最近、スーパーでオリーブオイルを手に取るたびに「前より高くなった?」と感じた人も多いのではないでしょうか。
実際、ここ数年でオリーブオイルの価格は世界的に急上昇しています。その背景には単なる一時的な値上げではなく、気候変動や国際的な需給の変化といった深い要因が隠れています。
この記事では、オリーブオイル値上げの理由と今後の価格動向を、できるだけわかりやすく掘り下げていきます。
オリーブオイル値上げの現状
世界的な食料価格上昇の波が、ついにオリーブオイルにも及びました。
2023年以降、エクストラバージンオリーブオイルの卸売価格は、過去最高水準に達しています。
日本国内でも、輸入品・国産品を問わず、主要ブランドが30〜80%前後の値上げを実施しており、消費者の実感としてもかなりのインパクトがあります。
かつては「健康志向の人が選ぶ高品質な油」という位置づけだったオリーブオイルですが、今では一般家庭にも定着しています。そのため、価格上昇は「生活に直結する問題」として多くの人が注目しています。
なぜここまでオリーブオイルが値上げされたのか
オリーブオイルが値上げされた理由は、一言で言えば「供給が減って需要が増えた」からです。
ただし、その背景にはいくつもの複雑な要素が絡み合っています。
1. 気候変動と干ばつによる生産量の減少
最大の要因は気候変動による収穫量の激減です。
世界最大の生産国・スペインでは、ここ2年ほど続いた記録的な干ばつと熱波の影響で、オリーブの実がほとんど実らない地域が続出しました。
さらに、イタリアやギリシャといった主要産地も同じように高温と水不足に悩まされ、生産量は軒並み落ち込んでいます。
オリーブは気候に敏感な作物で、雨が少なすぎても多すぎても実が傷みやすく、収穫量が安定しません。
その結果、世界全体のオリーブオイル生産量は大幅に減少。市場での流通量が減り、価格が上昇しているのです。
2. 生産コストの高騰
オリーブオイルの価格を押し上げているのは、原料だけではありません。
エネルギー価格の高騰、ガラス瓶やラベルなど資材コストの上昇も大きな要因です。
特にヨーロッパでは、電気代や燃料代が数倍に跳ね上がっており、搾油工場の運営コストが急増。
「瓶代が2倍、電気代が5倍になった」という声も出ています。
このコスト上昇分が製品価格に転嫁され、消費者価格に反映されているという構図です。
3. 健康志向による需要の拡大
一方で、世界的にオリーブオイルの人気が高まっていることも見逃せません。
オリーブオイルは「地中海式食生活」や「良質な脂質」といった健康意識の高まりとともに、これまでオリーブオイル文化のなかった地域でも需要が伸びています。
加えて、ウクライナ情勢によるヒマワリ油の供給不安などで、代替としてオリーブオイルに注目が集まった時期もありました。
つまり、供給が減る一方で需要が増えるという「逆風の二重構造」が発生しているのです。
4. 為替と物流コストの上昇(日本特有の事情)
日本の場合、オリーブオイルの大半は輸入品です。
そのため、円安の影響が価格上昇に直結します。
例えば1ユーロ=130円だった時期から150円台に変動しただけで、輸入価格は単純計算でも15%以上上がる計算です。
さらに、世界的な物流コストの上昇や人手不足による輸送遅延なども重なり、日本の店頭価格は欧州現地価格以上に割高になりやすい状況です。
世界市場の動きとデータで見る価格の実態
国際オリーブ協議会(IOC)の統計では、2024年度のオリーブオイル生産量は大幅減。
特にスペインの生産は通常年の半分以下となり、世界市場への供給が大きく縮小しました。
2025年初頭の時点でも、スペイン産エクストラバージンオリーブオイルの取引価格は4.5〜5ユーロ/kg台と高止まり。
オーガニック製品ではさらに高く、6ユーロ/kgに迫るケースもあります。
これは、過去10年で最も高い水準です。
一方、チュニジアやトルコなどの新興生産国では一部価格が下落傾向を見せていますが、品質や輸送コストを考慮すると、日本市場での価格低下にはすぐにはつながりません。
2025〜2026年の価格動向はどうなる?
「これから価格は下がるのか?」というのが、もっとも気になるポイントでしょう。
いくつかの市場レポートでは、2025年の収穫期以降、一部地域で生産回復の兆しがあるとされています。
特にスペイン南部では雨量がやや戻り、前年より豊作を期待する声もあります。
しかし、ここで注意すべきは「全体の価格が一気に戻るとは限らない」という点です。
理由は次の通りです。
- エクストラバージンオリーブオイルなど高品質オイルは需要が旺盛で、依然として高値を維持する
- 気候変動による不安定さは続いており、安定供給には時間がかかる
- 為替やエネルギー価格などの外部要因が依然リスク要素
つまり、一部の価格調整は見られるものの、完全な値下げ局面に入るにはまだ早いというのが大方の見方です。
オリーブオイル値上げがもたらす生活への影響
家庭の食卓にも直撃
オリーブオイルは、サラダやパスタ、トーストなどに使う身近な調味料。
価格が上がると、「少し控えようかな」と感じる人も増えています。
実際、スーパーでは大容量タイプよりも小瓶タイプが売れ筋に変わるなど、消費行動の変化も出ています。
飲食業界ではメニューや仕入れの見直しも
飲食店や加工食品メーカーにとっても、オリーブオイルの値上げは経営に直結します。
一部では、メニューの価格調整や代替油への切り替えを進める動きも見られます。
ただし、料理の風味やブランド価値を保つために、安易な代替が難しいという声も多く、現場は悩ましい状況です。
長期的にはどうなる?オリーブオイル市場の未来
将来的に価格が安定するかどうかは、気候変動対策や農業技術の進化にかかっています。
ヨーロッパ各国では、干ばつ耐性のあるオリーブ品種の開発や、灌漑システムの改善が進んでいます。
また、サステナブルな農業を支援するEU政策も強化されており、長期的には**「安定供給への投資期」**に入っているといえます。
一方で、短期的には気候リスクが依然として残っており、価格変動の波はしばらく続くと考えられます。
「オリーブオイルの価格が高い=一時的」ではなく、今後数年は高止まりを覚悟する必要があるでしょう。
消費者ができる工夫
価格が上がっても、オリーブオイルを上手に使う方法はあります。
- 開封後は冷暗所で保管し、酸化を防ぐ
- 加熱調理だけでなく、生食(ドレッシングやパン)で香りを楽しむ
- コスパ重視ならブレンドオイルを選ぶ
- オンラインや業務用サイズでまとめ買いして単価を抑える
こうしたちょっとした工夫でも、日々の負担を軽減できます。
オリーブオイルはただの調味料ではなく、健康的な食生活を支える重要な食材。無理のない範囲で賢く取り入れるのがポイントです。
まとめ|オリーブオイル値上げは一時的ではない
オリーブオイル値上げの背景には、地中海地域の干ばつや気候変動、生産コスト上昇、為替の影響など、複数の要因が複雑に絡み合っています。
2025年以降、一部では生産回復も見込まれますが、すぐに価格が元に戻るわけではありません。
今後は「オリーブオイルが高級品化する」時代に入りつつあります。
それでも、多くの人がその香りや健康効果を求め続ける限り、需要は衰えません。
価格の変化を理解しつつ、自分の生活に合った形で付き合っていくことが大切です。
オリーブオイルの値上げは、私たちの食卓やライフスタイルを映す鏡のような存在。
変化の時代を前向きに捉えながら、これからのオリーブオイルとの付き合い方を見直していきましょう。
