アシックスの最新スパイク「メタスピードLD2」は、長距離ランナーの間で話題を集めています。前作メタスピードLD1からどのように進化したのか。走行性能、反発力、履き心地など、実際の使用感をもとに詳しくレビューしていきます。
メタスピードLD2とは?ASICSが描いた次世代トラックスパイク
メタスピードLD2は、アシックスが開発した長距離向けのカーボンプレート搭載スパイク。3000m〜10000mをターゲットに設計され、反発と安定性の両立を目指したモデルです。
アシックス独自の「FF TURBO」フォームとカーボンプレートの組み合わせが、着地から蹴り出しまでのエネルギーを効率的に伝えます。
また、メタスピードLD2では初代メタスピードLD1から大きく進化したポイントとして「スパイクピンの搭載」があります。前作はピンレス構造でしたが、今回は6本の取替式ピンを採用。これによりグリップ力と加速性能が一段と強化されています。
重さは25.5cmで約143g。軽量でありながら、ミッドソールには十分なクッション性を持たせており、後半まで脚を守る設計になっています。
着地から推進までの流れがスムーズに
実際に走ってみると、メタスピードLD2は“硬すぎず、柔らかすぎない”バランスが際立っています。
カーボンプレートの反発を活かしつつ、FF TURBOフォームの弾性がストライドを自然に前へと伸ばしてくれます。
特に感じるのは「安定した推進感」。爆発的な反発というより、踏み出すたびに確実に地面を押し出す感覚です。トラックのカーブでも足が流れず、設置から離地までの動きがスムーズ。
5000m以上の距離で力を発揮しやすく、ペースを維持したまま後半も脚が残る印象です。メタスピードLD1では少しフラットで接地感が薄かった部分が、メタスピードLD2では明確に改善されています。
反発力とクッション性の絶妙なバランス
「反発」と聞くと、跳ね返るような強烈な感覚を想像するかもしれません。
しかし、メタスピードLD2の反発はもっと“持続的”。
カーボンプレートが一瞬のエネルギーを放出するのではなく、ストライドの中でじわじわと推進力を生み出します。
この特性が、長距離種目での安定感に繋がっています。
例えば5000mの後半でも、フォームを崩さずに走れるという声が多い。脚の疲労を軽減しながらも、必要な反発はしっかり得られる。まさに「最後まで押し切れるスパイク」という印象です。
一方で、Nike Dragonflyなど他ブランドのスパイクと比較すると、瞬発的な弾きはやや控えめ。ただし、これは「安定性を優先した設計」と言えるでしょう。
フィット感と履き心地の進化
メタスピードLD1では「やや小さめ」「タイトすぎる」という声が目立ちました。
しかしメタスピードLD2では、サイズ感が見直され、通常サイズでフィットするよう改善されています。アッパーには通気性に優れた柔らかい素材を採用し、足全体を包み込むような感触。
履き口やかかと周りには適度なパッドがあり、ホールド感が強化されています。
これにより、トラックでの高速走行中も足のズレが少なく、フォームの安定に寄与します。
さらに、軽量ながらも足裏に一定のクッションが感じられ、接地の衝撃を和らげます。長距離スパイクとしては珍しく“優しい履き心地”を感じる人も多いようです。
メタスピードLD1との違いを徹底比較
メタスピードLD2を語る上で欠かせないのが、前作メタスピードLD1との違いです。主な変更点を整理すると以下の通りです。
- ピン搭載:メタスピードLD1はピンレス構造、メタスピードLD2は6本ピン装着式。グリップと加速が向上。
- ソール形状:メタスピードLD2はミッド〜フォアフット重心で走りやすい設計。よりスパイクらしい推進感。
- 厚さの調整:メタスピードLD1は厚底規格(20mm超)で公認レース使用不可。メタスピードLD2は20mm以下に修正し、公認大会対応。
