「また5,000円超えちゃったから割り勘にすればよかった…」なんて経費精算のたびに頭を悩ませていませんか?
インボイス制度が始まってから、「5,000円」という金額がやたらと気になるようになった方、多いはずです。実はこの「5,000円」、制度の中でまったく意味の異なる2つのルールが存在していて、混同すると経理処理を間違える原因になります。
今回は、経理担当者や個人事業主の方が「結局どうすればいいの?」と迷いがちなポイントを、具体的な計算例を交えながらわかりやすく解説します。2026年10月からの変更点にも触れているので、最新情報を押さえておきたい方はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
なぜ今「5,000円以下」が話題になっているのか
インボイス制度が2023年10月にスタートして、早くも3年が経とうとしています。制度自体は徐々に浸透してきたものの、いまだに「5,000円」にまつわる質問は経理コミュニティで頻出なんです。
理由はシンプル。5,000円という金額が絡むルールが複数あって、しかもそれぞれ計算方法が違うから。さらに2026年10月には経過措置の控除率が変わるので、今まで通りの処理では対応できなくなるケースも出てきます。
特に注意したいのがこの2つ。
- 接待飲食費の5,000円基準(1人あたり税抜5,000円以下なら交際費に該当しない)
- 少額特例の1万円未満基準(税込1万円未満ならインボイス保存不要)
どちらも「少額だから手続きを簡略化できる」という趣旨ですが、インボイス制度導入で判定方法が複雑になっているんです。
接待飲食費の5,000円基準はインボイス制度でどう変わった?
まず大前提として、1人あたり税抜5,000円以下の社内飲食費や接待飲食費は、一定の条件を満たせば「交際費」に該当せず、損金として全額計上できます。
ただしインボイス制度開始後は、取引先が適格請求書発行事業者かどうかで計算方法が変わるんです。
税抜経理の場合の具体的な計算方法
税抜経理を採用している企業では、以下のように考えます。
相手が適格請求書発行事業者の場合、消費税額が明確なので、単純に本体価格で判定できます。たとえば飲食代が税込5,400円(税抜5,000円+消費税400円)なら1人あたり税抜5,000円となり、基準内に収まります。
ところが相手が免税事業者でインボイスを発行できない場合、経過措置で控除できない消費税部分を本体価格に上乗せして再計算しなければなりません。
具体的な例を見てみましょう。
- 税込5,500円の飲食、参加人数4名、経過措置控除率70%(2026年10月以降)の場合
- 控除できない消費税:500円 × 30% = 150円
- 再計算後の税抜価格:(5,500円 + 150円)÷ 1.1 = 5,136円
- 1人あたり:5,136円 ÷ 4人 = 1,284円 → 5,000円以下なのでOK
このように、税込価格だけで判断すると本来は5,000円を超えているケースでも、再計算によって判定が変わる可能性があるので注意が必要です。
2026年10月から経過措置が70%に引き下げ
ここが重要なポイントなのですが、2026年10月1日以降、仕入税額控除の経過措置が現在の80%から70%に引き下げられます。
どういうことかというと、免税事業者からの仕入れで控除できない消費税部分が増えるので、前述の再計算でも本体価格がより高くなりやすいんです。
たとえば先ほどの例で控除率が80%の場合は、控除できない消費税が100円(500円の20%)だったのが、70%になると150円(500円の30%)に増えます。これにより、これまで5,000円以下に収まっていたケースでも超えてしまう可能性があるので、事前のシミュレーションをおすすめします。
少額取引の特例「税込1万円未満」はインボイス不要って本当?
もうひとつ、多くの方が気になっているのが「少額特例」です。
これは、税込1万円未満の課税仕入れであれば、インボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除ができるという制度。つまり、5000円以下の少額取引はもちろん、1万円未満までなら領収書の保存義務が緩和されるわけです。
ただし適用には条件があります。
- 基準期間(2年前)の課税売上高が1億円以下であること
- 2023年10月1日から2029年9月30日までの期間限定措置であること
この特例、実務上かなり使える場面が多いです。たとえばコンビニでの急な消耗品購入や、コインパーキング代、自動販売機での飲み物購入など、インボイスをもらうのが難しい少額取引で非常に役立ちます。
帳簿への記載事項として「取引年月日」「取引内容」「支払金額(税込)」「相手方の名称」をきちんと残しておけばOKなので、経費精算の手間がぐっと減りますよ。
実務で間違えやすいポイントと対処法
ルールを理解していても、日々の業務の中ではうっかりミスが起こりがちです。特によくある勘違いを整理しておきましょう。
「とりあえず税込5,000円以下なら大丈夫」と思っている方は要注意。接待飲食費の5,000円基準は「税抜」です。税込5,500円(税抜5,000円)が目安になりますが、消費税率が10%でない取引や、軽減税率8%のケースでは計算が変わるのでご注意ください。
また、少額特例の1万円未満は「税込」判定です。ここを混同して税抜1万円と思い込むと、本来特例が使える取引でわざわざインボイスを要求してしまう無駄が生じます。
経費精算の現場では、従業員向けに「飲食代は税抜判定、それ以外の少額購入は税込判定」とざっくり覚えてもらうだけでも、申請時の混乱が減らせるはずです。
インボイス制度の少額取引ルールを押さえてスムーズな経理処理を
ここまで解説してきたように、インボイス制度における5000円以下の取引まわりは、2026年10月の経過措置変更を見据えて早めに対応を整えておくことが大切です。
特に「接待飲食費の5,000円基準」と「少額特例の1万円未満基準」は、判定方法も使う場面もまったく異なるルールなので、社内マニュアルや経費精算システムの設定を見直しておくといいでしょう。
今後の変更点を踏まえて、自社の経理フローが適切にアップデートされているか、ぜひこの機会にチェックしてみてくださいね。

