あなたは普段、国際興業バスを利用していますか? あるいは、埼玉や東京で「国際興業」のラッピングバスを見かけたことはありますか?
今日は、来年2025年に予定されている、この国際興業バスの運賃改定について、詳しくお話ししたいと思います。
なぜいま、値上げなのか? その具体的な理由と、私たち利用者への影響は? 気になる240円という数字の意味も含めて、わかりやすく解説していきます。
もしあなたが定期券を使っているなら、特に注意が必要なポイントもあります。最後まで読んでいただければ、きっと事前の準備に役立つはずです。
それでは、まずは改定の中身から見ていきましょう。
2025年に2段階で実施!運賃改定の具体的な内容
今回の運賃改定は、同じ年の4月と10月、二つの時期に分けて実施されます。改定される路線も、埼玉県内と東京都内とで異なります。
まず、2025年4月1日からは、埼玉県内のすべての路線バスで運賃が改定されます。県内路線は原則として、現在の運賃から20円の値上げとなります。
この値上げの対象には、池袋や赤羽など東京都内と埼玉県を結ぶ路線のうち、埼玉県内を通る区間も含まれます。
続いて、2025年10月1日からは、東京都内の路線バスの運賃が変わります。
大きなポイントは、ICカード(PASMOやSuica)を使った普通運賃です。これまでの230円が、10円上がって240円になります。現金で乗車する場合の大人運賃も、230円から240円に改定され、ICカード運賃と同額に統一されます。
小児運賃も同様に、現在の120円から10円引き上げられます。つまり、埼玉県内に住む方も、都内でバスを利用する方も、この改定の影響を受けることになります。
なぜ値上げ?運賃改定の3つの背景と理由
さて、一番気になるのは「なぜ値上げするのか」という理由ですよね。国際興業バスは、この運賃改定には複数の理由があると説明しています。大きく分けると、以下の3つの背景があります。
1. ドライバーの待遇改善と深刻な人材不足の解消
まず、バス業界全体が直面している「ドライバー不足」の問題があります。安全にバスを運行するためには、経験豊富な運転士が欠かせません。しかし、労働環境の厳しさから、なかなか人が集まらないのが実情です。
そこで、少しでも魅力的な職場にするために、給与や福利厚生を改善する必要が出てきました。これは、私たち乗客の安全と、ダイヤ通りにバスが来る安定性を守るために、どうしても必要な投資です。
2. 「2024年問題」と「2025年の崖」への対応
ニュースなどで「2025年の崖」という言葉を聞いたことはありませんか? これは、自動車運送事業におけるドライバーの長時間労働を規制する新ルールが、2025年から本格的に適用されることを指します。
また、2024年には大型車の運行管理者の配置が義務化され、安全管理体制の強化が求められています。これらはどれも、より安全な社会を作るための良いルールですが、事業者側には新たな人材の確保や体制構築といったコストの増加がのしかかります。
国際興業バスが掲げる「安全対策の強化」には、こうした新しい社会のルールに対応する費用も含まれているのです。
3. 事業者ごとの運賃設定と持続可能な経営
最後に、これは少し業界の事情になりますが、以前は東京都内の路線バスの運賃はほとんど横並びでした。しかし最近では、各バス会社が走らせている路線の状況(混雑度や沿線の環境)に応じて、運賃を設定する動きが広がっています。
現在、都営バスの均一運賃は210円ですが、多くの民間バス会社は230円に設定しています。今回、国際興業バスが都内路線を240円に引き上げるのも、この流れの一環です。
会社が持続可能な経営を続け、私たちにいつもと同じサービスを提供し続けるためには、適切な収入が必要です。燃料費や車両の更新費用、環境対策のコストなど、あらゆる経費が上昇するなかで、運賃の見直しはやむを得ない判断と言えるでしょう。
定期券利用者は要注意!ICカードと定期券の新たなルール
今回の改定で、特に気をつけなければならないのが、ICカードの定期券(金額式)を利用している方です。いくつか新しい取り扱いが決まっているので、順番に確認していきましょう。
東京都内路線のIC定期券はどうなる?
