「最近、キリン アルカリイオンの水を見かけなくなった」と感じた人は多いのではないでしょうか。長年にわたって多くの家庭で親しまれてきた定番のミネラルウォーターですが、実はすでに出荷終了となっています。なぜ終売になってしまったのか、その背景や再販の可能性について、詳しく整理していきます。
キリン アルカリイオンの水とは?どんな特徴のある飲料だったのか
キリン アルカリイオンの水は、キリンビバレッジが販売していたアルカリ性のミネラルウォーターです。採水地は静岡県焼津市で、硬度64mg/Lの軟水。pH値は8.8〜9.4という弱アルカリ性で、まろやかで飲みやすい口当たりが特徴でした。
キャッチコピーは「飲んでおいしい、料理においしい、カラダにやさしい」。その名の通り、日常の水分補給だけでなく、料理やお茶・コーヒーにも合う“万能水”として人気を集めていました。特に2000mLのペットボトルは家庭用として定番でしたが、500mLの携帯サイズも広く流通していました。
終売の事実と公式発表
まず事実関係として、キリン アルカリイオンの水は公式に「出荷終了」が発表されています。
キリンビバレッジの公式サイトによると、2Lペットボトルは2022年9月末をもって出荷を終了。そして、500mLを含む全ラインナップも2024年9月で出荷終了になりました。つまり、2024年秋以降は新規の製造・流通が完全に止まった形です。
一方、終了直前まで店頭では在庫が販売されていたため、「まだ売っているのでは?」という声も一部では見られました。実際、通販サイトやドラッグストアの在庫は一時的に残っていましたが、現在では「メーカー終売」扱いになっています。
なぜ終売になったのか?考えられる背景と理由
1. 市場競争の激化と利益率の低下
ミネラルウォーター市場はここ数年、非常に競争が激しくなっています。サントリー 天然水やアサヒ おいしい水 天然水など、主要メーカーが全国規模で販売を拡大し、価格競争も過熱しました。その結果、販売単価が下がり、利益を確保しにくくなったと考えられます。
かつてキリン アルカリイオンの水は国内シェア3位の座にいた時期もありましたが、競争環境の変化とコスト上昇により、安定した収益を維持するのが難しくなっていったのです。
2. 原材料・物流コストの高騰
2020年代に入ってからの大きなトレンドとして、原材料費や物流費の上昇があります。ペットボトルの原料価格、燃料費、輸送コストなどが世界的に上昇し、ミネラルウォーター業界全体が圧迫されました。
製造・出荷コストが増える中で、価格を上げづらいジャンルの商品は、どうしても採算が厳しくなります。水は生活必需品であるため、価格転嫁にも限界があり、結果的に終売という判断につながった可能性が高いでしょう。
3. 商品ラインナップの整理とブランド戦略の刷新
キリンビバレッジは、2022年にキリン 自然が磨いた天然水を新たに発売しました。このタイミングで2Lのアルカリイオンの水を販売終了にしており、ブランドの整理と刷新が進められたことがうかがえます。
“アルカリイオン”という電気分解由来の名称よりも、“天然水”という自然派イメージの方が消費者にわかりやすく、信頼されやすい傾向があります。健康志向やナチュラル志向が高まるなかで、ブランドメッセージを一新する狙いがあったと考えられます。
4. 消費者ニーズの変化
消費者の水に対する価値観も変化しています。近年は「天然」「国産」「軟水」といったキーワードが重視され、採水地やボトルデザイン、環境配慮も選択基準の一部になっています。
一方で、「アルカリイオンの水」という名称はやや技術的で、化学的な印象を持たれる場合もあります。ナチュラルなブランドへ移行する流れの中で、終売は自然な選択とも言えるでしょう。
5. 味や評価の課題
レビューサイトなどでは、「クセがある」「塩素のような香りを感じる」「ミネラル感が強い」といった意見も見られました。もちろんファンも多かったものの、万人受けしづらい味の傾向があったのかもしれません。
