「フェルネット・ブランカって、もう終売になったの？」
最近そんな声をよく耳にします。かつてバーで定番だったこのハーブリキュール、今ではどこを探しても見つからないという人も多いでしょう。今回は、フェルネット・ブランカが本当に終売になったのか、その真相と現状をじっくり探っていきます。
フェルネット・ブランカとはどんなお酒？
フェルネット・ブランカ（Fernet Branca）は、1845年にイタリア・ミラノで誕生したハーブ系リキュール。40種類以上のハーブやスパイスをブランデーに漬け込み、オーク樽で1年以上熟成させるという手間のかかった製法で知られています。
独特の強烈な苦味が特徴で、「世界一苦い」とまで言われることもあるほど。けれど、その奥にはミントやシナモン、カモミールのような複雑な香りがあり、慣れるとクセになる味わいです。
アルコール度数は約35〜39度。食後酒としてそのまま飲むほか、コーラ割り（通称“フェルネット・コン・コーラ”）も人気です。特にアルゼンチンでは国民的ドリンクと呼ばれるほどの定番で、パーティーや家庭でも愛されています。
日本ではなぜ「終売」と言われているのか？
実際のところ、フェルネット・ブランカはイタリア本国では今も生産が続いています。終売になったわけではありません。
しかし、日本国内では「どこにも売っていない」「再入荷予定なし」という状況が続いており、実質的に入手困難＝終売状態と感じられるようになっています。
国内の大手通販サイトを調べると、楽天やYahoo!ショッピング、Amazonなどで販売ページ自体は残っていますが、いずれも「売り切れ」「在庫なし」「再入荷未定」といった表示が並んでいます。中には「並行輸入品のみ」「在庫わずか」と書かれている店舗もあり、流通量が極端に減っていることが分かります。
とはいえ、メーカーや輸入代理店から「正式に日本向けの販売を終了した」という発表は出ていません。つまり、フェルネット・ブランカは公式な意味での終売ではなく、流通が止まっているだけというのが現実です。
背景にある「輸入停止」と「ニーズの変化」
では、なぜ日本では流通が途絶えてしまったのでしょうか。理由はいくつか考えられます。
まず第一に、輸入代理店の契約変更や流通体制の見直しが挙げられます。輸入酒ではよくある話で、代理店が撤退すると次の業者が見つかるまで国内流通が一時的に止まることがあります。
また、為替変動や物流コストの上昇も影響している可能性があります。輸入コストが高騰すれば、販売価格も上がり、結果的に仕入れを控える小売店が増えてしまいます。
もう一つの要因は、需要の変化です。
フェルネット・ブランカのような苦味系リキュールは、バー文化が強い欧米や南米では根強い人気がありますが、日本ではどうしても好みが分かれるタイプ。
パンデミック以降、バーや飲食店の仕入れ需要も減少したことから、取扱店が減少し、流通が細くなっていったと考えられます。
現在の入手ルートと価格の高騰
では、今フェルネット・ブランカを入手するにはどうすればいいのでしょうか。
現状、購入できる可能性があるのは以下のようなルートです。
- 並行輸入を扱う海外通販サイト
- 在庫を抱えている専門酒販店
- バーや個人コレクターのストック
- メルカリなどの中古市場（※酒類販売には法的制限あり）
ただし、注意が必要です。並行輸入品は正規輸入品とはラベルや度数が異なることがあり、保存状態も一定ではありません。また、価格も以前よりかなり高騰しており、かつて3,000円前後だったボトルが今では倍近くまで上がっていることも珍しくありません。
このように、フェルネット・ブランカは今や**「探す楽しみのある酒」**とも言える存在になってしまいました。
海外では今も人気絶頂
一方で、世界に目を向けるとフェルネット・ブランカはむしろ勢いを増しています。
特にアルゼンチンでは、国民的ドリンク「フェルネット・コン・コーラ」が定番中の定番。若者から年配層まで広く飲まれ、年間の消費量は世界トップクラスです。
アメリカでも「ビターリキュール再評価」の流れがあり、ブルックリンやサンフランシスコのクラフトバーで再び注目されています。
つまり、フェルネット・ブランカは世界的に見れば「現役」であり、日本だけが取り残されているという状況です。
「終売」とは言い切れないが、再入荷の見込みは不透明
ここで整理しておきましょう。
- イタリア本社は製造を継続している。
- 日本国内では輸入・流通が停止状態。
- 正式な終売告知は出ていない。
- 実質的には入手困難で“終売状態”と認識されている。
このため、「終売の真相」と言っても、**“日本市場での販売が止まっているだけ”**というのが実態です。
しかし、輸入ルートが復活すれば再び市場に出回る可能性もあり、完全に消えたわけではありません。
ただ、現状ではその見通しが立っていません。長期的に見ると、苦味系リキュールの需要が再び高まらない限り、国内再販の可能性は低いでしょう。
フェルネット・ブランカの代わりになるリキュールは？
「もう買えないなら、代わりになるお酒はないの？」という声も多くあります。
完全に同じ味は存在しませんが、苦味やハーブ感を求めるなら以下のようなリキュールが候補になります。
- アマーロ・モンテネグロ：やや甘めのビター。フェルネットより柔らかく、カクテルにも使いやすい。
- アペロールやカンパリ：苦味と柑橘のバランスが良く、入門向け。
- ウニクム：ハンガリーの伝統的ハーブ酒で、複雑な苦味が特徴。
- ブッシュミルズ・ハニービターなどの限定系リキュールも代用可。
フェルネット・ブランカほどの強烈な苦味はないものの、ハーブの複雑さを楽しむという点では共通しています。
フェルネット・ブランカ終売の真相まとめ
フェルネット・ブランカは、世界的には今も現役のリキュールであり、終売にはなっていません。
しかし日本では輸入や流通が止まっており、入手が難しくなっています。
公式な発表はないものの、現状は“実質的終売”とも言える状態です。
その背景には、輸入コストの上昇、需要の低下、代理店の契約変更など、いくつかの要因が重なっていると考えられます。
もしどうしても味わいたい場合は、並行輸入品や専門店の在庫を探すしかありません。
ただ、フェルネット・ブランカの独特な世界観は、一度知ると忘れられません。
いつかまた日本市場に戻ってくる日を楽しみに、ハーブリキュールの奥深さを味わいながら待つのも一興です。
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