「え、カロリ。ってもう売ってないの？」
最近そんな声をよく聞きます。かつてサントリーが展開していた人気チューハイ「カロリ。」は、カロリー控えめで女性を中心に支持を集めたロングセラー商品でした。しかし、2019年頃を境に店頭から姿を消し、「終売」との噂が広まっています。この記事では、「カロリ。」が本当に終売になったのか、その理由や再販の可能性について詳しく掘り下げていきます。
カロリ。とは？軽さと甘さで人気を博したチューハイ
「カロリ。」は2003年にサントリーから発売された缶チューハイブランドです。
名前の通り「カロリー控えめ」をコンセプトに掲げ、350mlあたり約77キロカロリーという低カロリー設計が特徴でした。アルコール度数も3〜4％と控えめで、軽く飲みたい層やお酒が得意でない人にも人気がありました。
ラインナップも豊富で、地中海レモン、白桃、巨峰、アロエヨーグルト、マスカットピーチなど、フルーツ系を中心に多彩なフレーバーを展開。中には限定フレーバーも登場し、「軽いけどしっかり美味しいチューハイ」として支持を集めていました。
健康志向ブームが始まりつつあった2000年代後半に、「カロリーオフでおいしい」という訴求は時代にマッチしており、一時はチューハイ市場で確固たる地位を築いたブランドでした。
カロリ。は本当に終売になったのか？
結論から言うと、「カロリ。」はすでに販売終了しています。
サントリーの広報担当者によると、「マーケティング上の判断により販売を終了した」と公式にコメントが出されています。
2019年10月には主要メディアでも「カロリ。終売」のニュースが報じられ、以下のようなラインナップ別の販売終了時期が明らかになりました。
- 地中海レモン：2019年10月下旬ごろ
- マスカットピーチ／アロエヨーグルト／巨峰：11月上旬ごろ
- 白桃：11月下旬ごろ
「店頭から製品がなくなり次第販売終了」という形で、順次姿を消していきました。通販サイトでも「メーカー終売」「在庫限り」という表示が続出し、現在は入手困難となっています。
カロリ。が終売になった理由
サントリーの発表では「マーケティング上の判断」としか述べられていませんが、その背景を読み解くと複数の要因が見えてきます。
1. 市場競争の激化と差別化の難しさ
缶チューハイ市場は、アサヒ、キリン、宝酒造など大手メーカーがしのぎを削る激戦区。
「糖質ゼロ」「果汁○％」「アルコール9％」「無糖」など、機能性や味わいでの差別化が急速に進みました。アサヒの「Slat」など、より強い“糖類ゼロ・低カロリー”訴求の商品が登場し、「カロリー控えめ」だけの特徴では存在感を維持しづらくなっていったのです。
2. 健康志向の進化
2000年代初期は「カロリーオフ」が健康志向の代名詞でしたが、2010年代以降は「糖質ゼロ」「人工甘味料不使用」「機能性表示食品」など、より明確で高次な健康訴求へと進化しました。
「カロリ。」はその流れに追いつけず、消費者の嗜好変化に対応しきれなかったと考えられます。
3. ブランドの長寿命化による陳腐化
「カロリ。」は2003年発売から約16年ものロングランを続けたブランドでした。
当初は斬新だったコンセプトも、時代の変化とともに新鮮味が薄れ、リニューアルを繰り返しても市場に新しいインパクトを与えづらくなっていった可能性があります。
4. サントリーのブランド整理・再編
大手飲料メーカーは、常に新ブランドの開発と既存商品の整理を繰り返しています。
サントリーもチューハイ市場で「ほろよい」「－196℃」「こだわり酒場のレモンサワー」などの人気シリーズを抱えており、これらのブランド強化に注力するために、販売規模の縮小した「カロリ。」を終了したとみられます。
5. 消費スタイルの変化
若年層の「お酒離れ」や「家飲みスタイル」の多様化も影響しています。
かつては「カロリー控えめで飲みやすい」という価値が強みでしたが、現在では「低アル」「ノンアル」「糖質ゼロ」など、より具体的なニーズを満たす商品が増加。結果として、カロリ。の存在意義が薄まったと言えるでしょう。
終売を惜しむ声とファンの存在
SNSを覗くと、「カロリ。がなくなって悲しい」「あの味が好きだったのに」「もう一度飲みたい」という投稿が今も少なくありません。
特に20〜30代で青春時代に親しんだ世代からは、懐かしむ声が多く見られます。
一方で、飲食店関係者やバー業界の一部からも「扱いやすい度数で女性にも人気があった」と惜しむ声が上がっており、根強いファン層が存在していたことがうかがえます。
こうした愛着の強さは、ブランドが一定の文化的存在だったことを示しています。
再販の可能性はあるのか？
では、「カロリ。」が今後再販される可能性はあるのでしょうか。
結論としては、現時点ではその見通しは立っていません。
サントリーの公式サイト「製造終了商品一覧」にも「カロリ。」の掲載があり、完全にライン終了扱いとなっています。メーカーとしては、既に他のチューハイブランドへの注力を進めており、単独ブランドとして復活する可能性は低いでしょう。
ただし、近年の「懐かしの復刻ブーム」や「期間限定再販」などの動きは他社でも見られます。もし「カロリ。」に対する需要がSNSなどで再燃すれば、数量限定の再販やコラボ復活という形で再登場する可能性はゼロではありません。
その一方で、当時の「低カロリー・甘め・ライトな味わい」と同系統の商品は現在も市場に多数存在します。アサヒ「Slat」やサントリー「ほろよい」などがその後継ポジションを担っており、カロリ。の遺伝子は他ブランドに引き継がれているとも言えるでしょう。
カロリ。終売に見るチューハイ市場の移り変わり
「カロリ。」の終売は、単なる1商品の終了ではなく、時代の変化を象徴する出来事でもあります。
2000年代の“カロリーオフブーム”から、2020年代の“ゼロ・無糖・クラフト系”への転換。消費者の嗜好や健康意識が成熟し、多様化したことで、ブランドも常に新陳代謝を迫られる時代になりました。
今後の缶チューハイ市場では、「低糖質」「自然派素材」「微アルコール」「機能性ドリンク」など、より個性のある商品が主流になっていくでしょう。
カロリ。のようなブランドが復活するには、単なる懐かしさではなく、新しい価値提案が求められるはずです。
カロリ。が終売した今、私たちは何を選ぶべきか
「軽くておいしい」「罪悪感なく飲める」という魅力を持っていたカロリ。
その系譜を探すなら、糖質ゼロ系や低アルコール系のチューハイ、あるいはノンアルスパークリングなどが選択肢になるでしょう。
結局のところ、「何をどう飲むか」は時代とともに変わります。でも、“あのカロリ。”を懐かしむ気持ちは、多くの人の中に今も残っているのかもしれません。
「カロリ。が終売って本当？」
――はい、本当です。そしてそれは、私たちの飲み方や時代の移り変わりを映す鏡でもありました。
再販を願う声が多いほど、ブランドは息を吹き返すチャンスを得ます。いつかまた、あの軽やかなチューハイに再会できる日を願って。
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