「最近、ニッカナイトクルーズを見かけなくなった」「あの深みのある味をもう一度楽しみたいのに売ってない」——そんな声がSNSやウイスキー愛好家の間で広がっています。
この記事では、「ニッカナイトクルーズ（正式名称：ブラックニッカ ディープブレンド ナイトクルーズ）」がなぜ売っていないのか、終売といわれる背景、そして再販の可能性について詳しく解説します。
ニッカナイトクルーズとは？数量限定で登場した特別なブラックニッカ ディープブレンド
まず、この「ナイトクルーズ」というウイスキーがどんな商品だったのかを振り返ってみましょう。
発売されたのは2019年5月28日。ブラックニッカ ディープブレンドシリーズの中でも“ディープブレンド”の名を冠した限定バージョンとして登場しました。容量は700ml、アルコール度数45％。定価は税抜2,000円前後と、手に取りやすい価格帯ながら高品質な原酒を使用していたのが特徴です。
ブレンドの中核には、10年以上新樽で熟成された余市蒸溜所のヘビーピートモルト原酒。そして、宮城峡蒸溜所のバーボン樽熟成カフェグレーン。
この組み合わせが生み出す、力強くも滑らかな味わいは、まさに夜の航海（ナイトクルーズ）の名にふさわしい奥深さを持っていました。
発売当時は数量限定。アサヒビールの公式サイトでもキャンペーンが行われ、「発売記念フォロー＆リツイート抽選」などで注目を集めた一本でした。
そのため、最初から“限定品”としての位置づけが強く、一般流通で継続的に出回る商品ではなかったのです。
なぜニッカナイトクルーズが売ってないのか
1. 数量限定で生産終了していた
ナイトクルーズは発売当初から「数量限定」としてリリースされた商品です。
一度限りの生産で、追加出荷や継続製造の予定がなかったため、店頭在庫がなくなり次第、販売が終了しました。
多くの酒販店では「終売」や「在庫限り」といった表記で取り扱いを終了しており、現在はメーカー公式サイトのブランド一覧にも掲載されていません。
つまり「売ってない」のではなく、「もう製造していない」というのが実情です。
2. 原酒・樽の確保が難しい特別ブレンド
ナイトクルーズに使われていた余市のヘビーピートモルト原酒は、新樽で10年以上熟成させた非常に貴重な原酒。
さらに宮城峡のカフェグレーンもバーボン樽熟成という限定仕様。これらの原酒は通常ラインでは使われにくく、供給量も限られています。
つまり、このブレンドを再現するためには同等の長期熟成原酒を再び確保する必要があり、それが難しい状況なのです。
ジャパニーズウイスキー全体で原酒不足が続く中、限定ブレンドの再生産が難航しているのは自然な流れといえます。
3. ウイスキーブームによる早期完売と流通枯渇
2019年前後はジャパニーズウイスキーの人気が急上昇していた時期。山崎、白州、響などが軒並み品薄になる中で、ニッカの限定ボトルも一気に注目されました。
ナイトクルーズも例外ではなく、発売直後から話題となり、販売店では即日完売する店舗も。結果として一般消費者が入手できる期間はごく短かったのです。
現在では一部の専門店や二次流通（オークション・フリマアプリなど）でのみ取引されていますが、価格は定価の数倍に跳ね上がっています。
例えばヤフオクでは未開封品が2万円〜3万円前後で落札されるケースもあり、もはやプレミアムウイスキーの仲間入りを果たしています。
「終売」と「売ってない」は同義ではない？混同されがちな用語の違い
ウイスキー業界では「終売」「販売終了」「製造終了」などの言葉が混在して使われます。
簡単に整理すると、次のような違いがあります。
- 製造終了：メーカーが生産を止めた状態。
- 販売終了（終売）：流通・小売店の在庫も含めて販売が終了した状態。
- 売ってない：一時的な在庫切れや地域的な欠品も含む表現。
ナイトクルーズの場合、公式に「終売」と明言されてはいませんが、すでに製造は終了しており、流通在庫も枯渇。
したがって、一般的な意味では「終売」と同義の状態にあると考えて差し支えないでしょう。
ニッカナイトクルーズの再販はあるのか？