ミネラルウォーターは日常的に飲むものだからこそ、「誰が飲んでも違和感がない」「すっきりとした飲みやすさ」が重要です。新ブランドキリン 自然が磨いた天然水では、その点を重視した設計になっています。
終売後の状況と入手方法
出荷終了後も、しばらくは店頭やネットショップで在庫品が購入できました。しかし2025年現在では、多くの通販サイトで「販売終了」「在庫限り」と表示されています。特に2Lタイプはすでにほぼ流通が途絶えており、残っているのは小容量タイプやケース販売の在庫のみです。
一部のショップでは価格が上昇傾向にあり、“終売品”として希少化している例もあります。もしどうしても入手したい場合は、在庫状況をよく確認する必要があります。
後継商品キリン 自然が磨いた天然水との関係
キリン アルカリイオンの水の販売終了に合わせて登場したのが、キリン 自然が磨いた天然水です。こちらは“天然由来のやわらかい口当たり”を前面に打ち出した新ブランドで、ペコロジーボトルという軽量容器を採用。環境負荷を減らしつつ、使いやすさも向上しています。
つまり、キリン アルカリイオンの水の完全な“代替商品”として設計されていると見るのが自然でしょう。ブランド名と訴求軸を変えることで、より幅広い層への浸透を狙った形です。
再販の可能性はあるのか?
現時点で、キリンから「再販」や「復活」に関する公式発表は出ていません。2L・500mLともに出荷終了が明記されているため、少なくとも同じ名称・仕様での再登場の可能性は低いと考えられます。
ただし、過去にも飲料業界では、人気商品の要望が高まった結果、限定復刻や地域限定販売として再登場するケースもあります。キリン アルカリイオンの水にも根強いファンが多かったことから、完全にゼロとは言い切れません。とはいえ、今後は「天然水」路線の強化が中心となるでしょう。
消費者が取れる選択肢
キリン アルカリイオンの水を愛用していた人にとって、突然の終売は残念なニュースかもしれません。しかし、代替品や類似製品を選ぶことで、同様の飲み心地を楽しむことは可能です。
- キリン 自然が磨いた天然水:後継ブランドとして最も近い存在。軟水で飲みやすく、安心の国産水。
- サントリー 天然水:クリーンでクセのない味わい。
- アサヒ おいしい水 天然水:まろやかな口当たりが特徴。
- い・ろ・は・す:軽い飲み心地と環境配慮ボトルが魅力。
好みの味や硬度を比較しながら、自分に合った「次の水」を探してみるのもおすすめです。
キリン アルカリイオンの水が残したもの
終売という形で幕を下ろしたキリン アルカリイオンの水ですが、その存在は決して小さくありませんでした。2000年代初頭から家庭の定番として長く愛され、アルカリ水ブームを牽引したブランドのひとつでもあります。
いま振り返れば、その役割は「日本人が日常的に“水を選んで飲む”時代」を作った立役者でもありました。健康志向の高まりや、飲料多様化の流れを受け、次の時代へバトンを渡したとも言えるでしょう。
キリン アルカリイオンの水 終売の理由と今後の展望
結論として、キリン アルカリイオンの水が終売となった背景には、市場環境の変化・コスト上昇・ブランド戦略の刷新といった複合的な要因があります。単純に「売れなくなった」というよりも、時代の流れに合わせて役割を終えたと捉える方が正確です。
そして、キリンはすでにキリン 自然が磨いた天然水という新たな軸で次のステージに進んでいます。環境や品質に配慮した新ブランドが成長する一方で、キリン アルカリイオンの水の名は、いまも多くのファンの記憶に残っています。
時代とともに変わり続ける飲料の世界。その中で、“あの味”を懐かしく思い出す人たちの記憶こそが、キリン アルカリイオンの水の最大の遺産なのかもしれません。

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