応は以下のとおりです。
- 慢性便秘症(器質的疾患を除く)
- 高アンモニア血症による精神神経障害の改善
- 産婦人科手術後の排ガス・排便促進
通常は1日2包(24g)を服用し、症状に応じて増減されます。
なぜ「ラグノスゼリーがない」と言われるのか
ここ数年、ラグノスゼリーが「手に入らない」「出荷調整されている」と話題になることがあります。
これは、製薬会社(三和化学研究所)による限定出荷が一時的に行われているためです。
限定出荷とは、需要に対して供給が追いつかないときに行われる一時的な出荷制限のこと。
製造トラブルや原料の供給問題、需要増などが原因となります。
そのため、薬局によっては在庫が不安定になることがあります。
また、ラグノスゼリーはゼリータイプという特殊な剤形のため、他社製品が少なく、代替が難しい薬でもあります。
とはいえ、まったく代わりがないわけではありません。
次の章では、同じ作用を持つ薬や処方の変更方法について紹介します。
ラグノスゼリーの代替品とは?
ラグノスゼリーの主成分は「ラクツロース」。
そのため、同成分を含むシロップ剤が最も自然な代替品です。
ラクツロース・シロップ製剤
ラグノスゼリー1包(12g)は、ラクツロース・シロップ約10mLに相当します。
つまり、ゼリーからシロップに変更する際は、用量を換算して調整すれば、ほぼ同じ効果が期待できます。
ラクツロース・シロップは複数の製薬会社から販売されており、医師に相談すればスムーズに切り替えが可能です。
ただし、液体タイプは味や保管方法にややクセがあるため、開封後は冷暗所に保管し、指示された期間内に使い切る必要があります。
他の浸透圧性下剤
もしラクツロースが合わない場合や入手困難な場合は、同じ浸透圧性下剤である以下の薬が検討されます。
これらは腸内の水分を増やすことで便をやわらかくし、自然な排便を促します。
特に酸化マグネシウムは長年使われている下剤で、安全性が高いとされます。
ただし、腎機能が低下している人や高齢者では、マグネシウムの体内蓄積に注意が必要です。
自己判断で切り替えず、必ず医師・薬剤師の指導を受けてください。
処方を変更するときのポイント
ラグノスゼリーから他の薬に切り替えるときは、いくつかの注意点があります。
- 同じ効能を持つ薬を選ぶこと
「便秘」「高アンモニア血症」など、治療目的が一致しているかを確認します。
ラグノスゼリーは肝疾患にも使える薬なので、単なる下剤とは異なる点もあります。 - 用量換算に注意すること
ラクツロース・シロップに変更する場合は、医師が換算して処方します。
自己判断で量を増減するのは危険です。 - 服用感と継続性を重視すること
ゼリーのほうが飲みやすい人もいれば、液体のほうが便利という人もいます。
自分に合った剤形を選ぶことで、無理なく続けられます。 - 副作用や体調変化をチェックすること
代替薬に変えると、最初は腹部の張りや下痢などが出る場合があります。
体が慣れるまでは経過を観察し、気になる症状があれば早めに相談を。
ラグノスゼリーと他の下剤の違い
ラグノスゼリーは「浸透圧性下剤」という分類に入ります。
これは腸に水分を引き込み、便をやわらかくするタイプ。
一方、「刺激性下剤(センナ・ビサコジルなど)」は腸の蠕動運動を直接刺激して排便を促します。
刺激性下剤は即効性がありますが、長期使用で耐性ができたり、腸の働きが弱くなったりするリスクがあります。
そのため、慢性的な便秘にはラグノスゼリーのような穏やかに作用する薬が推奨されます。
また、ラグノスゼリーには腸内環境を整える効果もあるため、「腸活」目的で使われることもあります。
乳酸菌やオリゴ糖を摂取しても便通が改善しない人には、ラクツロースのような医薬品の方が効果的な場合もあります。
ラグノスゼリーの使用時に注意すべきこと
ラグノスゼリーは比較的安全な薬ですが、次のような点には注意が必要です。
- ガラクトース血症の人は使用できません。
- 飲み始めにお腹が張ったり、ガスが出やすくなることがあります。
- 下痢が続く場合は、量が多すぎる可能性があります。
また、残ったゼリーを保管せず、1包を開けたらその日のうちに使い切るのが基本です。
開封後は雑菌が繁殖しやすくなるため、衛生面にも気をつけましょう。
ラグノスゼリーの供給が止まったときの対応
もし今後、ラグノスゼリーが製造・販売終了になった場合でも、焦る必要はありません。
医師の判断のもとで、次のような方法がとれます。
- 同成分のラクツロース・シロップ製剤に変更する
- 他の浸透圧性下剤に切り替える
- 食事・生活習慣の見直しを併用する
便秘治療では、薬に頼りすぎず、日常生活の改善も大切です。
水分をしっかりとり、食物繊維を多く含む食事を心がけましょう。
さらに、朝の排便リズムを整えることで、薬の効果もより安定します。
まとめ|ラグノスゼリーの代替品と処方変更の考え方
ラグノスゼリーは、ラクツロースを主成分とした穏やかな下剤で、便秘治療や肝疾患にも使われる重要な薬です。
もし入手できない場合は、ラクツロース・シロップや酸化マグネシウム製剤などの代替品が選択肢になります。
ただし、薬の切り替えは「医師・薬剤師の指導のもと」で行うことが原則。
体質や症状に合わない薬を自己判断で使うと、かえって便秘が悪化することもあります。
ラグノスゼリーがないときは、まず医療機関に相談を。
あなたの体調や生活スタイルに合わせて、最適な処方を一緒に考えてもらいましょう。
今後も、ラグノスゼリーやその代替品に関する情報をチェックしながら、安心して治療を続けてください。