ウイスキーファンにとって最も気になるのはここでしょう。
結論から言えば、現時点で再販の公式発表はありません。
ニッカウヰスキーの公式サイトやアサヒビールのプレスリリースを確認しても、ナイトクルーズ再販に関する告知は一切出ていません。
つまり、再び同じボトルを手に取ることは、今のところ難しいといえます。
ただし、過去の事例から考えると“完全にゼロ”とは言い切れません。
ニッカはこれまでにも「ブラックニッカ リッチブレンド コンフォートアロマ」など、限定ボトルを不定期に展開しており、人気次第で“後継モデル”が発売されるケースがあります。
同じ「ディープブレンド」シリーズ内で、ナイトクルーズのコンセプトを継承した新バージョンが登場する可能性は十分にあります。
再販を期待するなら、以下のポイントを定期的にチェックしておくとよいでしょう。
- ニッカウヰスキー公式サイトのニュース・リリース欄
- アサヒビールのキャンペーンページ
- 各種酒販店の限定販売情報や抽選販売の告知
- ウイスキー専門メディアやSNS（Twitter／Xなど）の情報発信
これらをウォッチしていれば、再登場のチャンスを逃す可能性は少なくなります。
ナイトクルーズに似た味を楽しめる代替ウイスキー
ナイトクルーズの再販が未定でも、似た味わいを楽しめる選択肢はあります。
ブレンド構成やフレーバーの方向性が近い商品をいくつか紹介します。
- ブラックニッカ ディープブレンド
ナイトクルーズのベースになったウイスキー。深みのある甘さとほのかなスモーキー感が特徴。
限定版ほどの重厚感はないものの、価格帯も手頃で日常的に楽しめる一本です。 - ブラックニッカ リッチブレンド
カフェグレーンの甘やかさが強調されたブレンド。ナイトクルーズの柔らかい余韻に近い印象があります。 - フロム・ザ・バレル
より強いアルコール感と複雑さを求めるならこちら。ブレンドの厚みや香りの深さが共通しています。
これらのボトルを比較しながら、自分好みの“ナイトクルーズの記憶に近い味”を探すのも楽しみ方の一つです。
ナイトクルーズが生まれた背景と、限定品が持つ意味
ニッカは過去にも「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」「ブレンダーズセレクション」など、特別ブレンドを数多く展開してきました。
これらの限定ボトルは、単なる販売企画ではなく、ブレンダーがその時々の原酒状態や気候、味のテーマを表現する“実験的な作品”でもあります。
ナイトクルーズもその系譜に連なる一本。
「夜の航海」という名の通り、深く落ち着いた甘さとスモーキーさのバランスが際立ち、まるで静かな夜の海を漂うような余韻を感じさせます。
そうしたブレンダーの挑戦心が凝縮されているからこそ、愛好家の間では今でも語り継がれているのです。
今後の展望：限定ウイスキーの楽しみ方
近年、ウイスキー市場では「数量限定」「蒸溜所限定」「抽選販売」といった形が一般的になりつつあります。
これは、原酒在庫の制約だけでなく、ファンとの新しい関係づくりの一環でもあります。
ナイトクルーズのような限定ボトルは、一期一会の体験として楽しむのが基本。
入手困難だからこそ、開栓する瞬間の特別感があります。
また、近い味わいのボトルを探して比較テイスティングすることで、自分の好みやブレンダーの意図をより深く理解できるでしょう。
ニッカナイトクルーズが売ってない今、どう楽しむか
現時点で「ニッカナイトクルーズ」は市場から姿を消しています。
それでも、再販や後継モデルの登場に期待する声は後を絶ちません。
ウイスキーは時間とともに変化し、限定品もまた、その時代の味を映す一本です。
もし今、どこかの酒販店やオークションでナイトクルーズを見かけたら、それはひとつの“出会い”かもしれません。
価格だけで判断せず、自分が心から飲みたいと思うかどうかで選ぶのがいちばんの楽しみ方です。
希少な限定ウイスキーとの再会を願いつつ、次に登場する“夜の航海”を待ちたいものです。
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