「マイヤーズラム オリジナルダークが終売したらしい」という噂を耳にして、驚いた人も多いのではないでしょうか。バーでも家庭でも長く親しまれてきた定番のダークラムが店頭から姿を消している──。その背景には何があるのか、そして今からでも手に入れる方法や代わりになるラムはあるのか。ここでは、最新の情報をもとにわかりやすく整理していきます。
マイヤーズラム オリジナルダークとはどんなお酒?
マイヤーズラム オリジナルダーク(Myers’s Rum Original Dark)は、ジャマイカを代表するダークラムのひとつです。
ブランドの始まりは19世紀後半。創業者フレデリック・マイヤーズが「本格的なジャマイカラムを世界へ」という想いで立ち上げたのが起点とされています。
原料は糖蜜(モラセス)。銅製ポットスチルと連続式蒸留機の両方で蒸留した原酒をブレンドし、ホワイトオーク樽で熟成。バナナやチョコレート、スパイスのような香ばしさと、濃厚で甘みのある味わいが特徴です。
カクテルのベースとしても、スイーツや料理の香りづけにも活躍。ラムコークやホットラムトディなどに使えば、ひと口で南国を思わせる深い余韻が広がります。日本では長らくキリンビールが輸入・販売を担い、多くのファンに愛されてきました。
なぜ「終売」と言われているのか?
ここ数年、SNSや酒販店のブログで「マイヤーズラム終売」という情報が相次いでいます。実際に、店頭で見かけなくなったという声も増えました。
背景にはいくつかの要因が重なっています。
まず挙げられるのが供給の不安定化。
コロナ禍以降、ジャマイカからの輸入物流が滞り、安定供給が難しくなったとされています。輸入元であるキリンビールからも「安定供給が困難」との案内が一部流通向けに出たことがあり、それが終売情報として広がりました。
さらに、ブランド移管の影響も指摘されています。
マイヤーズラムは長年ディアジオ社傘下でしたが、2018年に米サゼラック社へブランドが譲渡されました。輸入体制や販売ルートが再構築される過程で、日本市場への供給が一時的に不安定になった可能性があります。
そのうえで、販売戦略の見直しも影響していると見られます。
国内では2021年にパッケージをリニューアルしたものの、出荷数量の制限や販売チャネルの縮小が進み、一部地域では「終売」と同じ状態になっています。
実際の販売状況はどうなっている?
完全に生産終了というわけではなく、「国内正規輸入が事実上止まっている状態」と考えられます。
海外では現在もマイヤーズラム オリジナルダークが流通しており、並行輸入品として販売されているケースもあります。
しかし、国内の一般的な酒販店では在庫限りとなっており、購入できても以前より高額になっている傾向があります。特に700mlボトルは人気が高く、通販サイトでもプレミア価格が付くことがあります。
一方、業務用や製菓用として供給されていた「製菓用マイヤーズラム」に関しては、2024年から販売休止となることが正式に案内されています。これは原料コストや輸入条件の悪化によるもので、今後は別の仕様への切り替えが進む見込みです。
終売の背景にある“現実的な理由”
表面上は「終売」とされているマイヤーズラム オリジナルダークですが、その裏にはいくつかの事情が見え隠れしています。
- コロナ禍による供給網の混乱
物流遅延や輸入コスト上昇により、定期的な供給が難しくなった。 - 価格・契約条件の折り合いがつかず
製造元と輸入代理店の間で、価格条件や供給数量の調整が難航した。 - ブランド再編による移行期
サゼラック社への移管に伴い、製品の仕様・ラベル・流通国の再構築が行われている。 - 日本市場の規模縮小
ラムの需要がウイスキーやジンなどに比べて限られており、販売優先度が下がっている。
これらが複合的に重なった結果、「店頭で買えなくなった=終売」という認識につながったと考えられます。
今でも買える?在庫を探す方法
もし「どうしてももう一度飲みたい」「製菓用に必要」という場合は、次のようなルートを試すと見つかることがあります。
- オンライン通販(Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングなど)
並行輸入品や旧在庫が出品されていることがあります。ただし、価格が上がっている場合があるため注意が必要です。 - 酒販専門店や業務用卸
老舗のリカーショップでは、少量ながら在庫を抱えていることがあります。電話で在庫確認するのが確実です。 - バーや飲食店向け仕入れルート
一般消費者が利用できるケースもあるので、問い合わせてみる価値があります。
購入時は、ラベルの違い(旧デザインかリニューアル版か)やアルコール度数(40%・55%など)を確認すると安心です。
味の特徴を改めておさらい
マイヤーズラム オリジナルダークが長く愛されてきた理由は、その唯一無二の香味バランスにあります。
- 糖蜜由来の濃厚な甘み
- カラメルやチョコのような深いコク
- バナナやスパイスを思わせる南国の香り
- 樽由来のほのかなスモーキーさ
この複雑さが、他のダークラムとは一線を画しています。カクテルに使っても風味が埋もれず、スイーツや料理でも存在感を放つ。そんな万能さこそが、ファンにとっての“定番”たる所以でしょう。
代替品としておすすめのダークラム
マイヤーズラム オリジナルダークが手に入らない今、同系統の味わいを楽しめる代替品をいくつか紹介します。
アップルトン・エステート
同じジャマイカ産。熟成感があり、フルーティーさとスパイス香が魅力。バランスの取れたダークラムで、マイヤーズの代わりとして最有力候補です。
コルバ ダークラム
より甘く濃厚で、トロピカルな印象。カクテルや製菓用途にも向いており、マイヤーズに近いニュアンスがあります。
ブラックウェル ラム
ジャマイカの音楽プロデューサーが立ち上げたブランド。深みのある味とモラセス香が特徴で、マイヤーズの愛飲者にも評価が高いです。
いずれも輸入品のため、価格や流通量には波がありますが、香味の方向性としてはかなり近い存在です。
今後、再販やリニューアルの可能性は?
2021年にパッケージがリニューアルされた経緯を考えると、ブランドとしての生産自体は続いていると見られます。
したがって、今後日本市場向けに再輸入・再展開される可能性は十分あります。
ただし、為替や輸入コスト、販売体制などの要因によって、以前のように安定的に入手できるようになるまでには時間がかかるかもしれません。
もし再販情報が出た場合は、公式サイトや正規輸入元の発表を確認するようにしましょう。
まとめ:マイヤーズラム オリジナルダークが終売?それでも愛され続ける理由
「マイヤーズラム オリジナルダーク 終売」というニュースは、多くのファンに衝撃を与えました。
しかし実際には、ブランドそのものが消えたわけではなく、日本国内での流通が止まっている状態です。世界的には今も生産が続き、並行輸入などで手に入れることも可能です。
長年愛されてきた理由は、その濃厚で香ばしい味わい、そしてどんな使い方でも存在感を放つ万能さにあります。
もし見かけたら迷わず手に取っておくのがおすすめ。
また、アップルトン・エステートやコルバ ダークラムなどの代替ラムを試してみるのも、新たな発見につながるかもしれません。
今は入手困難でも、再び店頭に並ぶ日を待ちながら、ラムの多様な魅力を楽しみ続けましょう。

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