ガンダム00シリーズに登場する「GNフラッグ」は、ファンの間で長く愛される伝説的な機体です。今回は、その最新ガンプラ「HG グラハム専用ユニオンフラッグカスタムII（GNフラッグ）」を中心に、造形の魅力、可動性能、ギミック、そして実際の組み立て体験までを徹底的にレビューしていきます。作品を知らない人でも楽しめるよう、機体の背景にも触れながら紹介していきます。
GNフラッグとは？――グラハム・エーカーの誇りを背負う機体
GNフラッグは、アニメ『機動戦士ガンダム00』第1期の終盤に登場したグラハム・エーカー専用機。元々はユニオンの量産型「ユニオンフラッグ」を改修し、ガンダムから奪取したGNドライブを搭載した実験機です。
この機体の存在は、単なる「強化版モビルスーツ」ではなく、グラハムというキャラクターの執念そのものを象徴しています。ガンダムを超えるため、命を懸けて改造された姿。それがGNフラッグです。
造形の完成度――完全新規造形で蘇ったフラッグのシルエット
今回のHG版GNフラッグは、過去のフラッグ系キットとは一線を画す完成度を誇ります。従来モデルと比べて全身のプロポーションが見直され、特に太ももや肩部がボリュームアップ。より力強く、戦闘機的なスマートさも残したバランスが絶妙です。
頭部や胸部のディテールも刷新され、クリアパーツを廃して造形そのもののシャープさで勝負。モールドの密度が上がり、シールを貼らずとも情報量のある外観になっています。塗装派はもちろん、素組みでも満足できる仕上がりです。
ランナー構成は8枚＋エフェクトパーツ2枚。細かいパーツが多いものの、バリや合いの悪さはほぼ感じられず、精度の高い成型が際立ちます。
可動性能――HGとは思えないアクションの自由度
GNフラッグの真骨頂は、その可動性能にあります。肩関節は引き出し機構を備え、上下左右の可動域が非常に広い。腕は肘の二重関節により深く曲がり、脚部も180度近い開脚が可能です。股関節周りの構造も工夫されており、安定して立たせたまま動かせるのは大きな魅力です。
可動範囲の広さにより、劇中の印象的な「突撃姿勢」や「ドライブ展開ポーズ」などを自在に再現できます。ガンプラのアクション性を楽しむ人にとって、この自由度は大きな価値といえるでしょう。
GNドライブ移動ギミック――作品ファン歓喜の仕掛け
このキット最大の見どころの一つが「GNドライブ移動ギミック」です。劇中で印象的だった、背面のGNドライブを肩部から腰部にスライドさせる動作を、差し替えなしで再現できます。
構造自体はシンプルながら、動かすとしっかりとロックが効き、スムーズに可動。プラモデルながらまるでアニメのワンシーンを自分の手で再生しているような感覚が味わえます。この再現度の高さが、GNフラッグを単なるプラモ以上の「体験型アイテム」にしています。
武装の充実度――実戦を思わせるリアルなラインナップ
付属する武装は、GNビームサーベル、プラズマソード、リニアライフルの3種。中でもプラズマソードの刃は、透明感あるクリアパーツで成型され、美しい光の表現が可能です。
また、腕部への収納ギミックが搭載されており、武装展開シーンの再現も楽しめます。差し替えなしでサーベルを構えられるのは、可動構造の精密さがあってこそ。ガンプラとしてのプレイバリューを大きく押し上げています。
組み立てやすさと注意点――中級者向けの設計精度
組立て難易度は中程度。パーツは細かいものが多く、ゲート跡処理や可動部の組込みにはやや慣れが必要です。特に股関節や肩周りの接続は、説明書をよく確認して丁寧に進めるのがおすすめです。
初心者でも組み立てられないほどではありませんが、可動ギミックを壊さないためにも、無理な力を加えないのがコツ。組み立てに慣れたファンなら、2時間程度で完成します。
説明書はモノトーンでシンプルな構成ながら、要点が明確に示されており、手順自体は分かりやすい印象です。付属のハンドパーツも握り手と平手が両方あり、ポーズの幅を広げてくれます。
実際の完成後レビュー――立たせて楽しい、動かして輝く
完成後のGNフラッグは、単体でも圧倒的な存在感を放ちます。ブラックを基調としたボディに、胸部や脚部のグレーがアクセントとして映え、リアルなメカ感が際立ちます。
特筆すべきはポージングの安定性。関節の保持力が高く、両手で武器を構えた状態でも自立が可能です。スタンドを使用すれば、飛行形態のような浮遊ポーズも美しく決まります。
アクションポーズの自由度はHGトップクラスで、他のガンダム系HGキットと並べても遜色ありません。特にオーバーフラッグやユニオンフラッグとの比較では、造形・可動・再現度すべてにおいて進化を実感できます。
気になる点――関節と説明書の小さな弱点
完璧に見えるGNフラッグにも、いくつか注意点があります。
まず、股関節や肩関節は可動範囲が広い分、遊びが多く、動かしすぎると緩みが出やすい。繰り返しポーズを変える人は、ポリキャップの摩耗に注意が必要です。
また、肩アーマーが動かしているうちに浮きやすく、位置調整が必要になることもあります。接着や補強を加えるほどではありませんが、気になる人は軽く調整しておくと安心です。
説明書に関しては、カラーガイドや細部塗装の指定が最小限にとどまっているため、塗装派には少し物足りない印象かもしれません。
GNフラッグが評価される理由――再現度と体験の両立
GNフラッグが多くのファンから高く評価されている理由は、単なる「新しいキット」ではなく、**“体験できる再現性”**を追求している点にあります。
可動域の広さはもちろん、GNドライブの移動や武装収納など、劇中の演出をそのまま自分の手で再現できる。これは模型を超えた「物語を所有する楽しさ」を与えてくれます。
そして、グラハムというキャラクターの熱量を宿したデザインは、完成後の佇まいにまで感じ取れるほど。飾っても、動かしても、どちらでも満足度が高い一体です。
まとめ：GNフラッグの魅力と性能を徹底レビューして感じたこと
GNフラッグは、ガンダム00シリーズの中でも特に印象的な機体を最新技術で再現した意欲作です。
造形の美しさ、可動性能、ギミックの完成度、どれをとってもHGクラスの枠を超えた完成度を誇ります。
小さな弱点はあるものの、それを上回る満足感が得られる一体。
グラハム・エーカーの信念と誇りを体現したGNフラッグは、ファンはもちろん、初めてガンダム00に触れる人にもおすすめできるキットです。
手に取って、組み立てて、動かしてこそ真価を発揮する。
その魅力をぜひ、自分の手で確かめてみてください。
