「エズラブルックスって、もう手に入らないの?」
最近そんな声を耳にすることが増えました。バーボン好きにとっては馴染み深い名前だけに、「終売」という噂が流れると気になりますよね。この記事では、エズラブルックスの終売の真相やその理由、そして再販の可能性までを、バーボン愛好家の視点から丁寧に掘り下げていきます。
エズラブルックスとは?歴史とブランドの背景
エズラブルックス(Ezra Brooks)は、1957年にアメリカ・ケンタッキーで誕生したバーボンブランドです。当時はウイスキーブームの真っただ中。ジャックダニエルなどの人気に続けとばかりに登場し、豊かな香りと力強い味わいで多くのファンを獲得しました。
ただ、このブランドには少し特殊な歴史があります。最初は自社で蒸留を行わず、他社の原酒を調達してボトリングしていた“ボトラーズブランド”としてスタートしたのです。その後、買収や経営体制の変化を繰り返し、現在はLux Row Distillers(ラックスロー蒸留所)が製造を担っています。
2021年には親会社のLuxcoがMGP Ingredientsに買収され、新たな体制で運営が続いています。つまり「ブランドとしてのエズラブルックス」は現在も存続しており、終売というより“進化の過程”にあるのが実情です。
終売の噂が流れた理由
では、なぜ「エズラブルックス終売」という話が広まったのでしょうか。調べてみると、いくつかの要因が重なっていることがわかります。
① 一部ラインナップの販売終了
ブランド全体ではなく、「Old Ezra 101 Proof」や「Old Ezra 15 Year」など特定のシリーズが生産終了になったことが確認されています。これらは長期熟成のプレミアムバーボンとして人気を博しましたが、原酒の確保が難しくなり、2010年代後半から順次姿を消していきました。
特に「Old Ezra 101 Proof」は愛好家の間でも名酒とされており、終売後はオークションで高値取引されるほどの存在に。こうした一部商品の終了が“ブランド終売”と混同されて伝わった可能性があります。
② 流通体制の変更
アメリカ国内では、エズラブルックスの流通業者が2023年に変更されたことも影響しているようです。これにより一時的に供給が滞り、「もう手に入らないのでは?」という噂が立ったと考えられます。
③ 日本市場での在庫枯渇
日本では輸入代理店や小売店の在庫が少なく、「終売品」「在庫限り」と表示されるケースが増えています。これがSNSや口コミで拡散され、あたかもブランド全体が終売したかのように誤解されている側面もあります。
実際に終売となったボトルたち
愛好家の間で“幻”と語られる終売ボトルも少なくありません。代表的なものをいくつか紹介します。
- Old Ezra 101 Proof
力強いアルコール感とバニラ香が特徴。2018年頃に製造が終了し、後継モデルとして「Old Ezra 7 Year Barrel Strength」が登場しました。 - Old Ezra 15 Year
長期熟成のまろやかさが魅力の限定品。2010年代初頭に終売となり、現在は市場にほぼ出回っていません。 - Ezra Brooks 12 Year Special Reserve
日本でも稀に「終売品」として在庫販売されている旧ラベル。現行ラインには同等品が存在しません。
これらの終売ボトルはいずれも熟成年数や原酒の確保がネックとなったケースが多く、ブランドが方向転換した背景がうかがえます。
現行ラインナップはどうなっている?
ブランド全体が消えたわけではなく、むしろ新たなラインナップで再構築が進んでいます。現在、Lux Row Distillersの公式サイトで紹介されている主なボトルは以下の通りです。
- Ezra Brooks 90 Proof(45%)
クラシックで飲みやすい定番。バニラとキャラメルの香りが心地よい。 - Ezra Brooks 99 Proof(49.5%)
やや高めの度数で、香ばしさとコクを両立。旧101プルーフの後継として人気。 - Old Ezra 7 Year Barrel Strength
7年熟成の樽出しバーボン。旧「101 Proof」のDNAを引き継ぎ、パワフルな味わい。 - Ezra Brooks Bourbon Cream
リキュールタイプで、コーヒーやスイーツとの相性が良い。
つまり、エズラブルックスは“終売”ではなく“刷新”されています。ラベルデザインもモダンに変わり、現代のバーボン愛好家に向けたブランド展開を進めているのです。
終売の背景にある業界事情
バーボン市場はこの10年で大きく変化しました。需要が急増した一方で、長期熟成原酒の確保が難しくなっているのが現実です。
熟成に7年、10年、15年と時間がかかるバーボンでは、一時的な人気上昇がそのまま“原酒不足”に直結します。
エズラブルックスも例外ではありません。特に「Old Ezra」シリーズのような長熟ボトルは、ストックを確保するのが難しく、供給が追いつかなくなりました。結果として、在庫がなくなり次第終売という流れになったわけです。
もう一つの要因は、ブランド戦略の再構築です。新たな蒸留所Lux Row Distillersの稼働により、自社製造体制が整った今、旧仕様から新仕様への転換が進んでいます。終売=終了ではなく、“再スタート”のための過渡期と言えるでしょう。
日本で「終売」とされている理由
日本国内では「エズラブルックス ブラックラベル 終売」などの表記が多く見られます。これは必ずしもアメリカ本国での生産停止を意味するものではなく、輸入代理店の取り扱い終了や在庫限り販売といった“流通上の終売”のケースが多いようです。
また、ウイスキーの人気上昇によって輸入価格や為替の影響も受け、再入荷の見込みが立ちにくいことから「終売品」と表示する販売店が増えています。つまり、日本での“終売”は「一時的に入手困難」という意味合いが強いのです。
再販や復刻の可能性はあるのか?
気になるのは「再販の可能性」でしょう。過去の例を見ると、完全に消えたボトルもあれば、形を変えて復活したケースもあります。
実際、「Old Ezra 101 Proof」が終了した後に「Old Ezra 7 Year Barrel Strength」や「Ezra Brooks 99 Proof」が登場しました。味わいや度数の方向性が似ており、ブランドとして“継承モデル”を明確に打ち出しています。
長期熟成品に関しても、原酒の蓄積が進めば再び限定リリースとして復刻する可能性は十分あります。バーボン人気が続く限り、ブランド側にとっても“復活”はマーケティング上の強みになるからです。
手に入れたいなら今がチャンス?
国内では一部の通販サイトや専門店で「終売在庫」「旧ボトル」として販売されているものがあります。価格は上昇傾向にありますが、今後さらに入手が難しくなる可能性を考えると、欲しい人は早めに確保しておくのが得策です。
ただし、購入の際は並行輸入品や旧ラベル品など、ラベルやロットによって中身が異なる場合があるので注意が必要です。信頼できる店舗や公式輸入代理店から購入することをおすすめします。
まとめ:エズラブルックスは「終売」ではなく「進化中」
結論として、「エズラブルックスが完全に終売した」というのは誤解です。
終売となったのは特定のシリーズであり、ブランドそのものは現在も健在。むしろ、新しいボトルやリニューアル商品を次々と展開し、現代のバーボン市場に合わせた進化を遂げています。
もしあなたが「昔のエズラブルックスが忘れられない」というファンなら、ぜひ現行の「Ezra Brooks 99 Proof」や「Old Ezra 7 Year Barrel Strength」を試してみてください。
そこには確かに、あの時代のスピリットが息づいています。
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