「タラモア・デューが終売になったらしい」──そんな噂を耳にした人も多いのではないでしょうか。
バー好きやウイスキー愛好家の間で長年親しまれてきたアイリッシュウイスキー「タラモア・デュー」。まろやかで飲みやすく、初心者から上級者まで支持の厚い一本ですが、最近ネット上では「終売」「在庫限り」という言葉が目立つようになっています。
今回はその真相と現状を、できるだけ分かりやすく整理してお伝えします。
タラモア・デューとは?アイルランドを代表するウイスキーのひとつ
まずは「タラモア・デュー(Tullamore D.E.W.)」というブランドの基本をおさらいしておきましょう。
タラモア・デューは1829年にアイルランド・オファリー州の町タラモアで誕生した老舗ブランド。名前の“D.E.W.”は創業者ダニエル・エドモンド・ウィリアムズのイニシャルで、「露(dew)」を掛けた洒落の効いたネーミングでもあります。
アイリッシュウイスキー特有の3回蒸留による滑らかな口当たりと、モルト・グレーン・ポットスチルの3種類をブレンドしたバランスの良さが特徴。
世界150か国以上で販売されており、販売量ではジェムソンに次ぐ世界第2位の人気を誇るといわれています。
そんなブランドが「終売になった」と聞けば、ファンがざわつくのも無理はありません。
「タラモア・デュー終売」情報の出どころはどこ?
「終売」という言葉が出始めたのは主に日本国内の酒販店やSNS上でした。
一部の店舗では「メーカー終売のため在庫限り」「輸入終了」といった文言が表示され、特に12年ものの「タラモア・デュー12年」を中心に“入手困難”という状況が広まっています。
ネット上の口コミや質問サイトでも「タラモア・デュー12年が終売になると聞いた」「在庫が見つからない」といった声が多数。
こうしたユーザーの投稿が拡散され、「タラモア・デュー=終売」というイメージが独り歩きしているようです。
ただし、ここで重要なのは“すべてのタラモア・デューが終売になったわけではない”という点です。
終売とされているのは「12年」など一部のモデル
実際に調べてみると、終売になったのはタラモア・デューの中でも特定の年数表記モデルであることが分かります。
代表的なのが「タラモア・デュー12年」。国内の多くの販売店で「メーカー終売」「在庫限り」と明記されており、事実上の流通停止状態です。
一方で、定番のノンエイジ(年数表記なし)モデルや、ラム樽で後熟させた「タラモア・デュー XO カリビアンラムカスクフィニッシュ」、リンゴ酒の樽を使った「タラモア・デュー サイダーカスクフィニッシュ」などは引き続き流通しています。
つまり、ブランド全体が終売になったわけではなく、「一部モデルが終了した」というのが正確なところです。
なぜ一部モデルが終売になったのか?
ウイスキーブランドが特定モデルを終売にする理由はさまざまですが、タラモア・デューの場合は以下のような背景が考えられます。
1. 輸入代理店の取り扱い変更
日本市場では、輸入を担当する代理店が変更になったり、取扱ラインナップを整理するケースがあります。
特に販売量の少ない年数表記モデルは、コスト面や需要バランスの理由からカットされることもあります。
2. 熟成年数モデルの供給難
12年、14年といった年数表記モデルは、長期熟成の原酒が必要です。
世界的なウイスキーブームで原酒が不足している現在、各ブランドがラインナップを見直している状況にあります。タラモア・デューも同様に、限られた原酒を主力商品の製造に回した可能性があります。
3. ブランド再編と仕様変更
タラモア・デューは2014年に自社蒸溜所を再稼働させ、ボトルデザインやブレンド構成を段階的に刷新してきました。
こうした流れの中で旧仕様モデルを整理し、よりグローバルなラインナップに統一したという見方もあります。
いずれにせよ、「ブランドの撤退」ではなく「ラインナップ整理」というのが実情です。
今も買えるタラモア・デューの現行ラインナップ
現時点で日本国内でも購入可能なモデルは次のようなものです。
- タラモア・デュー オリジナル:ブランドを代表する定番ボトル。3回蒸留のまろやかさと甘い香りが特徴。
- タラモア・デュー XO カリビアンラムカスクフィニッシュ:ラム樽で後熟させた華やかな香り。トロピカルな甘さが楽しめる。
- タラモア・デュー サイダーカスクフィニッシュ:リンゴ酒の樽で熟成された日本未入荷モデルとして人気。海外サイト中心の流通。
- タラモア・デュー 14年 シングルモルト:日本での流通は限定的だが、海外では継続販売中。
特に「タラモア・デュー オリジナル」や「タラモア・デュー XO カリビアンラムカスクフィニッシュ」は多くの量販店・通販サイトで購入可能です。
「タラモア・デュー12年」を愛飲していた人は、飲み口がやや軽くなるものの、これらのモデルを代替候補として検討するのもおすすめです。
終売モデルは今後どうなる?再販や復刻の可能性
ウイスキー業界では、一度終売になったモデルが数年後に「リニューアル版」として復活することがあります。
ボトルデザインやブレンドを変更して再登場するケースも珍しくありません。
タラモア・デューも、再稼働した蒸溜所で新たな原酒が育ってくれば、将来的に「新しい12年」や「限定熟成シリーズ」が出る可能性もあるでしょう。
そのため、「もう二度と手に入らない」と悲観する必要はありません。
現時点では“旧仕様のタラモア・デュー12年が終売した”という事実を受け止めつつ、今後のブランド展開を楽しみに待つのが良さそうです。
購入時に気をつけたいポイント
もしタラモア・デューを購入する場合は、次の点を意識しておくと安心です。
- 「正規輸入品」かどうかを確認する
並行輸入品は価格が安い反面、輸送状態やラベル仕様が異なる場合があります。輸入者名が明記されているかをチェックしましょう。 - 「在庫限り」「終売表示」には注意
公式の終売であれば再入荷の見込みはほとんどありません。気になるボトルは早めに購入しておくのがおすすめです。 - 価格の急変に警戒する
終売や希少化の情報が出ると、ネットショップやオークションで価格が急上昇する傾向があります。定価相場を把握し、無理のない範囲で判断を。
タラモア・デューの魅力はこれからも続く
今回の「終売騒動」で不安を感じた人も多いと思いますが、タラモア・デューというブランドそのものは健在です。
むしろ、自社蒸溜所の再稼働によって原酒づくりから再出発したことで、今後さらに多彩な表情を見せてくれる可能性もあります。
柔らかく親しみやすい味わいはそのままに、新しいフィニッシュや限定ボトルが登場するたびに話題になるタラモア・デュー。
これからウイスキーを楽しみたい人にとっても、引き続き注目すべきブランドであることは間違いありません。
タラモア・デュー終売の真相まとめ
最後にもう一度整理すると──
- タラモア・デューのブランド自体は終売していない
- 終売になったのは主に**タラモア・デュー12年**など一部の年数表記モデル
- 定番モデルは引き続き販売中で、ブランドの生産も継続
- 将来的にリニューアルや復刻の可能性もあり
つまり、「タラモア・デュー終売」という話題は一部の情報が誤解を呼んだもの。
実際には、アイリッシュウイスキーの名門として今も世界中で愛され続けています。
#タラモアデュー #アイリッシュウイスキー #終売 #ウイスキー好き #レビュー


コメント