外出中でも音楽を聴きながら周囲の音をしっかり把握したい──そんなニーズに応える形で登場したのが、ソニーの「linkbuds open」だ。耳を塞がない独特のデザインが話題になり、「ながら聴き」イヤホンとして注目を集めている。この記事では、実際の使用感や音質、使い勝手を中心に、リアルな体験に基づいて徹底的にレビューしていく。
耳を塞がない新体験、linkbuds openとは？
「linkbuds open」は、ソニーが展開する完全ワイヤレスイヤホンシリーズの中でも異彩を放つモデルだ。名前の通り“オープン”な構造を採用しており、耳を物理的に塞がずに装着するのが最大の特徴。
リング状のドライバーユニットが耳のくぼみにぴったり収まり、音楽と外音が自然に混ざり合うような聞こえ方を実現している。
この設計により、街中での歩行や自転車利用、在宅ワーク中の「ながら聴き」にも最適だ。イヤホンを装着したままでも人と会話できるので、周囲との関わりを断ち切らない自然なスタイルが魅力といえる。
デザインと装着感：軽くて自然、でもフィットは人による
初めて手に取った印象は「小さい」「軽い」「未来的」。
一般的なカナル型イヤホンとは全く違う形状で、耳の穴を塞ぐという概念がない。装着すると、まるでイヤリングのように耳に浮かぶデザイン。重量も軽く、長時間つけていても圧迫感がほとんどない。
ただし、耳の形状によってフィット感はかなり異なる。耳のくぼみが浅い人や小さめの耳の人だと、安定感に欠けるケースがある。顔を下に向けたり、走ったりするとズレを感じることも。
そのため、静かな作業や室内利用では快適だが、激しい動きを伴うシーンでは注意が必要だ。
一方で、耳への接触が少ないため、長時間つけても蒸れにくく、痛みも出にくい。密閉感が苦手な人には、他にない開放感を味わえるイヤホンだ。
音質：オープンイヤー型の常識を超えた自然な広がり
「linkbuds open」は開放型ゆえに、最初は“音が軽い”と感じるかもしれない。だが、数時間使ってみると、その評価は変わってくる。
リング型ドライバーから放たれる音は、耳全体にふんわり広がり、自然な空気感を伴う。音場が広く、まるでスピーカーを近距離で聴いているような感覚だ。
低音は控えめながらも不足感はない。特にボーカルやアコースティック楽器の再現力が高く、中高音の透明感が際立つ。
一方で、通勤電車の中や雑踏では、環境音に低音がかき消されがち。静かな場所でこそ、本来の音質の良さを実感できるだろう。
「没入する音」ではなく、「寄り添う音」。周囲の空気を感じながら音楽を楽しむ、そんな方向性に振り切ったサウンドデザインだ。
外音との共存性：ながら聴きの理想形
このイヤホンの真骨頂は、なんといっても“外の音と共存できる”こと。
たとえばカフェで音楽を聴きながら店員の声を聞いたり、在宅ワーク中に家族から呼ばれてもすぐ反応できたりする。耳を塞がない構造なので、環境音が自然に耳へ届き、音楽とのバランスが絶妙だ。
特に安全面のメリットは大きい。歩行中や自転車通勤でも、車の接近音をしっかり認識できる。
ノイズキャンセリング機能がないのは当然だが、それがむしろ安心につながるという声も多い。周囲とのつながりを絶やさない、生活に寄り添うイヤホンといえる。
操作性とアプリ連携：直感的でカスタマイズ自由
操作方法はタップやジェスチャーで完結する。
本体を軽く叩く、または頬の周辺をタップすることで再生・停止・曲送りなどが可能。慣れるまでは少し戸惑うが、使いこなせば物理ボタンよりも快適だ。
専用アプリ「Sony | Sound Connect」を使えば、操作割り当ての変更やイコライザー設定も自在に行える。音質のチューニングも細かく調整できるため、自分好みの音を作りたい人にも向いている。
アプリ連携の安定性も高く、接続切れや反応遅延といったトラブルは少ない。
バッテリーと充電：日常利用には十分な持久力
公称スペックでは、イヤホン単体で約8〜9時間、ケース併用で約20時間再生が可能。
実際の使用でも、音量50％前後なら丸一日外出してもバッテリー切れの心配はほとんどなかった。
通勤・通学やテレワークでの使用には十分なスタミナだ。
充電はUSB-C対応。ワイヤレス充電（Qi）は非対応だが、急速充電機能があるため実用上の不便は感じにくい。10分の充電で約1時間の再生が可能だ。
通話品質：クリアで自然な会話が可能
linkbuds openはマイク性能にも力を入れており、通話時の音質も優秀だ。
複数のマイクとノイズ抑制アルゴリズムを組み合わせることで、周囲の雑音を抑えながら自分の声をクリアに伝えてくれる。
在宅ワークやオンライン会議でも、相手に「こもって聞こえる」と言われることはほとんどなかった。
また、オープン型ゆえに自分の声がこもらないため、長時間の通話でもストレスが少ない。
声が自然に響き、耳を圧迫しない点はビデオ会議が多い人にとっても大きな利点だ。
実際に使ってわかったメリットと注意点
使い続けて感じた最大の魅力は、やはり“解放感”だ。
家事をしながら音楽を聴く、散歩中にポッドキャストを流す、そんな何気ない日常がより快適になる。
また、耳を塞がないことで長時間利用しても疲れにくく、気づいたらずっと装着していることも多い。
一方で、欠点も存在する。
・外の騒音が大きい場所では音が聞き取りにくい
・耳の形によってフィット感に差がある
・ワイヤレス充電非対応
このあたりを理解したうえで購入すれば、満足度の高い製品だと感じる。
linkbuds openはどんな人におすすめか？
このイヤホンは、すべてのユーザーに向くわけではない。
「音楽に没入したい」「外音を遮断して集中したい」という人には、他のノイズキャンセリングモデルの方が適しているだろう。
一方で、「安全性を保ちつつ音楽を楽しみたい」「ながら聴きが多い」「耳を塞がれるのが苦手」といった人には理想的な選択肢になる。
特に在宅ワーカー、通勤・通学中の利用者、または一日中イヤホンをつけていたい人にとっては、この軽さと開放感は代えがたい。
まとめ：linkbuds openの使用感と性能を実際に試した評価
ソニーのlinkbuds openは、“耳を開放する”という新しい発想を体現したイヤホンだ。
音楽を聴きながらも外の世界とつながれる──そんな使い方を求める人にぴったりの製品である。
音質はオープン型として驚くほど自然で、装着感は軽く、通話性能も優秀。日常のあらゆるシーンに溶け込む存在だ。
もちろん完璧ではなく、騒音下での音量やフィット感には注意が必要だが、それを補って余りある快適さがある。
「ながら聴き」「安全」「軽さ」という3つのキーワードが心に響くなら、linkbuds openは間違いなく試す価値がある一台だ。
