「アーリータイムズ イエローラベル」が店頭から姿を消して久しい。かつてコンビニやスーパーでも手軽に買えたバーボンとして、多くのファンに親しまれていたこの一本が、なぜ突然終売となってしまったのか。この記事では、その背景や販売終了の理由、そして現在の在庫状況や復活の可能性について、わかりやすく整理していく。
アーリータイムズ イエローラベルとは？愛された定番バーボンの魅力
アーリータイムズ イエローラベルは、アメリカ・ケンタッキー州生まれの伝統あるウイスキーブランド。創業は19世紀半ばにさかのぼり、長い歴史を持つ老舗ブランドとして知られている。日本ではキリンビールが輸入販売を担当し、「アーリータイムズ イエローラベル」「アーリータイムズ ブラウンラベル」の2種類が長年親しまれてきた。
中でも「アーリータイムズ イエローラベル」は、40度のライトな飲み口とまろやかな甘みが特徴。ソーダ割りやロックでも飲みやすく、ウイスキー初心者にも人気だった。価格も手頃で、1000円前後で購入できる“日常のバーボン”として、家庭でもバーでも広く定着していた。
ところが、そんな定番銘柄が2021年末頃から次第に店頭から消え、2022年には正式に販売終了が発表された。いったい何が起きたのだろうか。
アーリータイムズ イエローラベル終売の時期と経緯
まず、販売終了の時期を整理しておこう。
アーリータイムズ イエローラベルは、2021年末ごろに「一時休売」が告知され、その後2022年6月に正式に「終売」が確定したとされている。日本での輸入販売を担っていたキリンビールが販売を停止し、店頭在庫のみの流通となった。
これに先立って、姉妹品である「アーリータイムズ ブラウンラベル」も2021年に終売となっており、ブランド全体のリニューアルが進んでいた時期だった。イエローラベルの終売は、この流れの一環と見ることができる。
多くの愛飲者にとっては寝耳に水のニュースで、「まさかアーリータイムズがなくなるなんて」とSNS上でも話題になった。
終売の主な理由①：ブランド売却による製造体制の変化
最も大きな理由は、「ブランドの所有企業の変更」にある。
アーリータイムズを長年展開してきたブラウン・フォーマン社（Brown-Forman）が、ブランドをアメリカのサゼラック社（Sazerac）に売却したのだ。
この売却により、製造拠点や原酒の供給ルート、輸出契約などが大きく変化した。
特に日本市場向けのアーリータイムズ イエローラベルは、ブラウン・フォーマン時代に作られた「日本専用仕様」。バーボン法に準拠した新樽熟成のウイスキーで、アメリカ本国で流通していた「ケンタッキー・ウイスキー仕様」とは異なる内容だった。
ブランドオーナーの変更によって、同じ原酒・同じ製法を維持するのが難しくなり、結果として「これまでと同じ味わいでの継続が不可能」と判断されたとみられる。
つまり、終売の背景には「企業間の契約・製造体制の変化」という事情があったわけだ。
終売の主な理由②：原酒不足とウイスキーブームの影響
近年の世界的なウイスキーブームも、アーリータイムズ イエローラベル終売の一因とされている。
世界的にバーボンやスコッチへの需要が高まり、原酒の確保が難しくなっているのだ。熟成には時間がかかるため、一度供給が逼迫すると数年単位で影響が続く。
アーリータイムズ イエローラベルは価格を抑えたエントリー向けウイスキーだったため、製造コストの上昇や原酒不足に直面すると採算が取りづらい。さらに、輸出向け（特に日本仕様）の供給コストは高く、現地企業から見れば「利益率の低いライン」として整理対象になってしまったと考えられる。
ウイスキー業界では、こうした“原酒調整”により、低価格帯のロングセラーが姿を消すケースが近年増えている。アーリータイムズ イエローラベルも、その波に飲まれた格好だ。
終売の主な理由③：ブランド戦略の刷新と新シリーズへの移行
アーリータイムズは、終売と同時にブランドの再構築が進められた。
サゼラック社への移行後、2022年9月には新たに「アーリータイムズ ホワイトラベル」が登場している。これは、イエローラベルの後継的な位置づけではあるものの、実際には味わいも製法も大きく異なる“別物”だ。
