最近、「メーカーズマーク カスクストレングスが見つからない」「終売したのでは?」という声をよく耳にします。公式に販売終了の発表はないものの、国内の流通量が極端に減り、実質的に“終売状態”と感じている人が多いようです。この記事では、メーカーズマークカスクストレングスの特徴から、なぜ入手困難になっているのか、そして代わりに楽しめるウイスキーまで、詳しく掘り下げていきます。
メーカーズマークカスクストレングスとはどんなウイスキー?
まずは基本から。メーカーズマーク カスクストレングスは、アメリカ・ケンタッキー州ロレッタにあるメーカーズマーク蒸溜所が手がける、ブランドの上位モデルです。一般的なメーカーズマークがアルコール度数45%で加水されているのに対し、カスクストレングスは樽出しそのまま、54〜57%のハイプルーフ仕様。いわゆる“原酒に近い”無加水バーボンです。
冬小麦を副原料に使ったウィーテッド・バーボン特有の、まろやかで甘い味わいが特徴。そこに樽出しの力強さと奥行きが加わり、バニラやキャラメル、オークの香りが濃厚に広がります。重厚でありながら角が立たず、柔らかい余韻が続くため、バーボン好きから高い評価を得てきました。
日本での流通と入手状況
かつてはサントリーが正規輸入を行い、国内でも7000円前後で販売されていました。しかし、ここ1〜2年ほどでその姿をほとんど見かけなくなった、という声が増えています。
大手通販サイトでも「在庫なし」や「次回入荷未定」の表示が目立ち、あっても並行輸入品やプレミア価格が中心。店舗によっては1万円を超える価格で出品されているケースもあります。つまり、定価で気軽に買える時代は終わりつつあるのです。
では、なぜこんなに姿を消してしまったのでしょうか。
終売(または流通減少)の理由と背景
メーカーズマークカスクストレングスが事実上の終売状態にある理由はいくつか考えられます。ひとつずつ整理してみましょう。
1. ブランド戦略の変化
メーカーズマークは近年、「メーカーズマーク 46」や「メーカーズマーク 101」、さらには「メーカーズマーク セルラーエイジド」といった上位モデルを積極展開しています。これらは、樽や熟成方法にこだわったプレミアム仕様のラインです。ブランドとしての焦点が“クラフト感と高級感”にシフトしているため、カスクストレングスを常時流通させる必要性が薄れてきたと考えられます。
2. 限定バッチ生産という性質
カスクストレングスは“バッチ”ごとに度数や味が異なり、少量生産が基本。大量に作る定番商品ではなく、蒸溜所の原酒状況によって供給量が変わるため、次のバッチがいつ出るか分からないという不安定な面があります。そのため、在庫が尽きれば一時的に市場から消えることも珍しくありません。
3. 世界的なバーボン需要の高騰
アメリカンウイスキー人気の高まりにより、世界中でバーボンの原酒が不足しています。メーカーズマークも例外ではなく、原酒を長期熟成や限定ボトルに優先させる傾向が強まっているようです。結果として、カスクストレングスのような「贅沢な原酒仕様」は後回しになっている可能性があります。
4. 輸入コストと為替の影響
ここ数年の円安・物流コスト高騰も、輸入酒全体に大きな影響を与えています。加えて、アメリカの蒸溜所では国内需要が拡大しており、日本向けの出荷量を減らしているという見方もあります。このような環境下では、輸入を継続するだけでもコストリスクが高く、限定的な販売に切り替えるのは自然な流れです。
5. 販売チャネルの変化
空港免税店や海外限定ボトル(トラベルリテール)に力を入れる蒸溜所も増えています。メーカーズマークもその例に漏れず、日本国内での通常流通よりも海外マーケットを優先していると考えられます。その結果、国内正規ルートでの供給量が減り、「店頭で見かけない=終売?」という印象につながっているのです。
実際のところ「終売」なのか?
メーカーズマークやサントリーから、公式に「販売終了」と発表された形跡は今のところありません。したがって、厳密には「終売」とは言い切れません。
しかし、現実的には「実質的な終売状態」といえます。理由は、国内流通がほぼ途絶えていること、再入荷時期が不明なこと、そしてプレミア化によって市場価格が上昇している点です。実際、オークションサイトでは定価の倍以上で取引されているケースもあり、再販の見通しは立っていません。
今のうちに手に入る可能性がある場所
・海外通販(ただし送料・関税が高額)
・一部のバー・専門店(開栓ボトルのみ提供)
・オークションサイトや個人取引(リスクあり)
いずれも入手難度が高く、価格も不安定です。購入を検討する際は、信頼できる店舗・正規販売ルートを選ぶことが重要です。
メーカーズマークカスクストレングスに近い味わいの代替ウイスキー
「もう手に入らないなら、似た味わいを探したい」という人も多いでしょう。ここでは、カスクストレングスの魅力――“甘さと力強さの両立”――を軸に、代替となるウイスキーをいくつか紹介します。
メーカーズマーク 101
同ブランドの上位モデルのひとつで、アルコール度数は50.5%。カスクストレングスほどの爆発力はないものの、メーカーズマークらしいバニラの甘さと滑らかさが健在。比較的入手しやすく、日常の一杯にもぴったりです。
メーカーズマーク 46
フレンチオークのステーブを使った追加熟成によって、深いコクとスパイシーな香りを持つモデル。メーカーズマークカスクストレングスよりも複雑で、落ち着いた印象です。日本市場でも安定供給されており、メーカーズマークファンなら一度は試す価値があります。
ラーセニー バレルプルーフ
同じウィーテッド・バーボン(冬小麦を副原料に使用)で、度数もカスクストレングス級。重厚な甘みとオークの香ばしさが特徴で、アメリカ本国では高い人気を誇ります。日本では並行輸入中心ですが、探せば入手可能です。
ウェラー フルプルーフ
「幻のウィーテッド・バーボン」とも呼ばれる一本。メーカーズマークと系統が近く、まろやかな甘さと高い度数のバランスが絶妙です。ただし、価格が高騰しており、コレクター向けと言えるでしょう。
オールド フィッツジェラルド ボトルドインボンド
100プルーフ(50%)でボトリングされたクラシックなウィーテッド・バーボン。メーカーズマークカスクストレングスより度数は低いものの、同じ系統の香味を楽しめます。上品で落ち着いた甘さを求める方におすすめです。
もし再販があれば注目したい理由
メーカーズマークカスクストレングスは、単に“度数が高いモデル”というだけでなく、ブランドの哲学を象徴する存在でもあります。手づくり・無加水・封蝋仕上げというこだわりが凝縮されており、バーボンの原点を味わえる一本でした。
そのため、再販があれば一気に話題になる可能性があります。海外では現在も最新バッチ(Batch 23-01や24-03など)がリリースされているため、日本市場に再び入ってくる可能性はゼロではありません。もし店頭や通販で見かけたら、迷わず確保しておくのが良さそうです。
メーカーズマークカスクストレングス終売の理由まとめ
・公式発表はないが、国内流通量が激減している
・ブランド戦略の転換、原酒不足、輸入コスト高騰など複数要因が影響
・実質的には「終売」に近い状態
・代替候補としてはメーカーズマーク 101やメーカーズマーク 46、ラーセニー バレルプルーフなどが有力
バーボン人気の高まりとともに、定番商品が次々と姿を消す時代になっています。メーカーズマークカスクストレングスもその波に飲まれた一本と言えるでしょう。とはいえ、ブランドとしての魅力は今も健在です。手に入れるチャンスがあれば、ぜひその深い甘みと力強さを味わってみてください。

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