- フィット感:メタスピードLD2は標準サイズでOK。アッパー素材が柔らかく、履き心地が改善。
- 重量:メタスピードLD2はやや軽量化。ピン搭載にもかかわらずバランス良く仕上げている。
つまりメタスピードLD2は、前作の弱点だった「接地感」「スパイクとしてのグリップ」「大会適合性」をすべて克服したアップデートモデルと言えます。
実際の走行レビューと印象
トラックでの走行では、ピンによる食いつきの良さがすぐに分かります。特にスタートやペースアップ時の反応が速く、ピッチ走法でもストライド走法でも扱いやすい。
着地から蹴り出しまでの体重移動が自然で、特別なフォーム修正が不要。反発の方向が真っすぐ前方に出るため、地面に力を伝えやすい構造です。
また、FF TURBOフォームが接地時の衝撃を吸収してくれるため、脚へのダメージも少なめ。長距離レースやインターバルトレーニングでも疲労を抑えやすい印象です。
「Nike Dragonflyのような爆発力はないが、安定して速い」という声が多く、実戦向きのスパイクとして評価されています。
どんなランナーにおすすめか
メタスピードLD2は、5000m〜10000mをメインに戦う中長距離ランナーに最適。
一歩一歩を丁寧に運び、後半も粘りたいタイプの選手に向いています。
また、ピッチ型よりもストライド型のランナーに適しており、脚の回転より「伸び」でスピードを稼ぐ人にフィットします。
スパイク初心者や高校生ランナーでも扱いやすく、メタスピードLD1よりもコントロール性が高いため、フォアフット接地に慣れていなくても走りやすいのが魅力です。
メタスピードLD2のデザインと細部の仕上がり
アッパーは通気性のあるエンジニアードメッシュで、軽さと耐久性を両立。カラーはアシックスらしい鮮やかなレッド系が基調で、見た目からもスピード感が漂います。
ソールのカーボンプレートは薄く均一に配置されており、接地時の安定を保ちつつも推進力を逃さない。細部まで無駄がなく、設計の完成度は非常に高いです。
トラック競技の中でも、記録を狙うランナーが納得できる作りと言えるでしょう。
競合モデルとの比較で見える個性
他メーカーの代表的モデルと比べても、メタスピードLD2には明確な個性があります。
例えばNike Dragonfly 2は、爆発的な反発と軽さで知られていますが、やや不安定な感覚があるという声もあります。
一方でメタスピードLD2は、「安定感」と「持続的な推進力」を武器に、長距離レースでの安定ペースを支える設計。
同じ高反発系でも、“跳ねる”というより“押し出す”タイプの反応が特徴的です。
そのため、力強く走るよりも、フォーム効率を重視するランナーにはメタスピードLD2の方がマッチします。
総評:メタスピードLD2は長距離の新定番スパイク
メタスピードLD2は、アシックスが磨き上げてきた長距離用カーボンスパイクの完成形とも言える一足です。
前作の課題だったフィット感やグリップ、厚底規制への対応をクリアし、走行性能が一段と洗練されました。
反発力は爆発的ではないものの、継続的で安定感のある推進力を発揮。長距離レースで後半までペースを維持したいランナーにとって、信頼できる相棒になるでしょう。
軽さ、クッション性、安定感。その全てを高いレベルで両立させた、まさに“万能型”の長距離スパイクです。
メタスピードLD2の走行性能と反発力を検証して見えた真価
改めてまとめると、メタスピードLD2は「走りやすさ」と「安定感」にフォーカスした一足です。
ピンによるグリップ、FF TURBOフォームのクッション、そしてカーボンプレートの反発が三位一体となり、走行中のエネルギーロスを最小限に抑えます。
メタスピードLD1のようなクセがなく、より多くのランナーが実力を発揮できるスパイク。
記録を狙う大会でも、練習でも信頼できる存在として、今後ますます支持を集めていくはずです。
メタスピードLD2は、長距離ランナーが“最後まで速く、美しく走る”ための理想的なパートナーです。