あなたが現在、国際興業バスの東京都内路線用に、ICカードの定期券(金額式)を持っているとします。この定期券の有効期限が、2025年10月14日以降に切れる場合は、注意が必要です。
なぜなら、2025年10月1日に運賃が230円から240円に上がるため、10月1日以降は、あなたの定期券に設定された旧運賃(230円)と、新運賃(240円)の間に10円の差が生まれてしまうからです。
この場合、あなたが10月1日以降にバスに乗るたびに、その10円の差額を精算しなければなりません。これは自動的にICカードの残高から引き落とされる仕組みです。
この「乗車の都度、差額を払う」という状況を避けたい方は、「買いなおし」という方法があります。
「買いなおし」でスッキリ更新する方法
国際興業バスでは、2025年9月10日以降、窓口で現在の定期券を日割り計算で払い戻し、新しい運賃(240円)に基づいて新しく定期券を購入することができます。この手続きには手数料はかかりません。
ただし、大きな注意点があります。「買いなおし」をすると、今持っている定期券の有効期間がリセットされてしまいます。今の定期券をギリギリまで使いたいのか、それとも面倒な差額精算を避けるために早めに切り替えるのか、ご自身の利用ペースを考えて判断する必要があります。
共通定期券をお持ちの方は一安心
もしあなたが、国際興業バスが関東バスや西武バス、都営バスと共同で発売している「共通定期券」を持っているなら、少し事情が違います。
なんと、この共通定期券の発売価格は、今回の改定でも据え置かれる予定です! ですので、今お持ちの共通定期券は、有効期限が来るまでそのまま普通に使うことができます。
ただし、一点だけ注意点を。共通定期券の対象外となる区間、いわゆる「他社単独区間」を利用する場合には、それぞれのバス会社の個別運賃が適用されます。国際興業バスの単独区間を利用する際は、新しい運賃(240円)が必要になる場合がありますので、ご確認ください。
改定前後は窓口が大混雑!早めの対応を心がけて
もう一つ、利用者の皆さんへの大切なお願いがあります。運賃改定が近づく2025年9月以降、特に10月1日の前後は、定期券の更新や「買いなおし」の手続きのために、バスの営業所の窓口が想像以上に混雑することが予想されます。
国際興業バス自身も、場合によっては「数時間待ち」が発生する可能性があるとお知らせしています。お仕事帰りにふらっと立ち寄るのではなく、少し時間に余裕がある時を選んだり、可能であれば早めに手続きを済ませるといった、計画的な対応をおすすめします。
その他の路線にも波及?高速バス・空港連絡バスも改定
今回の話は、主に都内と埼玉県内の路線バスに関するものですが、実は国際興業グループでは、他の路線でも別途、運賃の見直しが進められています。あなたが利用するかも知れない路線を、いくつかご紹介します。
まず、高速バスでは、2025年7月1日を予定して運賃の改定が行われます。具体的な路線は、池袋駅と成田空港を結ぶ「成田シャトル」、そして池袋駅と御殿場プレミアム・アウトレットを結ぶ路線です。お買い物や空港利用の際は、最新の運賃をチェックしてくださいね。
さらに、ディズニーファンには見逃せない情報です。浦和や武蔵浦和、池袋から東京ディズニーリゾート®へ向かう「ディズニーリゾート線」でも、大きな変更が予定されています。
この路線は、2026年3月1日から運賃の改定と、予約制の再開が実施されます。具体的には、池袋~ディズニーリゾート間の運賃が、現在の大人片道1,000円から1,300円へ、ディズニーリゾート発の浦和・武蔵浦和方面行きが大人1,200円から1,500円へと引き上げられます。
思い出作りや家族でのお出かけにかかる費用の一部として、頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。
私たちの生活を支えるバスを持続させるために
いかがでしたか? 国際興業バスの運賃改定は、単なる「値上げ」という一言では片付けられない、様々な事情が背景にあることがお分かりいただけたかと思います。
バスは、電車が走っていない地域の足となったり、高齢者や学生など、多くの方の日常生活を支える、かけがえのない公共交通機関です。そのサービスを将来にわたって維持していくためには、それを提供する会社自体が健全に経営されていなければなりません。
深刻なドライバー不足を解消し、より安全な運行体制を整え、古くなったバスを新しい環境に優しい車両に入れ替える。どれも私たち乗客のためを思っての施策ですが、そのためには相応のコストがかかります。
今回の国際興業バスが240円に値上げへという決定は、私たち利用者にとっては家計への負担が増えるという事実ではあります。しかしその一方で、明日も、そして10年後も変わらずバスが走り続けてくれるための、必要な経営判断でもあるのです。
次に国際興業バスのバスに乗るとき、この値上げの背景にある「安全」と「持続可能性」について、少し思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。そして、定期券をお使いの方は、ぜひご自身に合った方法で、スムーズに新しい運賃に移行してくださいね。
