ソニーのウォークマン「NW-WM1AM2」は、ハイエンドオーディオプレイヤーの中でも注目を集める存在です。高音質を追求するオーディオファンの間で話題になっており、「音の深み」「解像度」「操作性」など、さまざまな視点で語られています。今回は実際の使用感や特徴をもとに、このモデルの魅力と注意点を徹底的に掘り下げていきます。
ハイエンドDAP「NW-WM1AM2」とは?
NW-WM1AM2は、ソニーが誇るウォークマンシリーズの中でも上位モデルに位置づけられるデジタルオーディオプレイヤー(DAP)です。2022年に登場した本機は、従来の高音質設計に加えて、Wi-FiやAndroidを搭載したことで利便性が大きく進化しました。
外観はアルミニウム削り出しの筐体で、重量は約299g。手に取ると「しっかりした作りだ」と実感できるほどの高い質感です。ボディの剛性が高く、外部ノイズの影響を抑える構造になっています。
128GBの内蔵ストレージに加え、microSDカードで容量を拡張可能。4.4mmバランス出力と3.5mmシングルエンド出力を備え、幅広いイヤホンやヘッドホンと組み合わせて楽しめます。バッテリーは約40時間の連続再生に対応しており、長時間リスニングにも強いモデルです。
音質レビュー:深く澄んだ音の世界
NW-WM1AM2を語る上で欠かせないのが、その音質。まず聴いて驚くのは、音の分離感と奥行きの広さです。ひとつひとつの音が明瞭に浮かび上がり、まるでライブ会場にいるような立体的な臨場感を味わえます。
低音は引き締まっていて、量感よりも質で聴かせるタイプ。中音域はボーカルが前に出すぎず自然に響き、高音は透明感がありながら刺さりがない。全体として、非常にバランスの取れたサウンドに仕上がっています。
ソニー独自の「S-Master HX」アンプや「DSDリマスタリングエンジン」など、ハイレゾ音源を最大限に生かす技術が随所に採用されています。特にDSD変換によって、PCM音源であっても滑らかで有機的な音へと変化するのが印象的です。
クラシックやジャズのような音場表現を重視するジャンルでは、その立体感が特に際立ちます。一方で、ロックやポップスでもボーカルの存在感をしっかり引き出してくれるため、オールジャンル対応といっても過言ではありません。
前モデルとの違い:進化した表現力と自由度
前モデルである「NW-WM1A」と比べると、最も大きな進化は「Android搭載」と「ストリーミング対応」です。従来のウォークマンは、基本的にローカル再生専用でしたが、NW-WM1AM2ではWi-Fi接続でSpotifyやAmazon Musicなどのアプリが利用可能になりました。
この機能により、ハイレゾだけでなくサブスクリプション型音楽サービスでも高音質で音楽を楽しめます。DACを通した出力品質はスマホとは一線を画し、同じストリーミングでも情報量と解像感の差が明確です。
さらに、回路設計の見直しにより電源供給がより安定し、音の静寂感や細部の再現力も強化されています。これまでのウォークマンらしい暖かみを残しながらも、よりレンジが広くクリアな音を再現できるようになりました。
操作性レビュー:便利さとレスポンスのバランス
操作面では、5インチの大型ディスプレイとAndroidベースのUIが快適です。画面解像度も高く、アルバムアートや曲名の表示が見やすいのが嬉しいポイント。タッチ操作も比較的スムーズで、スマホ感覚で扱えます。
音楽再生アプリ「W.ミュージック」では、ウォークマンらしいシンプルで分かりやすいUIが特徴。プレイリスト管理やフォルダ再生も容易で、細かな操作に迷うことがほとんどありません。物理ボタンも側面に配置されており、ポケットに入れたままでも再生・停止・スキップが可能です。
ただし、起動時間は少し長め。電源オンから再生まで数十秒かかることがあるため、スリープモードで運用するユーザーも多いようです。Android特有の動作の重さを感じる瞬間もあり、スマホのようなレスポンスを期待すると少しギャップを感じるかもしれません。
ストリーミングとローカル再生の使い分け
NW-WM1AM2の強みは、ストリーミングとローカル再生の両立です。従来のウォークマンの音質に加え、ストリーミングアプリを通じて好きなアーティストを自由に楽しめます。Wi-Fi接続でダウンロードしておけば、オフライン再生も可能です。
特にSpotifyやTIDALなどのロスレス音源配信サービスを利用することで、DAPのポテンシャルを最大限に発揮できます。音の密度や定位感はスマホ出力とは明確に異なり、同じ楽曲でも新しい発見があるほどです。
また、ソニー独自の「DSEE Ultimate」も搭載されており、圧縮音源をハイレゾ相当にアップスケーリングして再生可能。ストリーミング時でも高音質で聴ける点は、このモデルならではの魅力です。
実際の使用感とユーザーの声
実際に使用しているユーザーからは、「音の粒立ちが良く、聴き疲れしない」「ボーカルが自然で伸びがある」といったポジティブな声が多く寄せられています。特にバランス接続で高級イヤホンを使った際の音の立体感に感動する人が多い印象です。
一方で、「動作がややもたつく」「価格が高い」といった意見も少なくありません。特に操作レスポンスの遅さやアプリの挙動については、改善を望む声も見られます。しかし、それらのデメリットを補って余りある音質の良さが、この機種の支持を集める最大の理由でしょう。
デザイン面でも評価が高く、持っているだけで所有欲を満たすとの感想もあります。アルミボディの高級感と、ソニーらしい落ち着いた仕上げは、長く使いたくなる魅力を備えています。
どんな人におすすめか
NW-WM1AM2は、音質を最優先に考えるリスナーに最適です。普段スマホで音楽を聴いている人がこのモデルに乗り換えると、その差に驚くはず。特にハイレゾ音源を多く所有している人や、バランス接続対応イヤホンを使っている人には非常におすすめです。
逆に、操作の軽快さや持ち運びやすさを重視する人には少し重たく感じるかもしれません。とはいえ、自宅で腰を据えて音楽をじっくり聴くスタイルの人には理想的な選択肢です。
まとめ:NW-WM1AM2の音質と操作性を徹底レビューで検証
NW-WM1AM2は、単なるウォークマンではなく“音楽体験を変えるオーディオプレイヤー”です。ソニーの技術が凝縮された音作りは、アナログ的な温かさとデジタルの解像度を両立。聴くたびに新しい発見があり、音楽をもう一度好きにさせてくれます。
操作性では一部課題もありますが、それを上回る音の没入感と存在感。ハイレゾ再生、ストリーミング、DSEEアップスケーリングなど、多彩な再生手段を備えた本機は、まさに“究極のウォークマン”と呼ぶにふさわしい存在です。
音質と操作性の両面から見ても、NW-WM1AM2は今なお魅力的な選択肢。高音質で音楽を楽しみたい人にとって、長く愛用できるパートナーとなるでしょう。
