子どもの頃、駄菓子屋さんやスーパーの棚で見かけた「ムギムギ」。サクサクと軽い食感に、ほんのり甘い香ばしさ。牛乳をかけて食べた思い出がある人も多いのではないでしょうか。そんな懐かしの定番お菓子が「販売終了したらしい」と聞いて、驚いた方も多いかもしれません。
ここでは、ムギムギがなぜ販売中止になったのか、そして現在はどこで買えるのか、再販の可能性までを丁寧に調べてみました。
いずみ製菓が作っていたムギムギとは？
ムギムギは、1970年代から長く愛されてきた麦菓子です。
ポン菓子のように膨らませた麦を甘いシロップでコーティングし、ほんのりミルクコーヒー風味に仕上げた軽いスナック。おやつとしてそのまま食べても、牛乳をかけてシリアル風にしても美味しいというユニークなお菓子でした。
製造していたのは、愛知県安城市に本社を置く「いずみ製菓株式会社」。
この会社は駄菓子メーカーとして知られ、「ムギムギ」のほかにも「麦チョコ」や「きなこ棒」など、懐かしい味のお菓子を数多く手がけていました。1970年代の発売以降、ムギムギはロングセラー商品として親しまれ、地域を問わず多くのファンを獲得していました。
2013年に一度「販売終了」へ…その背景とは？
そんなムギムギですが、2013年にいずみ製菓が菓子事業から撤退したことで、一度販売が終了しました。
きっかけとなったのは、経営環境の変化と製造コストの上昇です。
まず大きかったのは原材料価格の高騰。
ムギムギの主原料である小麦や糖類の価格が上がり、製造コストを吸収できなくなっていたといわれています。駄菓子のような低価格商品は値上げが難しく、原価上昇は経営を直撃しました。
また、駄菓子市場全体の縮小も影響しました。
少子化や嗜好の多様化により、子ども向けの定番駄菓子の売り上げは年々減少。スーパーやコンビニでも駄菓子コーナーが縮小され、ムギムギのような昔ながらのお菓子が棚から消えていったのです。
さらに、工場や設備の老朽化という現実的な問題もありました。
いずみ製菓の工場は敷地中央にあり、建て替えや機械の更新が難しい状況にあったといわれます。こうした複数の要因が重なり、会社として菓子事業を終了せざるを得なかったのです。
そのため、2013年夏を最後に「ムギムギ」の全国的な流通がストップしました。
多くのファンがSNSなどで「どこにも売ってない」「もう食べられないの？」と悲しむ声を上げ、ネット上では一時的に「幻のお菓子」と化したのです。
しかし…ムギムギは完全に消えたわけではなかった！
実はその後、「ムギムギ」は別のメーカーの手によって復活しています。
販売終了からしばらくして、ムギムギの製造権と商標を引き継いだのが高知県の南国製菓株式会社です。
南国製菓は、もともと芋けんぴやポン菓子など、昔ながらのお菓子づくりを得意とする企業。
いずみ製菓の廃業を知り、機械やレシピを引き継いでムギムギの製造を再開しました。
当初は西日本を中心に限定的な販売でしたが、次第にネット通販や一部スーパーなどでも取り扱われるようになり、現在も購入できる状態が続いています。
つまり「ムギムギは販売終了した」というのは、いずみ製菓版の話。
商品そのものは南国製菓によって引き継がれ、“第二のムギムギ”として復活しているのです。
復活版ムギムギの特徴と味の違い
復活後のムギムギは、見た目や味もほぼオリジナルのまま。
パッケージのキャラクター「ムギ坊や」も健在で、懐かしさを覚える人が多いようです。
口コミでも「昔の味と変わらない」「甘さ控えめで香ばしい」「サクサク感がそのまま」など、再現度の高さが話題になっています。
ただし、製造会社が変わったことで、細部の違いは多少あります。
例えば、容量やパッケージサイズが調整されている場合があり、地域によっては取り扱い店舗が限られています。
それでも「味の記憶がよみがえる」と評判で、ファンの間では再販を喜ぶ声が多く聞かれます。
どこで買える？ムギムギの現在の販売状況
南国製菓のムギムギは、全国展開こそしていませんが、いくつかの入手ルートがあります。
- 一部のスーパー（特に西日本エリア中心）
- 南国製菓の直販ルートや地方特産品コーナー
- ネット通販（Amazonや楽天、ヤオコーのネットスーパーなど）
とくに「徳用ムギムギ240g」といった大袋タイプが人気で、オンラインでも定期的に在庫が補充されています。
ただし、需要に対して供給が限られており、在庫切れになることもしばしば。再入荷を待つファンも多いようです。
また、パッケージが昔と微妙に異なるため、「見つけたけど気づかなかった」というケースもあります。
店頭で「南国製菓」と表記されたムギムギを見かけたら、それが復活版です。
ムギムギ販売終了の背景にある駄菓子業界の現実
ムギムギの販売中止と再販の経緯は、今の駄菓子業界の厳しい現実を映しています。
子どもの数が減り、駄菓子屋文化が縮小したことで、老舗メーカーの多くが撤退や廃業に追い込まれています。
ムギムギのようにファンが多い商品でも、製造コストや流通経路の確保が難しく、事業継続が困難になるケースが増えているのです。
一方で、南国製菓のように古いレシピや機械を引き継ぎ、「懐かしい味を守る」取り組みを続ける企業もあります。
こうした小規模メーカーが、地域発でレトロ駄菓子を再生させる動きは、近年少しずつ広がっています。
ムギムギの復活は、その象徴的な事例といえるでしょう。
代わりに楽しめる似たお菓子
もしムギムギが近くの店で見つからない場合、似た味わいを持つお菓子を探してみるのもおすすめです。
麦を使った膨化スナックや、香ばしい甘みのあるシリアル系のお菓子が近い存在になります。
たとえば、
- 「むぎポン ミルクコーヒー味」
- 「ヘルシーむぎスナック」
- 「麦チョコ（香ばしタイプ）」
などは、ムギムギと同じような風味や食感を楽しめる商品として知られています。
特に牛乳をかけて食べるスタイルが好きだった人には、こうしたシリアル系スナックもおすすめです。
ムギムギはもう買えない？販売終了の真相と今後の展望
まとめると、ムギムギは2013年にいずみ製菓が販売終了したものの、現在は南国製菓によって再販されています。
味も当時の記憶をほぼ再現しており、限定的ながら購入可能な状態です。
ただし流通は限定的で、店舗によっては取り扱いがないため、確実に入手したい場合はネット通販を活用するのが良いでしょう。
ムギムギのように、一度は姿を消しても新たなメーカーの手で復活する例は珍しくありません。
それだけ、多くの人に愛され、記憶に残るお菓子だったという証拠でもあります。
もし「ムギムギが販売終了って本当？」と疑問に思ってこの記事にたどり着いたなら、安心してください。
あの懐かしい香ばしい味は、今もちゃんと存在しています。
ただ、見かけたら迷わず買っておくのがおすすめです。次にいつ出会えるかは、誰にもわからないのです。
