「白州18年が終売したらしい」「もう買えないって本当？」——そんな声が、最近ウイスキーファンの間でじわじわと広がっています。かつては酒屋や百貨店で見かけることもあった白州18年ですが、今や実店舗ではほとんど姿を見せません。この記事では、白州18年がなぜ“終売”と噂されるのか、その背景と今後の入手方法について、できるだけわかりやすく整理していきます。
白州18年とは？森の蒸溜所が生んだ名品
白州18年は、山梨県北杜市にあるサントリー白州蒸溜所で造られているシングルモルトウイスキーです。
白州蒸溜所は南アルプスの豊かな森に囲まれ、「森の蒸溜所」とも呼ばれています。清らかな南アルプスの天然水、木桶発酵槽、そして多様なポットスチルを組み合わせることで、軽やかで繊細ながらも奥行きのある味わいを実現しています。
白州18年は、その中でも特に長期熟成を経た原酒のみを使用。18年以上熟成されたモルトが織りなす、深みのある香りとまろやかな口当たりが特徴です。
ほのかなスモーキーさ、果実のような甘み、樽由来のウッディな余韻。日本の自然を閉じ込めたようなその味わいは、世界的にも高い評価を受けており、国内外のウイスキーアワードでも度々入賞しています。
白州18年が「終売」と噂される理由
サントリーから公式に「白州18年の終売」が発表されたわけではありません。にもかかわらず、終売や休売といった言葉が飛び交うのには、いくつかの背景があります。
1. 原酒不足という慢性的な課題
ウイスキーは、仕込んでから長い年月をかけて熟成させなければならないお酒です。白州18年に使われる原酒は、最低でも18年以上熟成されたもの。つまり、今造っている原酒がボトルになるのは、少なくとも18年後です。
2000年代前半、日本国内のウイスキー需要は現在ほど高くなく、生産量も大幅に縮小していました。その影響で、いま使える「18年以上熟成された原酒」が圧倒的に足りないのです。
白州12年や響17年が一時休売になったのも同じ理由で、「原酒の枯渇」は長熟ウイスキー全体の課題となっています。
2. 世界的なジャパニーズウイスキー人気
2010年代後半から、ジャパニーズウイスキーは世界的なブームを迎えました。白州18年や山崎、響といった銘柄が国際的な品評会で次々と受賞し、海外からの需要が爆発的に増加。
とくに白州18年は、軽快さと熟成感を兼ね備えた日本的なバランスが高く評価され、国内よりもむしろ海外での入手が困難になっています。結果として国内在庫が極端に減り、「店頭から消えた＝終売では？」という認識が広がっていきました。
3. 転売・プレミア価格の高騰
SNSやネット通販を見ると、白州18年の定価（約25,000円前後）に対し、現在では10万円を超えるプレミア価格で取引されているケースも少なくありません。
正規店では抽選販売や数量限定の入荷が中心となり、転売業者やコレクターの買い占めによって市場から姿を消しているのが現状です。
実際、「旧ラベル・停産版」といった表記で出品されているものも多く、消費者の間で「もう再販はないのでは」という不安が広がっています。
白州18年の製造は本当に終わったのか？
現時点で、サントリー公式が「白州18年を生産終了した」と明言した情報は確認されていません。
ただし、白州蒸溜所の稼働状況や原酒の熟成年数を考えると、今後の出荷が制限される可能性は非常に高いと見られます。
白州12年の例を振り返ると、2018年に休売が発表され、その後2021年に数量限定で再販されました。この経緯からも、「白州18年が一時的に市場から消える＝再販準備中」という可能性も否定はできません。
とはいえ、18年以上の熟成原酒を確保するには膨大な時間が必要なため、すぐに安定供給が再開される見込みは低いといえます。
価格の推移と市場動向
白州18年の価格推移を見てみると、ここ数年で異常なほどの上昇が続いています。
