ポータブルオーディオプレーヤーの世界は、スマホの普及で一度は下火になったかに見えましたが、いま再び盛り上がりを見せています。その中で注目を集めているのが、HiBy(ハイビー)の「HiBy R4」。
この記事では、実際のレビューや使用感をもとに、R4の高音質再生と操作性の魅力を掘り下げていきます。
HiBy R4とは?手に取りやすい価格帯の本格DAP
HiBy R4は、中国のオーディオブランド「HiBy」が手がけるAndroidベースのデジタルオーディオプレーヤー(DAP)。
価格は約4〜5万円台とミドルレンジに位置しながら、ハイエンド機に迫る機能を詰め込んでいます。
まず注目すべきは、4基のESS ES9018C2M DACチップを搭載したクワッドDAC構成。
この構成は同価格帯では珍しく、より滑らかで情報量の多い音を再現できます。
最大でPCM 32bit/768kHz、DSD256のハイレゾ音源にも対応。つまり「音源の持つ情報をそのまま引き出す力」があるわけです。
また、Snapdragon 665+Android 12というスマホ並みの処理性能を持ち、動作は非常に快適。
音楽プレーヤーとしてだけでなく、SpotifyやAmazon Musicなどのストリーミングアプリもサクサク動作します。
この快適さは従来のDAPではなかなか味わえません。
音質レビュー:バランスと解像度の両立
「音が良い」と言っても、その方向性は製品ごとに異なります。
HiBy R4の音は一言で表すなら、ニュートラルでバランスの取れた高解像サウンドです。
低域は締まりがありつつも量感があり、どっしりと支えるタイプ。
中域はボーカルが明瞭に立ち、楽器の位置関係がはっきりと見える。
高域は透明感があり、伸びやかながら刺さらない自然なトーンに仕上がっています。
特に印象的なのが、クワッドDACによる情報量の多さ。
小さなリバーブや残響まで丁寧に再現され、空間表現が広がります。
ライブ音源を聴くと「空気の層」を感じるほどで、この価格帯としては圧倒的です。
音の傾向としては“派手さ控えめ・実直な高音質”。
どんなジャンルでも破綻せず、長時間聴いても疲れにくい。
そのため「派手な味付けよりも自然な再生を求める人」に特に向いています。
MSEBで好みの音にチューニングできる
HiBy製品の代名詞ともいえるのが、独自の音質調整機能「MSEB(Multi-dimensional Sound Enhancement Bass)」です。
これは一般的なイコライザーよりも直感的で、「温かみ」「低音の厚み」「女性ボーカルの甘さ」などをスライダーで調整できます。
難しい周波数設定をしなくても、自分の耳に合う音に簡単に仕上げられるのが魅力。
しかもこのMSEBはシステム全体に適用できるため、ストリーミングアプリの音にも反映されます。
つまり、TidalやApple Musicでも自分好みの音で楽しめるということです。
音の個性を大きく変えたい人、イヤホンやヘッドホンごとに最適化したい人にも非常に便利。
まさに「万能DAP」と呼ぶにふさわしい機能性です。
操作性:スマホライクでサクサク動く
HiBy R4を使い始めてまず驚くのは、その操作の軽快さ。
従来のDAPは反応が鈍く、アプリの起動に時間がかかることも多かったのですが、R4は違います。
Snapdragon 665プロセッサと3GB RAMの組み合わせにより、アプリの切り替えやスクロールがスムーズ。
4.7インチのIPSディスプレイも発色がよく、UIデザインが見やすいです。
ストリーミングアプリの利用も快適で、スマホのような直感的な操作感を実現しています。
また、側面には再生・一時停止・曲送り・音量ボタンが独立配置され、画面を見ずに操作可能。
物理ボタンのクリック感も良く、ポケットに入れたままでも扱いやすいです。
UIはHiBy独自の「HiByOS」をベースに最適化されており、音楽プレーヤーとしての基本機能も充実。
再生リストの編集、タグ情報の管理、アルバムアートの表示もスムーズです。
出力性能とバッテリーの実用性
R4は、3.5mmシングルエンド出力と4.4mmバランス出力の両方を搭載しています。
特にバランス出力は最大525mW(32Ω)の高出力で、ヘッドホンも余裕を持って駆動可能。
クラスAアンプ設計により、滑らかで力強い音を生み出します。
音質だけでなく、駆動力の安定感も優秀。
インイヤー型イヤホンからオーバーイヤー型まで幅広く対応し、「相性問題」が少ないのが特徴です。
バッテリー容量は4500mAh。
高出力ながらも約8〜11時間の連続再生が可能で、日常使用なら十分なスタミナ。
急速充電にも対応しており、短時間で再使用できる点も便利です。
デザイン:個性と質感のバランス
R4の外観は、一目でHiByとわかるサイバーパンク調デザイン。
金属とガラスを組み合わせた筐体は高級感があり、手に取ったときの重厚感も程よいです。
角ばったデザインながら手に馴染みやすく、持ちやすさも考慮されています。
側面のLEDインジケーターは、再生中に点灯し視覚的なアクセントに。
好き嫌いは分かれる部分ですが、「所有する喜び」を感じられる装飾として好意的に受け止めるユーザーも多いです。
重量はややありますが、アルミ合金製のため耐久性が高く、長期間の使用にも安心感があります。
見た目と質感の両立が図られており、外に持ち出すのが楽しくなるデザインです。
他モデルとの比較:競合を上回る完成度
同価格帯のDAPと比較すると、R4の強みは「総合バランス」にあります。
たとえば同社のHiBy M300と比べると、R4は明らかにDAC性能が上で、音の立体感や厚みが違います。
一方でM300は軽量・コンパクトなので、日常使いには便利。
このようにHiBy内でもしっかり棲み分けがされています。
他ブランドではFiiOやShanlingなどがライバルですが、R4はAndroid搭載・ハイパワー出力・MSEB対応という3点で優位。
特にストリーミング中心のユーザーにとっては「スマホからの卒業」を現実的に叶えてくれる機種といえます。
実際のユーザー評価
ユーザーレビューでは「音質・機能・価格のバランスが非常に良い」と高く評価されています。
特に多い意見は以下の通りです。
- この価格でクワッドDACは驚異的
- 音の透明感と広がりが秀逸
- スマホ操作に慣れていれば違和感なく使える
- 有線接続時の駆動力が素晴らしい
- デザインが個性的で所有欲を満たす
一方で、「バッテリーがもう少し長ければ理想」「ボタン配置に慣れが必要」といった意見もあります。
ただし、これらは高出力アンプを搭載する代償ともいえる範囲で、大きな欠点ではありません。
全体としては、「コスパ最強DAP」と呼ばれるにふさわしい完成度を誇ります。
hiby r4 レビューまとめ:音楽の楽しみ方を広げる一台
HiBy R4は、音質・操作性・機能性のバランスが絶妙なポータブルプレーヤーです。
クワッドDACによる高解像サウンド、Androidによる快適操作、MSEBによる音質カスタマイズ。
どれを取っても「価格以上」の価値を感じます。
外出先でストリーミングを高音質で楽しみたい人。
自分好みの音を追求したい人。
そして“スマホの音”に物足りなさを感じている人。
そんなすべての音楽好きにとって、R4は理想的な選択肢の一つになるでしょう。
高音質再生と操作性の両立――その魅力を一度体験すれば、もうスマホには戻れなくなるかもしれません。
