ドアが勢いよく閉まるようになった、油が漏れてきた──そんなときに目にするのが「MIWAドアクローザー(美和ロック)」のドアクローザー。かつて多くの住宅やマンションで標準採用されていたメーカーですが、実はすでに販売終了しています。では、今ついているMIWAドアクローザーが壊れたらどうすればいいのでしょうか?
今回は、代替品の選び方から交換手順まで、分かりやすく解説します。
MIWAドアクローザーはなぜ販売終了になったのか
MIWAドアクローザー(美和ロック)は、鍵や錠前の大手メーカーとして知られていますが、ドアクローザーの製造・販売については2021年3月をもって終了しました。つまり、現在MIWAドアクローザーは新品では入手できません。
この背景には、ドアクローザー市場の再編があります。国内ではリョービ S-202P シリーズやニュースターといった専門メーカーが主力となり、MIWAは本来の得意分野である錠前事業へ集中する形を取ったのです。
そのため、現在MIWAドアクローザーを交換しようとすると「後継機種が存在しない」「型番検索しても出てこない」という状況になります。とはいえ、まったく交換できないわけではありません。他社製の代替品を選べば、同じ取り付け穴を利用して交換できるケースも多いのです。
ドアクローザーの役割と交換が必要なサイン
ドアクローザーは、ドアをゆっくりと閉じるための装置です。内部のスプリングと油圧ダンパーによって開閉速度を制御し、ドアが「バタン!」と閉まるのを防ぎます。静音性や安全性、防風・防火性能にも関わる重要なパーツです。
経年劣化により、次のような症状が出たら交換のサインです。
- ドアが勢いよく閉まる(油圧が抜けている)
- ドアが閉まりきらない、途中で止まる
- 開閉時に異音がする
- 本体やアーム部分から油がにじんでいる
MIWAドアクローザーの古いモデルはすでに修理部品の供給も終了しているため、これらの症状が出た場合は「修理」ではなく「交換」を検討するのが現実的です。
MIWAドアクローザーの代替品を選ぶポイント
代替品を選ぶときの基本は「取り付け穴の互換性」「ドアの仕様」「開き方」の3つ。これを確認せずに購入すると、ネジ穴の位置が合わず取り付けできないことがあります。
1. 取り付け穴の互換性
MIWAドアクローザーの中には、4つ穴タイプなど特定の寸法で設計されたものが多く存在します。代替品を選ぶ際は、現物のネジ穴位置を測り、同じ寸法に対応する機種を選ぶことが重要です。
2. ドアの開き方
「内開き」「外開き」「左吊元」「右吊元」によって取り付け方向が変わります。間違えるとクローザーが正常に動作しません。必ず開き方を確認してから購入しましょう。
3. ドアの重量とサイズ
軽いドアに大型クローザーを付けると開閉が重くなり、逆に重いドアに小型クローザーを付けると閉まりきらないことがあります。製品ごとに適用ドア重量が記載されているので、目安をチェックしておくと安心です。
代替品として人気のあるドアクローザー
MIWAドアクローザーの代替として取り付けやすく、国内で入手しやすいのは主にリョービ S-202P シリーズやニュースター製の汎用モデルです。ここでは代表的な3種類を紹介します。
リョービ S-202P シリーズ
最も定番の取替え用ドアクローザーです。既存の取り付け穴に対応しやすく、取り付け角度の調整も容易。閉扉速度やラッチング速度を個別に調整できるため、玄関ドアから室内ドアまで幅広く対応します。デザインもシンプルで目立ちにくいのが特徴です。
リョービ ドアマン
油圧式のクローザーに加え、一定角度で止められるストップ機構を備えた多機能タイプ。重めの玄関ドアにも対応でき、閉まり方を好みに調整できます。DIYでの取り付けも比較的簡単で、MIWAドアクローザーからの交換例も多く見られます。
スガツネ工業 ラプコンドアダンパー LDD-S型
こちらは軽い室内ドアやオフィスのドア向け。油圧ではなくバネ式ダンパーで動作するため、取付スペースが狭い場所でも設置可能です。静かに閉まるソフトクローズ機能が特徴。
交換前にチェックしておきたい項目
MIWAドアクローザー製からの交換をスムーズに行うには、以下のチェックが欠かせません。
- ドア上部のスペース(アームが干渉しないか)
- 既存ブラケットの形状とネジ穴位置
- ドア枠の材質(金属製か木製か)
- ドア重量(製品の許容範囲内か)
- ドアの開閉頻度や使用環境(風が強い場所か)
特に、古い公団住宅やマンション専用設計のドアでは、特殊なブラケットを使用しているケースもあります。その場合は、汎用型クローザーでは取り付けが難しく、穴あけ加工や専用金具が必要です。
交換の基本手順(DIYの場合)
自分で交換する場合の流れを簡単に説明します。作業は慎重に行いましょう。
- 既存のクローザーを外す(アーム・ブラケット・本体の順に)
- 新しいクローザーを仮止めし、穴位置を確認
- ブラケットを固定し、本体を取り付ける
- アームを正しい角度で取り付ける
- 閉扉速度とラッチングを調整する
取り付け後は、必ず数回ドアを開閉して動作を確認します。閉まりが速すぎる・遅すぎる場合は調整ネジを少しずつ回して微調整してください。
DIYと業者依頼、どちらが良い?
ドアクローザーの交換はDIYでも可能ですが、条件次第では専門業者に依頼した方が安全です。
DIY向きのケース
- ドアが軽く、取り付け穴が合う
- 工具(ドライバー・電動ドリルなど)を持っている
- 取扱説明書を読んで作業できる
業者依頼が安心なケース
- 玄関など重いドアで、安全性を確保したい
- 穴あけや金具の加工が必要
- 防火ドアやマンション共有部など、規格がある場所
業者依頼の費用は、出張費込みで1〜2万円前後が目安です。自信がない場合は無理をせず、専門の鍵業者やリフォーム業者に相談しましょう。
交換後のメンテナンスと注意点
交換が終わっても、定期的な点検は欠かせません。年に一度は、ネジの緩みや油漏れがないか確認しましょう。もしドアが再び勢いよく閉まるようになった場合、内部の油圧が抜けている可能性があります。その際は再調整、または早めの交換を検討してください。
また、油圧式クローザーは気温によって動作が変わることがあります。冬は動作が重く、夏は軽くなる傾向があるため、季節ごとに微調整を行うと快適に使えます。
MIWAドアクローザーの代替品選びで失敗しないために
最後に、失敗を避けるための3つのポイントをまとめます。
- 取り付け穴の寸法を正確に測る
既存穴が合わないと取り付けできません。ネジ間隔をミリ単位で測定しましょう。 - ドアの重量・開き方に合った製品を選ぶ
軽いドアに大型クローザーは不向き。メーカーの対応表を確認するのが安心です。 - DIYが不安なら業者に相談する
安全性や仕上がりを重視するならプロに任せるのも一つの手です。
MIWAドアクローザーの代替品ガイドまとめ
MIWAドアクローザーはすでに販売終了していますが、リョービ S-202P シリーズやニュースターなどの汎用ドアクローザーを使えば交換は可能です。
ポイントは、「取り付け穴の互換性」「ドアの仕様」「開き方」を事前に確認し、自分のドアに合った製品を選ぶこと。DIYでも交換できますが、安全性に不安がある場合は専門業者に依頼しましょう。
正しく代替品を選び、きちんと取り付ければ、古いドアも快適に蘇ります。MIWAドアクローザーの代替品ガイドを参考に、あなたの家のドアも安全で静かな開閉を取り戻してください。
