「グレンエルギン12年が店頭から消えている」「通販サイトでも在庫なしが増えている」──そんな声を耳にした方も多いのではないでしょうか。
スコットランド・スペイサイドの実力派蒸留所「グレンエルギン12年」。その代表作ともいえる12年ボトルが終売に向かっているという噂は、ウイスキー愛好家にとって見逃せないニュースです。ここでは、販売終了が囁かれる理由や、まだ購入できる店舗情報を整理して紹介します。
グレンエルギン12年とは？静かな実力派シングルモルト
まずは、「グレンエルギン12年」というウイスキーの基本情報から。
グレンエルギン蒸留所は1898年、スペイサイド地方のエルギン近郊に建てられました。創業以来、個性豊かな原酒を生み出してきた歴史ある蒸留所で、現在はディアジオ（Diageo）社の所有下にあります。
この蒸留所は、もともとブレンドウイスキー「ホワイトホース」に欠かせない原酒を供給してきたことで知られています。そのため、シングルモルトとして独立した製品展開は控えめでしたが、唯一の定番ボトルとしてリリースされていたのが「グレンエルギン12年」です。
特徴は、長い発酵時間とワームタブ冷却によって生み出される、穏やかでオイリーな質感。
香りはリンゴや洋梨、アプリコットのようなフルーティーさに加え、蜂蜜やナッツ、麦芽の甘さが調和しています。
「派手さはないけれど、一度ハマると抜け出せない」と評される、通好みの一本です。
グレンエルギン12年が終売と言われる背景
ここ数年、「グレンエルギン12年が見つからない」「終売では？」という声が急増しています。
実際に、国内外のウイスキー専門店や通販サイトを見ても、12年ボトルは「在庫切れ」「取扱終了」と表示されているケースが目立ちます。
では、なぜこのような状況になっているのでしょうか？考えられる理由を整理してみましょう。
1. 熟成年数付きシングルモルトの原酒不足
ウイスキー業界では、熟成年数を保証するためには一定量の原酒を長期にわたって確保する必要があります。
しかし、世界的なウイスキーブームにより、原酒不足が深刻化。特に12年以上の熟成を経た原酒は確保が難しく、各蒸留所で「年数表記モデルの縮小」が進んでいます。
グレンエルギンも例外ではなく、ブレンド用原酒としての需要が高いため、シングルモルトに割ける原酒が減少していると考えられます。
その結果、定番の12年モデルを継続的に生産することが難しくなっているのです。
2. ディアジオ社のブランド戦略の変化
グレンエルギンを所有するディアジオは、「ジョニーウォーカー」や「タリスカー」など、数多くの人気ブランドを抱えています。
近年は「ブランドの高級化」「限定リリース中心の展開」を進めており、定番モデルを段階的に減らす傾向が見られます。
実際、グレンエルギンからも「グレンエルギン16年」「グレンエルギン19年」「グレンエルギン32年」などの限定リリースが登場しており、定番商品のポジションが薄れつつあります。
こうした動きからも、「12年表記ボトルの生産縮小」または「実質的な終売」が進んでいる可能性が高いと言えるでしょう。
3. 流通量の減少と価格高騰
かつては「手頃な価格で手に入る優良モルト」として人気を集めたグレンエルギン12年。
しかし近年では、通販サイトでも在庫が減少し、価格が高騰しています。海外ショップでは70clボトルが日本円換算で8,000〜10,000円前後、日本国内では1万円を超えるケースも見られます。
さらに、在庫があるショップでも「並行輸入」「旧ボトル」など、入荷時期の異なる商品が混在しており、安定供給が難しい状況です。
この流通不安定さが「終売の兆候ではないか」と噂される要因の一つになっています。
グレンエルギン12年をまだ購入できる場所
「もう買えないの？」と心配な方に向けて、現時点で入手可能なルートを整理します。
ただし、在庫は常に変動するため、購入前には最新の状況を必ず確認してください。
1. 海外通販サイト
イギリスの大手ウイスキーショップ「The Whisky Exchange」や「Master of Malt」などでは、在庫が復活することがあります。
価格は£45〜£55前後で、日本への発送も対応可能です（ただし、関税・送料が別途必要）。
英語表記では「Glen Elgin 12 Year Old 43%」で検索すると見つかることが多いです。
2. 国内のウイスキー専門店
一部の専門店では、まだ少量ながら在庫が残っている場合もあります。
ウイスキーの森、BARレモンハート系列ショップ、信濃屋などがその例です。
ただし、販売価格はプレミア価格化しており、以前のように7,000円台で購入するのは難しくなっています。
3. オークション・中古市場
ヤフオクや楽天ラクマなどのオークションサイト、またはウイスキー専門オークション（Whisky Auctioneerなど）でも、旧ボトルが出品されています。
特に「箱付き・未開封品」は希少性が高く、コレクターアイテムとしても注目されています。
ただし、個人出品の場合は保存状態や真贋の確認が重要です。購入前に出品者情報を十分にチェックしましょう。
グレンエルギン蒸留所の今後と代替モデルの可能性
グレンエルギン蒸留所自体は現在も稼働しており、限定リリースやブレンド向けの出荷を継続しています。
そのため、「12年」という定番モデルは姿を消しつつも、将来的に新たなボトルが登場する可能性は残されています。
また、味の系統が近いシングルモルトとしては、以下の銘柄がよく比較対象に挙げられます。
これらは同じくスペイサイド産で、やわらかくフルーティーなスタイルを持ちます。
もしグレンエルギン12年が手に入らない場合は、これらを試してみるのも一案です。
購入時に注意したいポイント
終売が近づくと、ネット上では並行輸入品や旧ボトルの再販が増えます。
そのため、購入時には以下の点に注意しましょう。
- アルコール度数と容量：正規品は43%・700ml（または750ml）です。
- ラベルデザイン：旧デザイン（緑系ラベル）と新デザイン（ベージュ系）があります。
- 販売店の信頼性：酒類販売免許を持つ正規販売店から購入すること。
- 価格の極端な高騰：相場より大幅に高い価格の場合、プレミア狙いの転売の可能性あり。
また、輸入酒は保管環境が品質に直結します。ボトルの傷や液面低下、コルクの状態なども確認すると安心です。
まとめ：グレンエルギン12年が終売へ…今こそ手に入れるタイミング
静かな人気を誇った「グレンエルギン12年」ですが、原酒不足やブランド戦略の転換により、実質的に流通が止まりつつあります。
現時点で在庫が残るショップは限られており、価格も上昇傾向です。
もしこの繊細でフルーティーなスペイサイドモルトを味わってみたいなら、今がラストチャンスと言っても過言ではありません。
入手できるうちに確保しておくことで、将来的にさらに貴重な1本になる可能性もあります。
ウイスキーの世界では、終売はしばしば新しい出会いの始まりでもあります。
グレンエルギンの名を冠した新たなボトルが再び登場する日を楽しみにしつつ、今あるグレンエルギン12年ボトルを大切に味わいたいものです。
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