音楽をもっと手軽に、でも音質には妥協したくない——そんな人に注目されているのが、ポータブルDAP「Hiby R1」。価格は1万円台ながら、ハイレゾ音源にも対応し、Wi-FiやBluetoothも備えた多機能モデルです。
この記事では、実際に使用した感覚を交えながら、Hiby R1の音質・操作性・使い勝手を徹底的にレビューしていきます。
Hiby R1とは?コンパクトだけど侮れないDAP
Hiby R1は、オーディオブランドHiByが手掛けるエントリークラスのデジタルオーディオプレーヤーです。
片手に収まるサイズと軽量ボディ(約70g)が特徴で、スマホよりも小さいのに、音楽専用機としての完成度は驚くほど高いです。
DACにはCirrus Logic社の「CS43131」を搭載。最大32bit/384kHzのPCM、そしてDSD256まで対応するハイレゾ再生能力を持っています。
Bluetooth 5.1(LDAC/aptX/AAC/SBC)やWi-Fiにも対応しており、TIDALやQobuzなどのストリーミングサービスを直接利用できるのもポイントです。
つまり、Hiby R1は「スマホを使わずに音楽を楽しみたい」人にピッタリの一台。microSDカード(最大2TB)対応で、好きなだけ音楽を持ち歩けます。
実際に聴いてわかったHiby R1の音質
一言でまとめるなら、価格帯を超えたバランスの良さです。
低価格DAPというと音が薄い、解像感が足りないという印象を持つ人も多いと思いますが、Hiby R1はまったく別物。音の立体感と中域の艶がしっかり感じられます。
低音
締まりがあり、過剰に膨らまず心地よく鳴るタイプ。ベースラインが自然に沈み込み、ロックやポップスでも輪郭が崩れません。
ズシンと響く重低音ではないものの、タイトでスピード感のある低域です。
中音
ボーカルが非常に明瞭で、声の質感がリアル。
アコースティックやジャズなど、ボーカル中心の音楽を聴くと「この価格でここまで出せるのか」と驚かされます。
ほんのり暖かみがあり、聴き疲れしにくいチューニングです。
高音
きらびやかさよりも、滑らかで耳当たりの良い方向性。
シンバルやストリングスの伸びは自然で、刺さる感じが少ない。長時間のリスニングでも疲れにくいバランスに仕上がっています。
音場は広くはないものの、定位感は良好。楽器の位置がしっかり分離していて、ボーカルが中央にすっと浮かび上がるような印象です。
総じて「聴きやすく、自然で心地よい」音作り。ハイエンドDAPのような迫力や解像度はありませんが、価格を考えれば驚くほど完成度が高いと感じました。
操作性と使いやすさ
Hiby R1は3インチのタッチスクリーンを搭載しています。UIはHiBy独自のOSで、シンプルで分かりやすい構成です。
ただし、スマホのようなヌルヌル動作を期待すると少しギャップを感じるかもしれません。
曲の並び替えやアルバム検索など、一部の操作はやや癖があります。
それでも、動作自体は軽快。再生・停止・スキップなどの基本操作はスムーズで、レスポンスも良好。
再生中の画面は見やすく、アートワークもしっかり表示されます。
また、HiBy独自の「MSEB(音質調整機能)」が非常に便利。
一般的なEQよりも直感的で、たとえば“暖かさ”や“透明感”など感覚的なパラメータをスライダーで調整できるんです。
オーディオ初心者でも、難しい用語を覚えずに自分好みの音を作れるのが嬉しいところ。
デザインと質感
Hiby R1はプラスチック主体のボディですが、透明感のあるデザインで安っぽさを感じません。
むしろ、軽量化と携帯性を優先した割り切り方が潔く、カジュアルな使用シーンにぴったりです。
カラーはブラック、グレーなど落ち着いたトーンが中心で、どんなイヤホンとも合わせやすい印象。
背面の仕上げも丁寧で、1万円台とは思えない作り込みです。
ポケットに入れても邪魔にならず、ストラップホールがあるため持ち歩きも快適。
通勤や通学、カフェでの作業中など、日常のあらゆる場面に溶け込むデザインです。
接続性と機能面
Hiby R1の接続性は必要十分です。
3.5mmステレオミニ出力を備え、Bluetooth送信にも対応。
有線・無線どちらでも音楽を楽しめます。
特にLDACやaptXに対応しているのは大きなポイント。
Bluetoothでも高音質再生が可能で、ワイヤレスイヤホンやヘッドホンと組み合わせても十分満足できます。
一方で注意したいのは、USB DAC機能が非搭載な点。
PCと接続して外部DACとして使うことはできません。
また、Bluetoothレシーバーとしてスマホの音を受け取る機能もないため、完全に“単体プレーヤー”として使う形になります。
それでも、Wi-Fi機能を使えばTIDALやQobuzといったストリーミングサービスを直接再生可能。
microSDカードに音源を入れておけば、スマホなしで音楽ライフが完結します。
バッテリーと実用性
バッテリーは1150mAhで、最大約15時間の連続再生が可能です。
待機状態では400時間以上持つため、旅行や通勤など日常用途には十分。
充電もType-C端子で行えるので、スマホと同じケーブルを使えるのが便利です。
発熱やノイズも少なく、安定した動作を維持してくれるのは好印象。
ただし、ストリーミングやWi-Fi使用時は多少バッテリー消費が早くなる傾向があります。
Hiby R1のメリット
- コスパ抜群。1万円台でハイレゾ・Bluetooth・Wi-Fi対応
- 小型軽量で携帯性が高い
- 音質がバランス良く、ボーカルが美しい
- 直感的に音質調整ができるMSEB搭載
- ストリーミング再生にも対応
Hiby R1は、「安いけど音がいいDAP」を探している人にとって理想的な選択肢です。
同価格帯の中では、機能と音の完成度の両立が頭ひとつ抜けています。
Hiby R1のデメリット
- USB DAC機能がない
- 高インピーダンスのヘッドホンでは出力不足を感じることがある
- 操作性は一部に改善の余地あり
- プラスチック製の筐体で高級感は控えめ
とはいえ、これらの弱点は価格を考えれば十分に許容範囲。
むしろ“余計な機能を削って本質的な音楽体験に集中できる”という潔さがあります。
Hiby R1はどんな人におすすめ?
- 初めてDAPを買う人
- スマホとは別に音楽専用機がほしい人
- 軽くて持ち歩きやすい機種を探している人
- コスパ重視で良い音を楽しみたい人
特に、イヤホンを中心に聴く人にはベストマッチ。
インピーダンスが低めのIEM(インナーイヤーモニター)との相性が良く、解像度の高いサウンドを引き出せます。
また、移動中や外出先でも気軽に音楽を楽しみたいライトユーザーにもぴったりです。
まとめ:Hiby R1の音質や操作性を実際に使って徹底レビューして分かったこと
Hiby R1は、コンパクトで扱いやすいサイズ感と、驚くほど高い音質バランスを兼ね備えたエントリーDAPです。
使い勝手、接続性、音質、すべての面で価格以上の満足感があります。
ハイエンド機のような派手さはないものの、音楽を“純粋に楽しむ”ための道具として完成度は非常に高い。
軽量で、どこへでも連れて行ける。音楽を聴くたびに「これで十分」と感じさせてくれる1台です。
低価格でもしっかりした音を求める人。
スマホでは満足できないけれど、高価なDAPまでは手を出せない人。
そんな人にこそ、Hiby R1を一度手に取ってみてほしい。
音楽を持ち歩く楽しさを、改めて思い出させてくれるはずです。
