最近、「熊膽圓（ゆうたんえん）がどこにも売ってない」「いつもの薬局にない」と感じている人が増えています。長年愛用してきた人にとっては、「販売終了なの？」「もう手に入らないの？」と不安になりますよね。この記事では、熊膽圓がなぜ店頭から姿を消しているのか、その背景と今後の入手方法をわかりやすく解説します。
熊膽圓とは？長く愛されてきた和漢胃腸薬
熊膽圓は、熊の胆（動物胆）を含む和漢生薬配合の胃腸薬で、古くから「胃の不調」「食べ過ぎ・飲み過ぎ」「二日酔い」「便秘」などに使われてきました。富山の薬として知られる廣貫堂をはじめ、いくつかのメーカーが製造していました。
もともと「熊膽圓S」や「熊膽圓」といった名称で販売されており、配置薬として家庭に常備している人も多かった薬です。生薬を主成分とするため体に優しく、長年使い続けている愛用者が全国にいました。
売ってないのはなぜ？販売中止や製造停止の背景
自主回収と品質問題
熊膽圓が「売ってない」と言われる大きな理由は、製造上の品質問題にあります。
2025年春、廣貫堂が販売していた「熊膽圓S」で、一部ロットの成分が承認された規格に適合しないことが確認され、自主回収が行われました。品質試験における成分量の不一致が原因とされています。
この回収をきっかけに製造ラインの見直しが行われ、出荷が一時停止されました。つまり「販売終了」ではなく「製造・出荷の一時停止」状態だったのです。
製造体制の見直しとコスト問題
廣貫堂はその後、「製造再開を検討している」と発表していますが、すぐには再開できない事情があります。
理由として、製造設備の老朽化、生薬原料の高騰、品質管理の厳格化といった課題が重なっており、従来の体制では安定供給が難しいという背景があります。
また、薬機法の改正により、生薬成分を扱う医薬品の製造・管理基準が一段と厳しくなったことも影響しています。そのため、製造方法や検査体制の再構築が必要となり、再出荷までに時間を要している状況です。
店頭や通販サイトの現状：在庫限りで販売終了の動きも
現在、ドラッグストアや薬局では熊膽圓をほとんど見かけなくなっています。
通販サイトでも「在庫限り」「再入荷未定」といった表示が多く、出品数自体が大きく減少しています。中には通常より高い価格で販売されているケースも見られます。
一部では他メーカー製の「熊膽圓」という名前の商品も販売されていますが、処方や成分が完全に同一とは限りません。「廣貫堂の熊膽圓S」と明記されていない場合は、購入前に成分表示をよく確認することが大切です。
熊膽圓は販売終了？それとも一時的な供給停止？
熊膽圓について「販売終了」と報じる情報もありますが、正式には「製造再開を検討中」という段階です。廣貫堂は、熊膽圓Sを含むいくつかの製品を「再開を目指して新規開発中」と明言しています。
つまり、完全に終売になったわけではなく、「再発売の準備段階」にあると考えられます。
ただし、再開には時間がかかる見込みです。再承認や製造設備の更新、生薬調達の安定化など、クリアすべき課題が多く、少なくとも短期的には入手が難しい状況が続くでしょう。
現在入手できる方法と注意点
1. 薬局・配置薬販売店に問い合わせる
地域によっては、在庫を持っている薬局や配置薬業者が残っている場合があります。特に富山県周辺では、古くからの取引ルートに在庫があることも。まずは行きつけの薬局や担当業者に確認してみましょう。
2. 通販サイトで「熊膽圓」「熊膽圓S」を検索
Amazonや楽天などで一部在庫を販売しているショップが見つかることがあります。ただし、回収対象ロットや類似品の可能性もあるため、商品説明に「製造元」や「ロット番号」が明記されているか必ず確認してください。
3. 代替の和漢胃腸薬を検討する
熊膽圓と似た効能を持つ和漢薬は他にもあります。例えば「健胃」「整腸」「食べ過ぎ・飲みすぎ」などに効く漢方系胃腸薬や動物胆を含む製剤です。薬剤師や登録販売者に相談すれば、自分の体質に合った代替薬を提案してもらえます。
熊膽圓を購入する際の注意点
- 回収ロットを避ける
消費者庁のリコール情報サイトで、回収対象の製造番号が公開されています。購入前に必ず確認しましょう。 - 過剰在庫・転売品に注意
人気の医薬品が一時的に入手困難になると、フリマアプリなどで高額転売が行われることがあります。正規の販売ルート以外での購入は避けた方が安心です。 - 医薬品の長期保管は避ける
有効期限や保管状態によって品質が変化します。もし在庫を確保しても、長期間保存しすぎないようにしましょう。 - 症状が続く場合は医師・薬剤師へ
胃もたれや食欲不振などの症状が続く場合、自己判断での服用を控え、専門家に相談することが大切です。
熊膽圓の今後：再販の可能性と注意すべきポイント
廣貫堂はすでに「再開検討製品一覧」に熊膽圓Sを記載しており、2025年度以降の再発売を目指しているとしています。
ただし、再販後は処方や剤形が変更される可能性があり、従来品と同じ効果を期待できるとは限りません。動物性生薬を使う製品は、調達や管理の面で厳しい規制を受けるため、成分バランスの見直しが行われる場合もあります。
今後、廣貫堂や関連メーカーから正式なアナウンスが出るまで、消費者は「代替品で対応しつつ公式情報を待つ」というのが現実的な対応です。
まとめ：熊膽圓が売ってない理由と今できること
熊膽圓が店頭から姿を消しているのは、製造上の問題と品質管理の見直しによる一時的な供給停止が主な理由です。
現時点では再販の可能性が残されており、「完全に販売終了」ではありません。とはいえ、在庫は限られており、しばらくは入手しづらい状況が続くでしょう。
どうしても必要な場合は、薬局や配置薬販売店に確認したうえで、正規の販売ルートから購入することをおすすめします。
また、胃腸の不調や食べ過ぎ・飲み過ぎに対しては、他の和漢薬や胃腸薬でも代替できる場合があります。無理に探し回るより、薬剤師に相談して自分に合った製品を選ぶことが大切です。
再び熊膽圓が市場に戻る日まで、公式の情報をチェックしながら、安心して使える代替品を上手に取り入れていきましょう。
