ホンダの人気モデル「シビック」。その中でも注目を集めているのが、スポーティグレードとして復活した「シビックRS」です。この記事では、実際の試乗レビューをもとに、ガソリンターボのRSとハイブリッドのe:HEVを比較しながら、走行性能や乗り味の違いを詳しく検証していきます。
シビックRSとは?復活した“走りのホンダ”の象徴
RSの名が再びシビックに戻ってきたのは2024年。現行11代目シビックのマイナーチェンジで登場したRSは、「走りの愉しさを再び」というホンダの原点回帰を感じさせるモデルです。
パワートレインは1.5L VTECターボエンジンに6速MTのみを組み合わせた設定。CVTもハイブリッドも選べない、純粋に「運転を楽しむための」グレードです。価格はおよそ419万円台と、e:HEVと比べると若干抑えめですが、走りの質感は別物。足回りやブレーキ制御、ステアリングフィールまで細かくチューニングされています。
e:HEVとの違いをひも解く:ターボ×MT vs モーター×ハイブリッド
シビック e:HEVは、2.0L自然吸気エンジンと2モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。低速ではモーターが駆動し、高速域ではエンジンが効率的に動力を伝える「シリーズ×パラレル」方式が特徴です。
一方のシビックRSは、1.5Lターボ+6MTという潔い構成。シビック e:HEVが電気モーターによる滑らかさや静粛性を売りにしているのに対し、RSは「人が操る気持ちよさ」に全振りしています。
たとえば交差点を立ち上がる瞬間。e:HEVではモーターのトルクでスッと前に出る感覚がありますが、RSはクラッチをつなぎ、ターボが立ち上がるまでのタイミングを自分の手と足で感じ取る。ここが最大の違いです。
実際に試乗して感じた走行性能:シビックRSは“走る道具”として完成度が高い
シビックRSに乗り込むと、まずシートポジションの低さに気づきます。視界がスポーツカーのように低く、ドライバーを中心としたコックピット感覚。エンジンを始動し、クラッチをつなぐと、アクセルの踏み込みに対して自然でリニアなレスポンスが返ってきます。
街中では扱いやすく、低速でもギクシャクしにくい。ターボ特有の「ドン」とした加速感ではなく、NA(自然吸気)に近い滑らかさを残しつつ、高回転ではしっかり盛り上がる設定です。
高速道路では5速・6速の伸びが気持ちよく、直進安定性も抜群。わずかなハンドル操作でもクルマ全体が素直に反応し、ホンダらしい“人と車の一体感”を味わえます。
サスペンションは専用チューニングで、一般的なシビックよりも車高が約5mm低く設定。これによりロールが抑えられ、ワインディングでも姿勢変化が少ない。ステアリングを切るたびに足が路面を捉え、ドライバーの意図通りに曲がる感覚があります。まさに“走るために作られたシビック”です。
e:HEVの走り:静けさと力強さのバランスが絶妙
対するe:HEVは、アクセルを踏んだ瞬間の滑らかさが印象的。モーター駆動によるトルクは315Nmと強力で、停止状態からの発進でも力強さを感じます。エンジンが始動しても音や振動が少なく、シームレスに切り替わる制御が秀逸です。
市街地ではEV走行が多く、静粛性は高級車並み。郊外や高速ではエンジンが主導しますが、加速時もスムーズで違和感がありません。長距離ドライブでは燃費性能の高さと静粛性が際立ち、ゆったりとした運転を楽しむのに最適なグレードです。
シビックRSが「運転そのものの楽しさ」を追求しているのに対し、e:HEVは「移動を快適にする技術」を極めた一台といえます。
内装と装備の質感:どちらも高水準、RSはよりスポーティ
シビックRSの内装はブラックを基調に、レッドステッチが随所に施されたスポーティな雰囲気。メタル調ペダルや専用メーターなど、走りを意識した演出が光ります。
一方で、機能面ではe:HEVと共通する部分も多く、9インチのHonda CONNECTディスプレイやデジタルメーターを標準装備。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応し、利便性は非常に高いです。
e:HEVは快適装備がさらに充実しており、BOSE プレミアムオーディオ(12スピーカー)やデュアルゾーンエアコンなど、日常使いに嬉しい機能が揃っています。
「RS=走りの装備」「e:HEV=快適の装備」という性格分けが明確です。
安全性能:Honda Sensingの完成度は高い
両グレード共通で搭載されるHonda Sensingは、アダプティブクルーズコントロール、車線維持支援システム、衝突軽減ブレーキなどを標準装備。RSでも走りに集中できるよう、自然な制御が実現されています。
たとえば高速道路でACCを使用しても、加減速のつながりがスムーズで違和感がありません。スポーティモデルであっても「安心感」がしっかり確保されている点は、ホンダらしいバランス感覚です。
乗り心地と静粛性:好みが分かれるポイント
シビックRSは明確に「硬めの足回り」。しかし、決して不快な突き上げではなく、路面の情報を正確に伝えてくるタイプです。舗装の良い道路ではフラット感が強く、ワインディングでは気持ちよくコントロールできます。
e:HEVはそれとは対照的に、柔らかく落ち着いた乗り味。段差の吸収が上手で、長距離移動でも疲れにくい。静粛性も高く、日常使いでは快適さで優位に立ちます。
このあたりは「走る楽しさを重視するか」「快適な移動を優先するか」で選び方が分かれるポイントです。
実用性と燃費:e:HEVが優位だが、シビックRSにも利点あり
燃費面ではe:HEVが圧倒的に有利です。WLTCモードで20km/L前後を記録し、街乗りでも効率の良さを実感できます。
一方のシビックRSは、実走で平均14~16km/L程度。MT操作の楽しさと引き換えに燃費はやや劣りますが、シンプルな構造ゆえ維持費が比較的抑えられるというメリットもあります。
また、シビックRSはモーターや高電圧バッテリーを搭載していない分、車重が軽く、ハンドリングが軽快。ランニングコストだけでなく、車との一体感を重視するならシビックRSも魅力的な選択です。
まとめ:シビックRSとe:HEV、どちらを選ぶべきか?
もしあなたが「自分で操る感覚」「エンジンの鼓動」「マニュアルで走る楽しさ」を求めるなら、迷わずシビックRSです。
6速MTと専用チューニングの足回りは、走り好きの心を確実に満たしてくれるはず。日常からワインディングまで、クルマと対話する感覚が味わえます。
一方、「通勤や街乗りが中心」「静かで快適に移動したい」「燃費も重視したい」という人には、シビック e:HEVが最適。最新のハイブリッド技術によるスムーズな加速と静粛性は、誰が乗っても快適そのものです。
どちらも“ホンダらしい”ドライビングプレジャーを追求したクルマ。
シビックRSは“運転する楽しさ”を、e:HEVは“走りの質と効率”を極めています。目的とスタイルに合わせて選べば、どちらも満足度の高い一台になるでしょう。
シビックRSを実際に試乗レビュー!走行性能やe:HEVとの違いを比較検証【総括】
「シビックRS レビュー」というキーワードの通り、RSはホンダの“走る喜び”を凝縮したモデルでした。
一方、e:HEVは快適性と効率を両立したハイブリッドの完成形。
走りを選ぶか、静けさを選ぶか。どちらを選んでも後悔はしない――それが、今のシビックの最大の魅力です。
