アイラモルトの中でも人気の高い「ボウモア レジェンド」。
その名を聞くだけで、海風とピート香が頭に浮かぶ人も多いでしょう。
ところが、近年この「ボウモア レジェンド」が店頭から姿を消し、「終売になった」と話題になっています。
なぜ販売終了に至ったのか。そして、今後どうすれば似た味わいを楽しめるのか。今回はその真相を掘り下げていきます。
ボウモア レジェンドとは？アイラモルトの入門編的存在
ボウモア レジェンドは、スコットランド・アイラ島にあるボウモア蒸留所が手がけていたノンエイジ（熟成年数非表示）のシングルモルトです。
アイラモルト特有のスモーキーさと潮気をほどよく感じられる、まさに「アイラウイスキー入門編」とも呼べる1本でした。
アルコール度数は40％。バーボン樽由来のバニラ香やハチミツのような甘み、海風を思わせる塩気のバランスが絶妙。
ピートが強すぎず、むしろ軽快で飲みやすいことから、初心者からウイスキー愛好家まで幅広く支持されていました。
「ボウモア12年やボウモア15年は少し重い」という人にとって、レジェンドは程よいスモークと甘さを楽しめる理想的な一本だったのです。
ボウモア レジェンドが終売になったのはいつ？
正確な公式発表は見当たりませんが、複数の海外サイトやウイスキーショップ情報によると、ボウモア レジェンドは2014〜2015年ごろに終売となったとされています。
ちょうどその頃、ボウモア蒸留所ではブランドラインの再編が進み、定番ラインナップからレジェンドが外れたと見られています。
代わりに登場したのが「ボウモア スモールバッチ バーボンカスク」。
バーボン樽熟成による軽やかな味わいで、レジェンドの後継と位置づけられていました。
つまり、終売というより「ブランド刷新の一環」と考えるのが自然です。
なぜボウモア レジェンドは販売終了になったのか
終売の背景には、いくつかの現実的な理由が絡んでいると考えられます。
1. ブランド再編とイメージ戦略
ボウモア蒸留所は、創業1779年という長い歴史を持つ老舗。
しかし近年は「よりプレミアムなイメージ」を打ち出す方向に舵を切っています。
その流れの中で、エントリーモデルであるレジェンドのような廉価帯ウイスキーは、ブランド全体の方向性に合わなくなった可能性があります。
より熟成年数を重ねたボトルや限定シリーズを中心に展開することで、ブランド価値を高めようとした――その一環としての終売だったのでしょう。
2. 原酒不足とコスト上昇
世界的なウイスキーブームによって、スコッチ全体で原酒不足が問題化しています。
特に長期熟成原酒の確保は難しく、原料価格も上昇。
ノンエイジとはいえ一定期間熟成が必要なレジェンドを安価に提供し続けるのは、メーカーにとって難しくなったと考えられます。
つまり、原酒リソースをより利益率の高い上位モデルに回すため、レジェンドの生産を終了したという可能性が高いのです。
3. マーケットの変化
ウイスキー市場そのものが多様化しています。
近年は「クラフトウイスキー」や「少量生産の個性派ブランド」が人気で、かつての定番モデルが相対的に埋もれてしまうケースも増えています。
ボウモアもこうした潮流を意識し、ブランド刷新に踏み切ったと考えられます。
現在の入手状況と価格の動き
ボウモア レジェンドはすでに新規生産が止まっており、現在は市場在庫や中古品、オークション、並行輸入品のみの流通です。
国内通販サイトでは「終売品」「在庫限り」と明記されているケースも多く、価格も定価の倍近くに上昇しています。
かつては3,000円台で買えた一本が、今では1万円を超えることも珍しくありません。
まさに“幻の入門アイラ”と化しているのです。
ただし、保管状態やロットによって味わいが大きく変わるため、購入時は信頼できる販売店を選ぶことが重要です。
ボウモア レジェンドの味わいを改めて振り返る
レジェンドの魅力は「軽やかさ」と「海のニュアンス」にあります。
典型的なアイラモルトの中でも、レジェンドはスモーキー過ぎず、むしろ爽やか。
ハチミツの甘み、レモンピールのような酸味、そして潮風を思わせる塩気が調和しています。
ボウモア12年のようにシェリー香が強いタイプとは違い、バーボン樽由来のまっすぐな甘さが印象的。
「これからアイラモルトを試したいけれど、ラフロイグ 10年やアードベッグ 10年はちょっと強すぎる」という人には、まさに理想の一本でした。
この「穏やかなピートと甘みの共存」こそが、レジェンドが長く愛された理由だといえます。
ボウモア レジェンドの代替ウイスキーおすすめ3選
「もうレジェンドは買えないの？」
そんな人に向けて、味の方向性や価格帯が近いウイスキーを紹介します。
ボウモア12年
同じ蒸留所の定番ボトルで、レジェンドよりもややコクがあります。
バランスの取れたスモークとシェリーの甘さが特徴で、「レジェンドの上位互換」ともいえる存在。
価格も比較的安定しており、現在のボウモアの基準となる味わいです。
ボウモア スモールバッチ バーボンカスク
レジェンドの後継とされるモデル。
バーボン樽熟成でライトなスモーキーさと甘みを持ち、レジェンドの雰囲気を引き継いでいます。
海外限定でしたが、国内でも並行輸入で入手可能な時期がありました。
カリラ 12年
同じアイラ島のモルトですが、ピート香は柔らかく塩気が心地よいタイプ。
ボウモアよりドライでスッキリとした味わいが特徴で、「海風のようなアイラ」を求める人にはぴったりです。
終売した今こそ再評価したい「ボウモア レジェンド」という存在
ウイスキーの世界では、終売＝価値の終わりではありません。
むしろ、かつての定番が姿を消すことで、その存在が改めて注目されることもあります。
ボウモア レジェンドもまさにその一例。
“アイラモルトの入口”として多くの人をウイスキーの世界へ導いた功労者と言えるでしょう。
今はもう新しいボトルを手に入れるのは難しいかもしれません。
しかし、中古市場で出会えたなら、それは一期一会のチャンス。
「もう二度と同じ味には出会えないかもしれない」というロマンを感じながら、グラスを傾けるのもまた一興です。
ボウモア レジェンド終売まとめ：なぜ消えたのか、そして何を選ぶか
ボウモア レジェンドが終売になった理由は、
ブランド戦略の転換、原酒不足、そして市場の変化といった複合的な要因が重なった結果でした。
それでも、この一本が築いた「アイラモルト入門編」という地位は今も変わりません。
後継のスモールバッチやボウモア12年、さらには他のアイラモルトへと旅を続けることで、きっと自分に合った“次の一杯”に出会えるはずです。
消えた名作を惜しみつつ、その系譜をたどる。
それもまた、ウイスキーの楽しみ方のひとつです。
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