2010年代初期には定価付近で購入できたものの、2020年代に入ると二次流通価格が急騰。特に2023年以降は10万円前後が相場となり、一部では20万円を超えるケースも報告されています。
この価格高騰の背景には、コレクション需要と海外輸出の増加が挙げられます。
ウイスキーを“投資対象”として見る動きも広がっており、「飲むためではなく、資産として保有する」層が増えていることも影響しています。
ただし、プレミア価格での取引が横行する中で、偽物や模造ボトルも一部で確認されており、購入時には信頼できる販売店を選ぶことが重要です。
今後の入手方法と注意点
「白州18年をどうしても手に入れたい」という方に向けて、現実的な入手手段を整理します。
1. サントリー公式や百貨店の抽選販売
公式オンラインショップや一部百貨店では、不定期で抽選販売が行われることがあります。メルマガ登録や公式SNSをチェックしておくと、販売情報をいち早くキャッチできます。
当選倍率は高いものの、正規ルートで定価購入できる唯一のチャンスです。
2. 専門店・老舗酒店での予約・再入荷
長年の取引がある酒販店では、稀に入荷や取り置き対応をしてくれる場合もあります。信頼できる店舗に相談してみるのも手です。
また、業務用ルートやウイスキー専門バーなどから情報を得るのも有効です。
3. 二次流通市場での購入
プレミア価格を承知のうえで購入する場合は、真贋保証のあるリユース専門店（例：RINKAN、Liquor Mountain Premiumなど）を利用しましょう。
個人間取引やオークションでは、ラベルやボトル形状の偽物が出回っていることもあるため、写真やシリアル確認を怠らないことが重要です。
4. 代替・後継ボトルを楽しむ
どうしても手に入らない場合は、白州蒸溜所の他シリーズを試してみるのもおすすめです。
白州12年（再販）、白州ノンエイジ、白州ピーテッドモルトなど、年数こそ異なりますが、同じ系譜の味わいを感じることができます。
また、同社の山崎18年や宮城峡15年など、熟成年数が近いウイスキーを比較して楽しむのも一興です。
今後の再販や復活の可能性は？
サントリーは、白州12年や響17年の休売後、時間をかけて再販を実現してきました。そのため白州18年についても、完全な「終売」ではなく「一時的な供給停止」と見るのが現実的です。
ウイスキーの熟成は時間との戦いです。仮に新たな原酒を仕込み直したとしても、18年後にしか製品化できません。
つまり、再販があるとしても「数量限定・抽選販売」といった形で、一般流通に戻るまでには長い年月が必要になるでしょう。
ただし、サントリーは国内外での人気を背景に、白州18年ブランドの価値維持に力を入れています。今後、熟成年数表記にこだわらない新シリーズや限定ボトルが登場する可能性もあります。
ファンとして今できること
白州18年を長年愛飲してきた方にとって、終売や品薄のニュースは寂しいものです。ですが、こうした現象は「日本ウイスキーが世界で認められた証」でもあります。
いま手元に白州18年があるなら、大切な記念日に開けるのも良し、しばらく保管して熟成の変化を楽しむのも一つの楽しみ方です。
また、今後の市場動向を見ながら、白州12年や白州ノンエイジなど現行ボトルを味わっておくと、将来的な比較もより深く楽しめます。
白州18年終売の真相と、これからの楽しみ方
現時点では「公式に終売ではないが、実質的に入手困難」というのが白州18年の正しい現状です。
原酒不足、世界的な人気、プレミア価格化——これらが重なり、一般消費者が手にするのが難しくなっているだけなのです。
今後の再販や限定復活の可能性もゼロではありません。だからこそ、ファンとしては焦らず、正規情報を追いながら気長に待つのが得策です。
白州18年が再び手に入るその日まで、森の蒸溜所が紡ぐ他のウイスキーたちを味わいながら、その時を楽しみに待ちましょう。
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