最近、ウイスキー好きの間で「バスカーシングルポットスチルが売ってない」という声が増えています。店頭でもネット通販でも見かけない、在庫切れ表示ばかり…。一体なぜこんなに入手が難しくなっているのでしょうか。この記事では、販売終了や終売の背景、そして再販の可能性まで、現時点でわかっている情報をまとめていきます。
バスカーシングルポットスチルとはどんなウイスキー?
「The Busker Single Pot Still」は、アイルランドのロイヤルオーク蒸溜所(Royal Oak Distillery)でつくられるアイリッシュウイスキー。
ブランド「The Busker」は2016年操業の比較的新しい蒸溜所から誕生したもので、伝統と革新を融合したラインナップが特徴です。
この“シングルポットスチル”とは、モルト(発芽大麦)と未発芽の大麦を原料に、銅製のポットスチルで蒸溜するアイルランド特有の製法。モルトの香ばしさとスパイシーな余韻を併せ持ち、アイリッシュらしいなめらかさの中に奥深い個性が感じられます。
熟成にはバーボン樽とオロロソシェリー樽を使い、甘みとスパイスのバランスが絶妙。度数は44.3%で、世界的にも評価の高いボトルです。
ただ、この魅力的な1本が今や日本市場でほとんど見かけなくなっているのが現状です。
「売ってない」と言われる現状とその実態
実際に検索してみると、「売り切れ」「完売」「在庫なし」と表示される販売サイトがほとんど。通販サイトでもほぼ取り扱いがなく、店頭で見つけた人がSNSで報告するほどの希少ぶりです。
インポーターであるウィスク・イー(Whisk-e)の公式ページにも「掲載商品には完売しているものも含まれます」と注意書きがあり、在庫が安定していないことがうかがえます。
つまり、流通量自体が少なく、定期的に再入荷されるタイプの商品ではないようです。
さらに、海外のウイスキーショップでは「Discontinued(販売終了)」や「Hard to Find(入手困難)」と明記しているところも見られます。
このことから、単に一時的な品切れではなく、供給体制そのものが変化している可能性が高いと考えられます。
売ってない理由①:限定生産と流通数の少なさ
最も大きな理由の一つは「生産量が少ないこと」。
バスカーシングルポットスチルは、もともと大量流通を目的とした商品ではなく、少量生産・限定リリースのモデルです。
実際に2024年には「The Busker Small Batch Single Pot Still」という限定シリーズが17,000本限定でリリースされ、そのうち約9,000本が日本に割り当てられたと報じられています。
この数字からも分かるように、日本市場での流通量は極めて限られており、売り切れるのも当然といえます。
また、ブランド自体が比較的新しいため、熟成原酒のストックも潤沢ではありません。蒸溜所の規模を考えると、供給量に限界があるのは自然なことです。
売ってない理由②:需要の高まりと人気の集中
近年、アイリッシュウイスキー全体の人気が再燃しています。
特に「シングルポットスチル」という伝統的製法に注目が集まり、ミドルトンやティーリングなどに加え、バスカーのような新興ブランドにもファンが急増しました。
SNSやYouTubeでも「人気すぎて買えない」「奇跡的に見つけた」といった投稿が増え、話題性がさらに高まった結果、入荷してもすぐ完売する状況に。
つまり、需要が供給を大きく上回ってしまったのです。
限定生産のうえ人気が急上昇すれば、瞬時に市場から姿を消すのは当然。これは日本だけでなく、海外市場でも同様の傾向が見られます。
売ってない理由③:モデルチェンジや仕様変更の可能性
もう一つの要因として、ブランドの製品ラインナップ再編があります。
The Buskerでは「Single Collection」と「Small Batch Collection」という2つのカテゴリーを展開しており、近年は後者の“スモールバッチ”シリーズに力を入れているようです。
このため、従来の「44.3%仕様・通常版」が生産終了またはリニューアル対象になった可能性があります。
海外の一部ショップで“Discontinued”表示となっているのも、モデル切り替えの過程によるものでしょう。
今後は「The Busker Small Batch Single Pot Still 46.3%仕様」が後継として定着していく見込みで、既存ボトルはコレクターズアイテム化しつつあります。
売ってない理由④:輸入枠と国内流通の制限
バスカーシリーズは日本でウィスク・イーが正規輸入していますが、その割当数は非常に限られています。
同社の公式サイトにも「在庫状況は担当営業にお問い合わせください」とあり、一般販売ルートでは取り扱いが少ないことを示唆しています。
また、海外では販売が続いていても、日本市場向けの入荷が止まっているケースも考えられます。為替や輸送コストの影響、輸入枠の調整など、ビジネス上の理由で一時的に流通が途切れている可能性も否定できません。
売ってない理由⑤:転売・買い占めによる流通圧迫
入手困難なボトルはどうしても転売対象になりやすく、バスカーシングルポットスチルも例外ではありません。
一部の販売サイトやオークションでは、定価の数倍で取引されている例もあります。
特に限定リリース品は、初回出荷分がコレクターや転売目的の購入者によって即完売する傾向があります。結果として、一般消費者が正規価格で購入できるチャンスがほとんどなくなってしまうのです。
再販の可能性はある?
ここまで「売ってない理由」を見てきましたが、完全な“終売”と断定できる情報は現時点で確認されていません。
むしろブランド公式サイトには「Single Pot Still」カテゴリーが引き続き掲載されており、シリーズとして存続していることがわかります。
さらに、2024年に新しいスモールバッチ版が登場したことからも、「ポットスチルスタイル自体をやめる」という流れではなく、むしろリニューアルを経て続いていく可能性が高いと考えられます。
ただし、再販があっても数量は限られるでしょう。次のロットが出たとしても、入荷即完売が予想されます。
確実に手に入れたい人は、インポーターや正規販売店の入荷情報をこまめにチェックするのが得策です。
今後の展望と入手のヒント
・次期モデル「The Busker Small Batch Single Pot Still 46.3%」を狙う
・正規輸入代理店のサイトやSNSで再入荷情報を確認する
・国内外のウイスキー専門店やバーに問い合わせる
・オークション・フリマアプリは高値取引が多いため、正規ルートでの購入を推奨
また、同ブランドの「The Busker Single Malt」や「The Busker Single Grain」など、比較的流通が安定しているボトルを試すのもおすすめです。バスカーの味わいの方向性を知るには十分で、ポットスチル版の代替的な楽しみ方にもなります。
バスカーシングルポットスチルが売ってない現状まとめ
・限定生産かつ少量リリースのため、流通量が極めて少ない
・人気の高まりにより需要が供給を上回っている
・モデルチェンジや仕様変更で旧版が姿を消した可能性
・日本向け輸入枠が限られており、再入荷時期も不明
・再販の可能性はあるが、次回も即完売が予想される
つまり、「売ってない=終売確定」ではなく、「供給が追いつかない」「新モデルに移行中」というのが実情です。
ウイスキーファンにとっては少しもどかしい状況ですが、ブランドとしては今も勢いがあり、今後の展開に期待が持てます。
次のリリース情報を逃さないよう、公式サイトやインポーター情報をチェックしながら、再販のタイミングを待ちましょう。
バスカーシングルポットスチルが再び店頭に並ぶ日を楽しみにしたいですね。

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