イヤホン選びって、見た目やブランドだけでは分からない部分が多いですよね。
今回取り上げるのは、オーディオブランドfinal(ファイナル)の「final B2」。
価格帯としては中堅クラスに位置するこのイヤホンですが、果たしてその実力はどうなのか。
音質・装着感・デザインの3つの観点から、実際の使用感をもとに徹底的に検証していきます。
final B2とはどんなイヤホン?
final B2は、同社のBシリーズの中で中核を担うモデルです。
ドライバーはバランスド・アーマチュア(BA)を1基搭載。
この構成は「シンプルながらも緻密なチューニングが活きる」とされ、ファイナルらしい繊細な音作りが特徴です。
デザインはアルミ削り出しのメタリックな質感で、エッジの効いたフォルム。
耳に装着すると小ぶりながらも存在感があり、ファッションアイテムとしても映えます。
ケーブルはMMCXコネクタ採用で着脱可能。リケーブルにも対応しているので、長く使いたい人にも嬉しい仕様です。
実際の装着感:見た目以上にフィットする
金属筐体と聞くと「重そう」「冷たそう」という印象を持つかもしれません。
ですがfinal B2は軽量で、重心バランスが絶妙。
耳の3点で支える独自の構造により、ズレにくく長時間のリスニングでも疲れにくい設計になっています。
特に耳掛け式のケーブルデザインは安定感が高く、通勤・通学など日常使いにも向いています。
一方で、耳の形状によっては角ばった部分が当たって痛みを感じるケースもあるようです。
これは個人差があるので、試聴できる店舗で一度装着感を確認するのがおすすめです。
音質レビュー:中域が主役のナチュラルサウンド
final B2を語る上で外せないのが、その音のチューニング。
派手な低音や煌びやかな高音を狙うタイプではなく、「中域の厚み」と「音の自然さ」を重視したサウンドです。
まずボーカル帯域がとても豊か。
息づかいのニュアンスや声の芯がリアルに感じられ、アコースティックやポップスでは特に魅力を発揮します。
ピアノやギターの余韻も滑らかで、音のつながりが自然。
聴き疲れしにくい、柔らかい音作りが印象的です。
低域は控えめですが、量感よりも質を重視したタイプ。
ドラムのアタックやベースラインがしっかり輪郭を持ち、決して軽い印象ではありません。
沈み込むような重低音は得意ではないものの、バランスの取れた低域再生が心地よいです。
高域はシャープさよりも滑らかさを重視。
金属音が刺さらず、クラシックや女性ボーカルでも耳に優しい音色です。
解像度は高いですが過度に情報量を詰め込みすぎず、自然な距離感を保っています。
音場と定位感:BA1基とは思えない広がり
final B2はシングルBAにもかかわらず、音場の表現力に優れています。
奥行きがあり、ライブ録音やオーケストラではホールの空気感をしっかり感じ取ることができます。
定位も明瞭で、楽器の位置関係が分かりやすいのも特徴です。
この空間表現は、同価格帯のダイナミック型イヤホンよりも自然で整っている印象。
小規模編成のクラシックやアコースティックライブなど、空気感を味わいたい音源にぴったりです。
音楽ジャンル別の相性
final B2は中域を中心としたフラット傾向の音作りのため、ジャンルによって向き不向きがあります。
相性が良いジャンル
・アコースティック
・ジャズ
・クラシック
・ボーカル重視のポップス
これらでは、B2特有の自然な音場と中域の表現力が光ります。
特に女性ボーカルや弦楽器の質感は抜群で、ナチュラルな響きを求めるリスナーに向いています。
少し物足りないと感じるジャンル
・EDM
・メタル
・ヒップホップ
低域の迫力や高域のきらびやかさを求める楽曲では、B2の落ち着いたチューニングがやや控えめに感じられるかもしれません。
ただ、過度な味付けをしない分、どんなジャンルでも破綻しない万能性もあります。
他モデルとの比較:B1やB3との違い
Bシリーズは「B1」「B2」「B3」の3モデル構成。
それぞれチューニングが異なり、用途や好みに合わせて選ぶことができます。
・B1:ハイブリッド構成で、よりパワフルで立体的な音。
・B3:デュアルBAで、解像感と高域の伸びを重視。
・B2:ナチュラルで中域重視の落ち着いたチューニング。
final B2はシリーズの中でも最も穏やかで聴きやすい音作り。
“モニター的すぎず、音楽的すぎない”絶妙なポジションにあり、長時間聴いても疲れにくい点が魅力です。
デザインと耐久性:使い込むほど愛着が湧く
B2のメタルシェルは小ぶりながらも高い剛性を持ち、傷にも強い仕上がりです。
無駄を削ぎ落としたミニマルデザインで、どの角度から見ても美しい造形。
手に取った瞬間にわかる“工業製品としての完成度の高さ”が、ファイナルのこだわりを物語っています。
ケーブルはしなやかで絡まりにくく、断線リスクも少ない構造です。
リケーブル対応という点もあり、長期使用を前提とした安心感があります。
レビュー評価まとめ:高評価と課題点
各種レビューを総合すると、final B2は高い満足度を得ているイヤホンです。
特に評価が集中しているのは「ボーカルの自然さ」「中域の厚み」「音場の美しさ」。
一方で、低域の迫力や高域の煌びやかさを重視する層からは「少し地味」との声も見られます。
しかし、派手なサウンドではなく音楽を“じっくり聴かせる”方向性を理解すれば、その魅力が一気に開花します。
日常的なリスニングからスタジオ用途まで幅広く使えるバランスの良さが、B2の強みといえるでしょう。
こんな人にfinal B2はおすすめ
・長時間でも聴き疲れしないイヤホンを探している人
・ボーカルやアコースティック音源を中心に聴く人
・自然で落ち着いた音を好む人
・ファイナルのデザイン哲学に共感できる人
特に“音のバランス”を大切にする人には、final B2の魅力がしっかり伝わるはずです。
final B2のレビューで分かる実力まとめ
final B2は、一聴して分かるような派手さこそないものの、音楽をじっくり楽しむための完成度が非常に高いイヤホンです。
1基のBAドライバーとは思えない自然な音場と中域の表現力は、同価格帯でも際立っています。
高解像度と落ち着きのバランスが見事で、聴き込むほどに深みが増す音。
そして、洗練されたデザインと快適な装着感。
どれを取っても“長く使いたくなるイヤホン”という言葉がぴったりです。
静かな夜に、じっくり音楽と向き合いたい──。
そんな時間を過ごす相棒として、final B2は確かな実力を持っています。
