スーパーでれんこんを探しても、夏になると見かけない…そう感じたことはありませんか?「いつも天ぷらやきんぴらに使うのに、なぜ夏は棚にないんだろう?」と不思議に思う人も多いようです。今回は、れんこんが夏に売ってない理由と、旬の時期・販売状況についてわかりやすく解説していきます。
れんこんはどんな野菜?生産地と特徴をおさらい
れんこんは蓮の地下茎が肥大した部分で、水の中で育つ珍しい野菜です。穴が並んだ断面が特徴的で、「先を見通す」縁起物としておせち料理などにも欠かせません。
日本では茨城県が生産量1位で、霞ヶ浦周辺が全国のれんこんの約半分を占めています。ほかにも徳島県や石川県の加賀れんこんなど、地域ごとに品種や食感の違いがあります。
収穫は泥の中で一本ずつ掘り出す手作業が中心。機械化が難しく、夏場は暑さで作業負担も大きくなるため、出荷量に季節差が出やすいのが特徴です。
れんこんの旬はいつ?夏に少ない理由を知るカギ
れんこんの旬は、一般的に「秋から冬」にかけてです。茨城や徳島などの主要産地では、9月から翌年3月ごろまでが出荷のピーク。特に12月前後はおせち需要も重なり、最も多く市場に出回ります。
反対に、6月~7月の夏場は「出回りが少ない時期」。東京都中央卸売市場のデータでも、7月の取扱量は年間のわずか4%前後しかありません。これはれんこんがまだ成長途中で、収穫の本格期を迎えていないためです。
また、夏は水温が高く、収穫や保管のリスクも上がります。品質を維持しにくいため、産地でも積極的に出荷しない傾向があります。その結果、スーパーの棚から姿を消してしまうのです。
夏でも出回る「新れんこん」とは?
夏にもごく少量ながら「新れんこん」と呼ばれる若掘りのれんこんが登場します。これは6月~9月ごろに収穫される早掘りのれんこんで、白くてみずみずしく、シャキシャキした食感が魅力です。
ただし、新れんこんは水分が多く日持ちしにくいため、流通量は少なめ。市場に出回る量が限られ、価格も高くなる傾向があります。保存も難しく、鮮度を保つには冷蔵庫で短期間の保管が基本です。
そのため、スーパーでは「並べてもすぐ傷む」「仕入れ値が高い」といった理由から扱いを控える店舗もあります。結果として、「夏にれんこんが売ってない」と感じる人が多くなるのです。
スーパーで見かけない本当の理由
れんこんが夏に売っていないように見える背景には、いくつかの現実的な理由があります。
まず、供給量の問題。収穫量が少ないため、価格が上昇しやすくなります。店側としても売れ残りや廃棄リスクを避けるため、仕入れを控えざるを得ません。
次に、需要の季節性。れんこんは冬の煮物や鍋料理で使うイメージが強く、夏場は消費が落ち込みます。そのため「売れにくい時期に高値で仕入れる」という商売上のリスクを避ける店舗が多いのです。
さらに、競合する夏野菜の存在もあります。トマト、きゅうり、ナスなど旬の野菜が多く出回る時期は、売場のスペース配分も限られます。結果的に、れんこんが棚から外されてしまうことも珍しくありません。
夏にれんこんを見つけたいなら?
それでも「夏でもれんこんが食べたい」という人は、いくつかの方法で入手できる場合があります。
ひとつは、産地直送や通販サイトを活用する方法。徳島県や茨城県では、ハウス栽培やトンネル栽培で早めに収穫した新れんこんを直送販売している農家があります。こうした商品は一般のスーパーには出回らないことが多いですが、オンラインで探すと意外に見つかります。
もうひとつは、地域の直売所や道の駅をチェックすること。夏の時期でも少量の新れんこんが地元販売されることがあります。採れたてを手に入れられるので、鮮度も抜群です。
ただし、新れんこんは水分が多いため調理法にも注意が必要です。煮物よりも、薄切りにして天ぷらや炒め物などに使うと、シャキシャキ感を楽しめます。
れんこんの保存と扱いのコツ
夏場に購入できた場合は、鮮度を保つ工夫も大切です。れんこんは乾燥に弱く、空気に触れると黒ずみやすい性質があります。カットしたら酢水にさらすことで変色を防げます。
保存する場合は、穴の中に水を満たして密閉容器に入れ、冷蔵庫で保管するのがポイント。毎日水を取り替えれば、3~4日は持ちます。新れんこんの場合はさらに短く、購入後できるだけ早めに調理するのがおすすめです。
冷凍したい場合は、軽く下茹でして水気を拭き取り、薄切りで冷凍保存すると便利。炒め物や汁物に凍ったまま使えるので、旬を過ぎても楽しめます。
れんこんの旬を味わうベストシーズン
れんこんの一番おいしい時期は、やはり秋から冬にかけて。新米や秋野菜と並ぶこの時期のれんこんは、でんぷん質が糖に変わり、ほくほくとした食感と自然な甘みが際立ちます。
特に11月~12月の茨城産れんこんは、肉厚で粘りがあり、煮物にも向いています。この時期は価格も落ち着き、スーパーでも豊富に並ぶため、まとめ買いして冷凍しておくのもおすすめです。
まとめ:れんこんが夏に売ってないのは自然のサイクル
れんこんが夏に売ってないのは、「流通していないから」ではなく「出荷量が極端に少ないから」です。夏はまだ生育途中で、品質や日持ちの面からも出荷が限られています。
秋以降に旬を迎えるれんこんは、寒さで甘みが増し、味も格別。夏に見つからないときは、無理に探すより秋の味覚を待つのがいちばんです。
とはいえ、夏限定の新れんこんもまた魅力的。みずみずしいシャキシャキ感を楽しめる時期でもあります。産直や通販を活用して、旬の移り変わりを感じながら味わってみてください。
れんこんが夏に売ってない理由を知ると、季節ごとの食材のリズムがぐっと身近に感じられるはずです。

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