アーリータイムズ ホワイトラベルは「アメリカンブレンデッドウイスキー」として販売されており、イエローラベルのような“バーボン”仕様ではない。まろやかで軽やかな飲み口は引き継ぎつつも、法的分類・原酒構成は変更されている。
つまり、アーリータイムズ イエローラベルは「リニューアルによって終売となり、新ブランドへと移行した」と捉えるのが正しい。
市場ニーズの変化、ブランド再構築、コストバランスなど、複数の要因が重なっての決断だったと言える。
アーリータイムズ イエローラベルの在庫・購入方法
「もう手に入らないの？」と思う人も多いだろう。
結論から言うと、今でもごく一部の店舗やネットショップでは在庫が流通している。主に以下のようなルートで探すことができる。
・古酒を扱う酒販店やバー
・Amazonや楽天などのオンラインショップ
・オークションサイトやフリマアプリ
ただし、終売から時間が経過しているため、在庫は非常に少ない。価格も以前の1,000円前後から大幅に上昇しており、2,000〜3,000円、場合によってはそれ以上で取引されている例もある。
また、転売品や模倣品も混在するリスクがあるため、信頼できる店舗から購入することが大切だ。
「今ある在庫が最後のチャンス」と言われるほど流通量は限られており、手に入れたい人は早めのチェックが推奨される。
アーリータイムズ イエローラベルの復活はある？今後の展開を予測
では、「イエローラベル」の復活はあるのか。
残念ながら、現時点で旧仕様の復刻や再販の予定は確認されていない。ブランドの製造・販売体制が変更されているため、同じ原酒・同じ味での再発売は難しいと考えられている。
一方で、アーリータイムズというブランド自体は継続しており、今後も新しいラベルや限定ボトルの展開は期待できる。サゼラック社はバッファロートレースなどの人気バーボンを手がける企業であり、品質面では信頼性が高い。
そのため、「別仕様での新シリーズ登場」や「限定復刻ボトル」の可能性はゼロではない。
ファンにとっては、かつてのアーリータイムズ イエローラベルのように“気軽に飲める日常のバーボン”が戻ってくることを願うばかりだ。
終売が示すウイスキー市場の変化
アーリータイムズ イエローラベルの終売は、単なるブランドの整理ではなく、ウイスキー業界全体の変化を象徴している。
ここ数年で、ウイスキーの需要は世界的に高まり、熟成庫や原酒が追いつかない状況が続いている。その結果、低価格帯の商品が姿を消し、プレミアム志向が加速している。
また、国際的な物流コストの上昇や為替変動も、輸入酒の価格に大きな影響を与えている。特に日本市場は為替リスクが高く、円安局面では輸入コストが大幅に増加する。
こうした要素が重なり、長年親しまれた定番ブランドが相次いで終売・リニューアルされる流れが起きているのだ。
アーリータイムズ イエローラベルもまた、その流れの中で姿を消した一本と言える。
まとめ：アーリータイムズ イエローラベルが愛された理由と、今後の楽しみ方
「アーリータイムズ イエローラベルが終売になった理由は？復活や在庫状況も徹底調査」というテーマで見てきたように、その背景にはブランド売却・原酒不足・市場戦略の変更など、複数の要因が重なっていることがわかった。
しかし、終売によって価値が失われたわけではない。
むしろ「もう手に入らない味わい」として、今では古酒市場で注目を集めている。もし見つけたら、ぜひ大切に味わってほしい。
そして、アーリータイムズというブランドは今も続いている。
新しいアーリータイムズ ホワイトラベルや今後のラインナップを試すことで、“あの頃の一杯”を思い出すことができるかもしれない。
ウイスキーの世界は常に進化している。終売は悲しいニュースではあるが、それをきっかけに新たな銘柄との出会いが待っている。
アーリータイムズ イエローラベルが残した記憶を胸に、これからも自分だけの一本を探し続けたい。
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