こんにちは。今回は、話題のポータブルBluetooth DAC／アンプ「fiio btr17」をじっくり使い込んで感じた実力を、率直にレビューしていきます。
前モデルのfiio btr7やfiio btr15から乗り換えを考えている方、あるいはスマホでもっと高音質で音楽を聴きたい方には、きっと気になる内容になるはずです。
fiio btr17とは？最新Bluetooth DACの概要
fiio btr17は、ポータブルサイズながら高音質再生を追求したBluetooth DAC／ヘッドホンアンプです。
Bluetooth 5.4に対応し、LDACやaptX Adaptive、aptX Losslessなどの高音質コーデックをフルサポート。スマホからハイレゾ相当の音をワイヤレスで楽しめます。
さらに、USB DAC機能も備えており、PCやタブレットと接続すれば有線でも本格的な再生が可能。
自宅ではデスクトップDACとして、外ではワイヤレスレシーバーとして使える“二刀流”仕様が魅力です。
内部にはESS社の最新DAC「ESS ES9069Q」をデュアル構成で搭載し、THX AAA 78+アンプを組み合わせることで、小型ながら非常にクリアで歪みの少ない出力を実現しています。
デザインと操作性：小型でも存在感ある高級感
BTR17を手に取ってまず感じるのは、その質感の高さです。
アルミ合金のボディはしっかりした剛性を持ち、表面仕上げも上品。重すぎず、ポケットにも収まる絶妙なサイズ感です。
1.3インチのカラーIPSディスプレイは明るく、コーデックやバッテリー残量、音量などがひと目で分かります。
物理ボタンとノブの組み合わせで操作も快適。音量調整も細かく、クリック感が気持ちいい。
個人的にBTR7よりも操作レスポンスが良くなっていると感じました。
アプリ「FiiO Control」を使えば、EQの設定やコーデックの選択、Bluetooth名の変更などもスマホから簡単に行えます。
細かい設定まで追い込みたい人にも向いていますね。
音質レビュー：高解像でバランスの取れたサウンド
では、肝心の音質をじっくりレビューしていきましょう。
試聴環境は、LDAC接続とUSB DACの両方で確認しました。
まずBluetooth接続（LDAC）時点でも、非常に高い解像度。
低音は量感よりもキレとタイトさを重視したタイプで、締まりのあるベースラインが気持ちよく鳴ります。
中域は厚みがあり、ボーカルが前に出てきます。高域は伸びがありつつ、刺さらない滑らかさが印象的でした。
USB DACモードに切り替えると、音場の広がりと立体感が一段上がります。
空間の奥行きが感じられ、特にクラシックやジャズでは楽器の位置関係がくっきり。
DACチップの性能を最大限に活かしており、ポータブルながら据え置き機に近い表現力があります。
バランス接続（4.4mm）では出力がさらに強化され、ダイナミックレンジも広がります。
ハイインピーダンスのヘッドホンでもしっかり鳴らせるのは、THXアンプのおかげでしょう。
Bluetooth接続の安定性と遅延
Bluetooth 5.4対応のBTR17は、接続の安定性が非常に高いです。
スマホをポケットに入れたままでも音途切れはほとんどなく、LDACでの安定性も良好。
aptX Adaptiveでは映像との遅延も感じにくく、YouTubeやNetflix視聴にも問題ありません。
また、ペアリングのスピードも速く、一度登録したデバイスには電源ONと同時に自動接続されます。
複数デバイスの切り替えもスムーズで、日常的な使い勝手は抜群です。
出力性能とヘッドホン駆動力
ポータブルサイズとは思えないほどの出力を誇るのも、BTR17の魅力です。
4.4mmバランス出力時には最大650mW超を叩き出し、フルサイズヘッドホンも余裕で駆動。
通常の3.5mmアンバランス接続でも十分にパワフルで、音量を半分ほどにしても耳にしっかり届く力強さがあります。
音の勢いだけでなく、静寂時のノイズフロアも低く、暗い背景から音がスッと立ち上がる印象。
音の粒立ちが明確で、音楽全体の情報量が多く感じられます。
アプリとカスタマイズ性
FiiO Controlアプリは、BTR17をさらに便利にするツールです。
EQ設定やフィルター変更、ボリュームステップの調整、Bluetoothコーデックの固定など、多彩なカスタマイズが可能。
音質チューニングを追求したい人にとっては、まさに“遊べるガジェット”と言えます。
また、PCと接続してUSB DACとして使用する際も、FiiO Controlを通して設定を共有できるため、スマホとの統一感があるのもポイントです。
バッテリー持ちと充電時間
連続再生時間はLDACで約8時間。
外出中の使用には十分な持続力がありますが、1日中使いっぱなしだと少し心もとない印象。
ただし、充電は約2時間で完了し、USB-C経由で急速充電にも対応しています。
外で長時間使用する場合は、モバイルバッテリーを併用すれば問題なしです。
前モデルとの比較：BTR7からの進化点
BTR17は、前モデルのfiio btr7から確実に進化しています。
- DACがESS ES9069Q×2のデュアル構成にアップグレード
- 出力が強化され、ヘッドホンの駆動力が向上
- aptX Losslessなど新コーデックに対応
- 操作ノブの感触やUIが改善され、使いやすくなった
- バッテリー駆動時間が延び、安定性もアップ
BTR7ユーザーが乗り換えても違いを実感できるレベルの刷新です。
気になった点や注意点
もちろん完璧ではありません。
まず、マイク機能については期待しないほうがいいです。
通話は可能ですが、ノイズキャンセリングが弱く、外では環境音を拾いやすい印象でした。
また、アプリの日本語翻訳がやや不自然で、初回設定時に迷う部分もあります。
さらに、バッテリー持ちは決して長くないため、LDAC常用派は充電頻度がやや多くなるでしょう。
とはいえ、これらは使い慣れれば十分許容範囲だと感じました。
fiio btr17はどんな人におすすめ？
BTR17は次のようなユーザーに特におすすめです。
- スマホでも高音質な音楽を楽しみたい人
- ワイヤレスと有線を両方使いたい人
- ポータブルでもヘッドホンをしっかり鳴らしたい人
- 小型で多機能なDAC／AMPを探している人
特にLDACやaptX Lossless対応のスマホを持っている方なら、この機器のポテンシャルを最大限に引き出せます。
fiio btr17のレビューまとめ：音質・機能・使い勝手の総合力が光る
総じて、fiio btr17は“ポータブルオーディオの完成形に近い”といっても過言ではありません。
高解像でバランスの良い音質、安定したBluetooth接続、十分な出力、そして多彩な接続モード。
どれも実用的で、音楽をより自然に楽しめるよう考え抜かれています。
派手なクセはなく、どんなジャンルの音楽にも対応できる万能型。
シーンを選ばず使える優れた一台です。
これまでBTRシリーズを使ってきた人はもちろん、初めて高音質Bluetooth DACを導入したい人にも強くおすすめできます。
fiio btr17のレビューで分かった実力は、まさに「音楽をより自由に、より美しく楽しむための新しい標準」と言えるでしょう。
