「販売終了」と聞くと、日本語ではごく当たり前の表現に感じますよね。ですが、いざ英語にしようとすると、「sold out」「discontinued」「no longer available」など、似たような言葉がいくつも出てきて迷う人も多いはず。実際、これらはニュアンスが微妙に違い、状況によって使い分ける必要があります。この記事では、そんな「販売終了」を英語でどう言えば自然かを、分かりやすく整理していきます。
「販売終了」は英語でどう言う?
まず基本となるのが discontinued(ディスコンティニュード)です。
これは直訳すると「中止された」「廃止された」という意味で、製品やサービスが正式に生産・販売を終えたときに使われます。
たとえば「この商品は販売終了しました」は、
This product has been discontinued.
が最も一般的で自然な言い方です。
日本語の「販売終了」と同じく、もう再販の予定がない・メーカーが製造を止めたというニュアンスを強く含みます。企業の公式サイトでもよく見かける表現です。
「sold out」と「販売終了」は違う意味
日本人がよく混同しがちな英語表現に sold out があります。
確かに「売り切れ」と訳されるため、「販売終了」と似ているように感じますが、意味はまったく異なります。
- sold out は「在庫が一時的になくなっただけ」
- discontinued は「今後もう販売しない」
たとえば「その商品は売り切れです」と言いたい場合は
That product is sold out.
一方で「もう販売を終了しました」なら
That product has been discontinued.
つまり、「sold out」は“temporary(期間限定的)”な表現であり、「discontinued」は“permanent(恒久的)”な状態を示す言葉なんです。
「no longer available」もよく使われる表現
少しやわらかい言い方をしたい場合には、
no longer available(もう利用できません/販売していません)
という表現も便利です。
たとえばカフェやオンラインショップで「そのメニューはもう終わってしまったんです」と伝えるときには、
Sorry, that drink is no longer available.
のように使います。
「discontinued」よりもフォーマル感が薄く、会話やカジュアルな告知で自然に聞こえるため、ビジネスメールやSNS投稿などにも使いやすい表現です。
ビジネス英語で使われる「End of Sales」「EOL」などの略語
企業やメーカーが使う正式な通知文では、より制度的な表現が登場します。
たとえば End of Sales(販売終了)や End of Life(製品寿命の終了)、End of Support(サポート終了)といったものです。
これらは特にIT業界や家電メーカーなどで使われる用語で、販売の終了だけでなくサポート提供や修理対応の打ち切りまで含むこともあります。
例文としては:
- The product reached End of Sales in March 2025.
(この製品は2025年3月に販売を終了しました。) - This software will reach End of Life next year.
(このソフトウェアは来年でサポートを終了します。)
つまり、「販売終了」や「製造終了」といった段階を明確に分けて発表する場合には、こうした専門用語を使うのが英語圏のビジネス慣習なのです。
「販売終了」をめぐるニュアンスの違いを整理
ここで一度、主要な英語表現を整理してみましょう。表ではなく文章で説明します。
- discontinued:製造・販売が完全に終了。今後再販なし。
- no longer available:販売をやめた、または在庫がなく再入荷予定もない。
- sold out:在庫が一時的にないが、再販・再入荷の可能性あり。
- End of Sales(EOS):販売終了日を公式に定めているフォーマルな表現。
- End of Life(EOL):製品のライフサイクル全体が終了(販売・修理・サポート含む)。
つまり、同じ「販売終了」という言葉でも、英語では「再入荷するのか」「製造が止まったのか」「サポートも終わるのか」といった点によって使う単語が変わります。日本語では一言で済む分、英語に訳すときは少し慎重に選ぶ必要があるのです。
実際の会話や案内での使い方
状況別に使えるフレーズをいくつか紹介します。
- 公式発表・企業サイトでの文言
- This product has been discontinued due to production reasons.
(生産上の都合により販売を終了しました。)
- This product has been discontinued due to production reasons.
- ショップやカフェでの案内
- Sorry, that item is no longer available.
(申し訳ありませんが、その商品は現在販売しておりません。)
- Sorry, that item is no longer available.
- ECサイトや通販での表記
- Out of stock (sold out) は「一時的な在庫切れ」
- Discontinued product は「販売終了商品」
- 社内ビジネス文書や取引先向け通知
- Please note that Model X will reach End of Sales in December.
(モデルXは12月をもって販売を終了いたします。)
- Please note that Model X will reach End of Sales in December.
このように、同じ意味でも相手や場面によって使い分けるのがポイントです。
「販売終了」を伝えるときの英語表現の注意点
日本語では「販売終了しました」とだけ書けば伝わりますが、英語では「なぜ終わるのか」「いつ終わるのか」「再販はあるのか」といった背景まで明示することが好まれます。
たとえば、
We have discontinued this product due to low demand.
(需要減少のため、この商品は販売を終了しました。)
のように理由を添えることで、読者に誤解を与えず丁寧な印象になります。
また、英語圏では “sold out” を「永久に販売しない」という意味で使うと誤解される場合があります。そのため、ブログやSNSで商品情報を発信する際には、「sold out」ではなく「discontinued」や「no longer available」を使う方が正確です。
海外サイトやメーカーでの「販売終了」表現の実例
海外メーカーの公式サイトを見てみると、「discontinued」や「End of Sales」の使い方に一貫性があります。
たとえば、Appleは過去の製品一覧を “Vintage and Discontinued Products” としてまとめています。
また、DellやHPといったPCメーカーも「End of Life」「End of Support」という形で販売終了を正式に告知します。
一方、アパレルブランドなどでは no longer available が主流。AmazonやNikeの通販ページで「This item is no longer available」や「Currently unavailable」と表示されているのを見たことがある人も多いでしょう。これらはすべて「販売終了」に相当する自然な英語表現です。
日本語と英語の「販売終了」感覚の違い
日本語では「販売終了=もう買えない」という事実を淡々と伝えるだけで済みますが、英語ではもう少し文脈的です。
「誰が販売をやめたのか」「一時的なのか恒久的なのか」「サポートは残るのか」といった情報を示さないと、ネイティブには完全に伝わりません。
この違いは文化的背景にもあります。
英語圏では消費者保護や法的責任の明確化が重視されるため、「販売終了」も曖昧にせず、時期・理由・今後の対応を明示するのが一般的なのです。
まとめ:「販売終了」を正確に英語で伝えるには
「販売終了」を英語で表すには、状況によって最適な表現を選ぶことが大切です。
- 製造や販売を正式に終了:discontinued
- 在庫も再入荷予定もない:no longer available
- 一時的な在庫切れ:sold out
- 公式・ビジネス文書:End of Sales、End of Life
これらを正しく使い分ければ、英語でも誤解のない伝え方ができます。
今後ブログやSNS、あるいは海外向けのお知らせで「販売終了」を英語で表現する際は、単語ひとつにも注意してみてください。言葉を正しく選ぶことで、読者にも誠実な印象を与えられます。
