アシックスの最新中距離スパイク「メタスピードMD」。
名前だけ聞くと厚底ロードモデルの兄弟のようですが、実際は800m〜1500mを主戦場とするアスリート向けのトラックスパイクです。
この記事では、実際に履いて走った感想や、他のメタスピードシリーズ・従来モデルとの違いを徹底的に掘り下げていきます。
レース用スパイク選びに迷っている人の参考になるはずです。
メタスピードMDとは? その位置づけと特徴
メタスピードMDは、アシックスが展開する「METASPEED」シリーズの中でも、トラック中距離専用に開発されたモデルです。
ロード向けの「METASPEED SKY」「METASPEED EDGE」とは異なり、反発力と軽量性を極限まで高めたスパイク構造を採用しています。
特徴的なのは、厚底系スパイクの流れを汲みつつ、中距離に必要な敏捷性やコントロール性を損なわない設計にまとめている点。
中距離種目特有の「瞬発力+耐久力」の両立を目指した構造で、脚を前に弾き出すような反発感が得られます。
FF TURBOミッドソールが生む強烈な反発力
このモデル最大の特徴は、アシックス独自のFF TURBOフォームを搭載していること。
ロードレース用のメタスピードシリーズにも使われている素材で、軽量かつ高反発。
地面に着地した瞬間に力を蓄え、蹴り出し時にエネルギーを一気に返すような感覚があります。
実際に走ってみると、従来の中距離スパイクよりも接地のたびに“跳ねる”ような推進感が強い。
前足部に力をかけた瞬間、路面から押し返されるような感覚が得られ、ストライドを伸ばしたくなる走り心地です。
ただし、柔らかさよりも反発の鋭さを重視しているため、クッション性を期待すると少し硬く感じるかもしれません。
特に短距離寄りの走り方をする選手ほど、この反発を有効に使える印象です。
軽量アッパーのフィット感と安定性
アッパーには「モーションラップアッパー」と呼ばれる薄手のメッシュ素材を採用。
通気性が高く、足を包み込むようなフィット感が得られます。
全体的に軽量で、履いている感覚がほとんどないほど。
しかし、軽いだけでなく中足部のホールド力がしっかりしており、スピードを出しても足がぶれにくい設計です。
中距離レースではカーブでの安定性も重要ですが、メタスピードMDはここがよくできています。
特に400mトラックを連続して走る種目で、アッパーの剛性とグリップ感が心強いと感じました。
実際に履いて走った感想
初めて履いたときに感じたのは、「地面に押し返される感覚がとにかく強い」ということ。
スタート直後から脚がスッと前に出て、スピードを維持しやすい。
800mのレースで試した際には、後半まで脚が残る印象がありました。
従来のように蹴る力に頼らずとも、自然と体が前へ転がっていく走りができるのが魅力です。
ただし反発が強い分、足の接地位置や重心の使い方を意識しないと、脚への負担が大きくなる可能性があります。
特に慣れないうちは短い距離から慣らしていくのがおすすめです。
他のメタスピードシリーズとの違い
アシックスのメタスピードシリーズは「METASPEED SKY」「METASPEED EDGE」「METASPEED LD」「メタスピードMD」と多くのバリエーションがあります。
それぞれターゲットとする距離や走法が異なり、メタスピードMDはその中でもピッチ走法のランナーに合う構造です。
- METASPEED SKY:フルマラソン向け。反発感が強く、ストライドを伸ばして走るタイプ。
- METASPEED EDGE:ハーフマラソン〜30km想定。安定性とコントロール性のバランスが高い。
- METASPEED LD:5000m〜10000mのトラック長距離向け。クッション性が強めで長時間の接地に対応。
- メタスピードMD:800m〜1500m用。軽さと反発性を両立し、スピードと安定を兼ね備える。
メタスピードMDは厚底ロードモデルほどクッションがなく、あくまで「反発で押し出す」タイプ。
走り方としては、フォアフット〜ミッドフット接地を意識すると性能を最大限発揮できます。
コスモレーサーMD3との比較
旧来の代表的中距離スパイク「コスモレーサーMD3」と比較すると、その差は明確です。
コスモレーサーMD3は軽量でグリップが良いものの、クッション性が控えめで、後半に脚が重くなりがちでした。
一方メタスピードMDは、反発力と脚の疲労軽減のバランスが優秀。
FF TURBOフォームの恩恵で、長い距離でもピッチを保ちやすく、後半までペースを維持できます。
また、プレートの硬さもコスモレーサーMD3より程よく抑えられており、扱いやすさという点でも進化を感じます。
初心者でも中距離スパイクとして取り入れやすいモデルです。
他ブランドモデルとの違い
ナイキの「ヴェイパーフライ」やアディダス「アディオスプロ」など、近年は厚底×カーボンプレートの流れがトレンドですが、メタスピードMDはそれらとは少し方向性が違います。
- ナイキ系:柔らかく、転がるような感覚。ロード向け。
- アディダス系:弾力性が高く、接地の安定性が特徴。
- メタスピードMD:硬めでダイレクトな反発、トラックに最適化。
つまり、トラックでのスピード維持とフォーム再現性に特化しているのがメタスピードMDの強みです。
レース後半でも脚が崩れにくく、リズムを保ったまま走れる印象でした。
使用シーンと注意点
メタスピードMDは、トラック中距離の本番レース用として設計されています。
練習で使う場合は、反発が強すぎて脚への負荷が高く感じることもあるため、ポイント練習や試合直前の刺激走に限定するのがおすすめです。
また、硬めの構造ゆえに慣れが必要。
最初は200m〜400mのインターバルで慣らし、フォームが安定してからレース投入すると良いでしょう。
スパイクピンは5mm二段平行柱タイプが標準装備で、トラックとの相性も抜群。
グリップが強く、コーナーでの安定性も申し分ありません。
メタスピードMDを選ぶべきランナー像
- 中距離でタイムを伸ばしたい選手
- フォアフット寄りの走り方をするランナー
- 反発を利用して軽快にピッチを刻みたいタイプ
- コスモレーサーMD3シリーズからの乗り換えを考えている人
一方で、クッション性を求める長距離志向のランナーや、接地に柔らかさを求めるタイプには向かない場合もあります。
その場合は、METASPEED LDやMETASPEED EDGEを検討するとバランスが良いです。
総評:メタスピードMDは「中距離の次世代スパイク」
実際に走ってみて感じたのは、「反発を利用して走る」という新しい感覚でした。
従来のように脚力で押すのではなく、フォームを整えれば自然とスピードが出る。
これまでの中距離スパイクとは明らかに違う感触で、特に800mや1500mのようにラップタイムがシビアな種目で大きな武器になります。
軽量性、反発、安定性の3点を高次元で融合させたメタスピードMDは、まさに中距離スパイクの完成形のひとつ。
中距離レースで限界を更新したい人に、ぜひ試してほしい一足です。
メタスピードMDレビューのまとめ
メタスピードMDは、アシックスの技術が詰め込まれた中距離専用スパイク。
FF TURBOミッドソールによる高反発、軽量アッパーのフィット感、優れた安定性。
どれをとっても完成度が高く、走りの質をワンランク引き上げてくれます。
他のメタスピードシリーズや従来スパイクと比べても明確な進化を感じられるモデルです。
トラックで新しい感覚を体験したいランナーにとって、**メタスピードMD**は間違いなく選択肢のひとつになるでしょう。
