耳を塞がずに音を楽しめる「ながら聴きイヤホン」が注目を集める中、オーディオテクニカが新たに投入したのが**ATH-CC500BT2**です。軟骨伝導というユニークな仕組みで音を伝えるこのモデルは、前作から音質や通話性能を大きく進化させています。今回は、実際の使い心地や音質、通話品質、ノイズキャンセリング（NC）代替技術まで詳しく見ていきます。
ATH-CC500BT2の特徴：耳を塞がない軟骨伝導
ATH-CC500BT2は「軟骨伝導」という方式を採用したBluetoothイヤホン。耳の中や骨ではなく、耳の軟骨部分を振動させて音を伝えるのが特徴です。耳を塞がずに音が聞こえるため、周囲の音も自然に入ってきます。
この構造のメリットは、
- 周囲の音を遮らない安全性
- 長時間装着しても耳が蒸れにくい快適さ
- 外耳への負担が少ない自然な装着感
の3点に集約されます。
通勤中やウォーキング、オフィスでの作業など、「音楽を聴きながらも周りに気を配りたい」というシーンで特に使いやすい設計です。
音質の印象：自然で聞き取りやすく、明瞭感が高い
軟骨伝導は、従来の骨伝導イヤホンに比べると音の伝わり方が柔らかく、より自然な聴こえ方を実現しています。ATH-CC500BT2は第2世代モデルとして新しいドライバーを搭載し、前モデルよりも最大音量や解像度が向上。
実際に音楽を聴くと、中高音の抜けが良くボーカルが前に出る印象です。特にポッドキャストやニュース、語り系コンテンツは非常に聞き取りやすい。音楽用途では低音の厚みがやや控えめですが、全体のバランスは良く、オープンイヤー型の中ではクリアで聴きやすい部類です。
「低音が弱い」と感じる人もいるかもしれませんが、耳を塞がない構造のため、周囲音を取り込みながら自然に聴く前提で設計されています。没入よりも“ながら聴き”を楽しむ方向に振ったチューニングと考えると納得です。
通話品質の実力：AIノイズリダクションが優秀
ATH-CC500BT2で特筆すべきは、通話品質の高さです。搭載されているAIノイズリダクション技術は、周囲の雑音を自動で検出して抑え、人の声だけをクリアに伝える仕組み。
たとえば、街中やオフィスのざわめきの中でも、自分の声が相手にハッキリ届くのを実感できます。実際にオンライン会議や通話を試してみると、一般的なイヤホンよりも声の明瞭度が高く、ノイズが少ない印象です。
通話中の風切り音もかなり抑えられており、屋外使用でも問題なし。マイク位置が顔に近いため、声の収音も安定しています。
ノイズキャンセリング性能：物理的ANCなしでも静かに使える理由
ATH-CC500BT2には、アクティブノイズキャンセリング（ANC）機能は搭載されていません。しかし、“耳を塞がない”という設計そのものが、静寂を作り出すのではなく「周囲と共存する聴き方」を実現しています。
つまり、不要な遮音を排除しつつ、AIノイズリダクションによって通話時だけ必要なノイズを除去するというアプローチです。周囲の音を把握しながら安全に使いたい人にとって、むしろこの方が理想的。
また、オーディオテクニカ専用アプリ「Connect」を使えば、音漏れを抑えたり、外音とのバランスを調整したりするカスタマイズも可能です。ANCを求める層とは目的が異なりますが、「周囲に馴染みながら自然に音を楽しむ」というコンセプトを貫いています。
装着感とデザイン：長時間でも疲れない軽さ
本体重量は約32g。首にかけるバンドは柔らかく、ユニットが耳の軟骨に軽く触れる程度なので、長時間でも耳が痛くならないのが魅力です。
ランニングやウォーキング中に着けていてもズレにくく、安定感があります。メガネやマスクとの併用も問題なく、耳周りの圧迫感が少ないのは軟骨伝導ならでは。
防滴性能はIPX4相当で、汗や小雨程度なら気にせず使用できます。激しいスポーツ向きではないものの、日常使いには十分です。
デザインはシンプルで主張が強すぎず、カラーも落ち着いたトーン。ビジネスシーンでも違和感なく使えます。
バッテリー・接続・機能性：使い勝手の良さが光る
フル充電で最大約20時間再生可能。さらに急速充電に対応しており、10分の充電で約2時間使用できるのも便利です。
Bluetoothは最新のVer.5.3を採用し、通信が安定。マルチポイント接続にも対応しているので、スマホとPCを同時につなぎ、切り替えなしで利用できます。
コーデックはAACとSBCに対応し、iPhoneユーザーでも音質を損なわずに楽しめます。専用アプリ経由でボタン操作の割り当ても変更可能で、自分の使いやすいスタイルにカスタマイズできます。
実際の使用シーンで感じた魅力
・在宅ワーク中
通話のクリアさが際立ち、マイク性能の良さを実感。外の音も自然に聞こえるので、家族に話しかけられても気づける。
・通勤・ウォーキング
電車のアナウンスや車の音が聞こえるため安全。BGM感覚で音楽を楽しめる。耳が蒸れず、長時間でも快適。
・カフェやオフィス
完全に音を遮断しないため、周囲の状況を把握しながら集中できる。軽い装着感で疲れにくい。
音楽を“聴く”というより、“流す”感覚に近い。自然な生活音と音楽が共存する、不思議な心地よさがあります。
デメリット・注意点
どんな製品にも弱点はあります。ATH-CC500BT2の場合、主に次の3つです。
- 低音の迫力は控えめ
- 完全な静寂環境での没入感は得にくい
- 音漏れが全くないわけではない
音楽を重低音で楽しみたい人や、ANCで静かに集中したい人には不向きかもしれません。ただ、ながら聴きにフォーカスしたモデルであることを考えれば、この割り切りは正解でしょう。
総評：ながら聴きと通話の快適さを両立した万能モデル
ATH-CC500BT2は、単なる骨伝導イヤホンの進化版ではなく、日常に自然に溶け込むオーディオデバイスです。
・耳を塞がない安全性
・自然な音質と聞き取りやすさ
・AIノイズリダクションによる高い通話品質
・軽量で快適な装着感
・20時間のロングバッテリー
これらがバランスよくまとまっており、仕事にもプライベートにも使える万能モデルといえます。
「ながら聴きイヤホン」としての完成度が高く、耳を開放したままストレスなく音を楽しみたい人にはぴったり。音質よりも生活への馴染みやすさを重視する人にこそおすすめできる1台です。
ATH-CC500BT2レビューのまとめ
ATH-CC500BT2は、耳を塞がない軟骨伝導方式で通話品質と快適さを両立したイヤホンです。ノイズキャンセリング機能こそ搭載していないものの、AIノイズリダクションによって日常の会話や通話が驚くほどクリア。
「ながら聴き」「快適」「安全」「自然な音」。この4つのキーワードがしっくりくる製品です。
新しい聴き方を探している人、耳をいたわりながら音を楽しみたい人にとって、ATH-CC500BT2は間違いなく有力な選択肢になるでしょう。
