「GT-Rが販売終了した」というニュース、耳にした方も多いのではないでしょうか。長年日本のスーパースポーツとして君臨してきたこのモデルに、本当に“終わり”が来たのか。ファンとしては気が気ではありませんよね。この記事では、日産GT-R（R35型GT-R）の販売終了の真相、そこに至った理由、そして次期モデルの可能性までを分かりやすくお話しします。
R35型GT-Rがついに生産終了へ。18年の歴史に幕
まず結論から言うと、現行モデルであるR35型GT-Rの生産は2025年に終了しました。これは「GT-Rという車が完全に終わる」という意味ではなく、あくまで「R35型GT-Rの生産が終わる」というものです。
R35型GT-Rは2007年にデビューし、実に18年間という長い期間にわたって製造されてきました。デビュー当時は“スカイライン”の名を離れ、独立した「GT-Rブランド」として登場。独自の4WDシステム“ATTESA E-TS”や3.8リッターV6ツインターボ“VR38DETT”を搭載し、世界中のスーパーカーと肩を並べる性能で一躍話題となりました。
その後も毎年のように改良が施され、サスペンションや空力、ECU制御まで細かくチューニングされ続けた結果、R35型GT-Rはまさに“熟成の極み”とも言えるモデルへ成長しました。しかし、そんなGT-Rもついにひとつの節目を迎えたのです。
販売終了の理由は？環境規制とコスト、そして次の時代へ
GT-Rの販売終了には、いくつかの背景があります。日産が公式に発表している理由と、業界全体の流れを合わせて見てみましょう。
1. 環境・騒音規制の強化
近年、世界的に自動車の排ガスや騒音、衝突安全に関する規制が年々厳しくなっています。GT-Rはその高性能ゆえに、排気音や出力面で新基準への適合が難しく、特に欧州ではすでに数年前から販売が終了していました。日本でも将来的な基準適合を見据えた際、現行プラットフォームを維持するのは困難だったと考えられます。
2. モデルライフの限界
R35型GT-Rは2007年のデビュー以来、基本設計を変えずに18年も生産が続けられてきました。これは自動車業界でも異例の長寿命です。技術面・部品調達面・生産効率の観点から見ても、そろそろ“世代交代”を行う時期に来ていたといえます。
3. 電動化への転換期
自動車業界は今、電動化の大きな波の中にあります。日産も「アリア」など電気自動車を積極的に展開しており、GT-Rのようなハイパフォーマンスカーも例外ではありません。GT-Rというブランドを次の時代に生かすためには、ガソリンだけに頼らない新しい形が必要になっているのです。
4. ブランド再構築の一環
日産にとってGT-Rは単なるスポーツカーではなく、技術力とブランドの象徴です。だからこそ、終わりではなく“再出発”という形を取るのが自然な流れ。R35型GT-Rの販売終了は、その第一歩としての「区切り」として位置づけられています。
ファンの間で広がる混乱。「GT-Rが消える」は誤解？
SNSなどでは「GT-Rが販売終了＝もう二度と買えない」「GT-Rが消滅する」といった不安の声も多く見られますが、ここでハッキリしておきたいのは、GT-Rというブランドが終わるわけではないということ。
日産の幹部も「GT-Rの物語はここで終わりではない」とコメントしています。つまり、現行R35型GT-Rが終了したあとも、後継モデル（仮称R36）を視野に入れた開発が進んでいるのです。
次期モデル（R36）は電動化？その方向性と噂
気になるのは「次のGT-Rがどうなるのか」という点。すでにいくつかのヒントが出ています。
● 電動化・ハイブリッド化が有力
日産は次世代GT-Rについて、「電動化技術を取り入れた新しいスーパーカー」を検討しているとコメント。完全な電気自動車（EV）か、エンジン＋モーターのハイブリッドかは未定ですが、いずれにしても環境規制に対応できる新しいパワートレインが鍵になります。
2023年のジャパンモビリティショーでは、次世代GT-Rを示唆するコンセプトカー「NISSAN HYPER FORCE」が発表され、1000kW級の出力を誇る電動スーパーカーとして話題を集めました。これが次期GT-Rの方向性を象徴しているとも言われています。
● デザインの方向性は「R35の正統進化」
デザイン面では、R35型GT-Rの筋肉質なフォルムを継承しながら、より空力性能を高めたスタイルが期待されています。日産のデザインチームは「伝統と革新の融合」をキーワードに掲げており、R36が登場する際も“GT-Rらしさ”はしっかりと残される見通しです。
● 発売時期はまだ未定
一部の海外メディアでは「2026〜2027年頃に発表の可能性」と報じられていますが、日産から正式な発表は出ていません。ハイブリッド化や新技術の開発状況によっては、もう少し先になる可能性もあります。
日本国内での動き。最終モデルは限定仕様も登場
日本市場では、すでにR35型GT-Rの注文受付が終了しています。2025年モデルが“最後のGT-R”として発表され、特別仕様車「T-spec」や「プレミアムエディション」など、ファン向けの限定グレードが登場しました。
限定色の「ミッドナイトパープル」「ミレニアムジェイド」など、往年のファンにはたまらないカラーも復活。生産終了が正式に発表されたことで、これらのモデルはすでにプレミア価格で取引されるケースも出ています。
今後は新車購入が難しくなるため、中古市場や限定車の価値が上がることが予想されます。特に「最終仕様」として生産された個体は、コレクターズアイテムとして注目されていくでしょう。
R35型GT-Rが残した功績と、今後への期待
R35型GT-Rが登場した2007年当時、日本のスポーツカー市場はすでに成熟期を迎えていました。そんな中でGT-Rは、「世界のどんなスーパーカーにも勝てる国産車」として強烈なインパクトを残しました。
Nürburgringでのタイムアタック、海外メディアからの高評価、そして“Godzilla”という愛称で呼ばれるほどの存在感――。そのすべてが、R35型GT-Rが単なる車ではなく“伝説”であることを物語っています。
そして今、GT-Rは再び新たな伝説を作る準備をしています。電動化が進む時代においても、“走りの魂”をどう継承していくのか。次期GT-Rは、単なるモデルチェンジではなく「GT-Rという哲学」の進化を意味するのかもしれません。
販売終了後の注目ポイント
R35型GT-Rが生産終了した今、ファンやオーナーが注目すべき点をいくつか挙げておきます。
- アフターサービスと部品供給：日産は長期的にサポートを継続するとしています。
- 中古市場の価格動向：限定車・特別仕様は今後価値が上がる可能性大。
- 次期モデルの発表時期：ハイブリッド／電動GT-Rの開発発表がいつ行われるか。
- 国内スポーツカー市場への影響：GT-R不在の間、フェアレディZやスープラなどがどう動くか。
GT-Rという名前がしばらく途絶えることで、他ブランドの動きも活発化するかもしれません。
GT-R販売終了の真相と、これからの物語
ここまで見てきた通り、「GT-R販売終了」というニュースは事実ですが、それは“終わり”ではなく“新しい始まり”です。R35型GT-Rはその使命を果たし、次の世代へバトンを渡す段階に入りました。
時代は電動化の波に飲み込まれていますが、GT-Rはその中でも「走りの楽しさ」「技術の粋」「国産スポーツの誇り」を次の形で示してくれるはずです。
GT-Rという名前が再び街を駆け抜ける日を、私たちは楽しみに待つだけ。販売終了のニュースに寂しさを感じながらも、次のGT-Rに託された期待は、これまで以上に熱く燃えているのかもしれません。
