「コロネルが手に入らなくなった」「処方が止まって困っている」という声を最近よく聞きます。
長年、過敏性腸症候群（IBS）や便秘・下痢の安定に使われてきたコロネル。
しかし販売終了の影響で、今は多くの人が“次に使える薬”を探しています。
この記事では、コロネルの特徴を改めて整理しながら、同じような働きを持つ代替薬・市販薬の選び方をわかりやすく紹介します。
便秘にも下痢にも悩む方のために、医薬品に頼る前にできる工夫も含めてまとめました。
コロネルとは？どんな薬だったのか
まず、コロネル（一般名：ポリカルボフィルカルシウム）は「腸の中の水分量を調整して、便の状態を整える」薬でした。
ざっくり言えば、“食物繊維のように腸で水を吸って膨らむタイプ”です。
便が固いときは水を吸って柔らかくし、逆に下痢のときは余分な水分を吸収して便をまとまりやすくする。
この“両対応”の性質が、コロネルの最大の魅力でした。
過敏性腸症候群（IBS）に悩む人は、便秘と下痢が交互に起こることが多く、薬選びが難しいもの。
コロネルはその点、刺激も少なく長期的に使いやすい薬として多くの医師・患者に支持されてきました。
コロネル販売終了の背景と影響
そんなコロネルですが、近年は流通が止まり「実質的な販売終了」状態にあります。
同成分薬である「ポリフル」も供給が不安定で、薬局でも入手困難という報告が相次いでいます。
理由としては、製造コストや採算の問題、薬価改定の影響などが挙げられています。
いわゆる「古くからあるが利益率の低い薬」が相次いで市場から姿を消している中、コロネルもその一つに該当する形です。
結果として、長年服用してきた人たちは代替手段を探すしかなく、医療現場でも「完全に同じ作用の薬がない」という状況になっています。
特に便秘と下痢を繰り返す混合型IBSでは、これまでのような“自然な安定感”を得るのが難しいという声もあります。
コロネルの代替候補とその特徴
完全に同じ作用を持つ薬はありませんが、症状のタイプに応じて次のような薬が選択肢になります。
市販薬で対応できるものもあるため、特徴を整理しておきましょう。
1. 腸の動きを整えるタイプ（腸運動調整薬）
- セレキノン（トリメブチン）
腸の過剰な動きを抑えたり、逆に動きが鈍いときには促したりする調整薬。
IBSの下痢型・便秘型どちらにも用いられることがあり、バランスを取るのに向いています。 - トランコロン
腸のけいれんを和らげ、痛みや下痢を抑えるタイプ。
ストレスで腸が過敏に反応する人に処方されることが多いです。
このグループは「腸の働きを整える」ことに重点があり、便の水分量そのものを調整するわけではありません。
そのため、コロネルの“膨張性整腸作用”とは少し異なりますが、便通の安定に役立つケースもあります。
2. 下痢が多い人に向く薬
- ロペミン（ロペラミド）
腸の動きをゆるやかにして、便の水分を減らす下痢止め。
急な下痢や外出時の不安を和らげたい人に使われます。 - **ビオフェルミンS**や新ビオフェルミンSなどの整腸剤
腸内の善玉菌を増やして、腸の環境を整えるタイプ。
医薬品というより“日常ケア寄り”ですが、長期的な便通改善に向きます。
コロネルが吸水作用で下痢を落ち着かせていたのに対し、ロペミンなどは“腸の動きを止める”方向。
作用は異なるため、使うタイミングや頻度には注意が必要です。
3. 便秘が多い人に向く薬
- 酸化マグネシウム
水分を腸に引き込み、便を柔らかくするタイプの下剤。
長期使用でも比較的安全とされ、病院でもよく処方されます。 - **アミティーザ（ルビプロストン）**やリンゼス（リナクロチド）
腸管内に水を出し、自然な排便を促す“分泌型下剤”。
医療用ですが、刺激が少なく慢性便秘に適しています。
これらは「便を出す方向」に働くため、コロネルのように“下痢にも対応する”わけではありません。
ただし、便秘型IBSの人には有効な代替となる場合があります。
代替薬を選ぶときの注意点
薬の種類が多いほど、自己判断で選びたくなるもの。
ですが、コロネルのように「下痢と便秘の両方に効く」薬は特殊だったため、代替には慎重さが必要です。
- 症状の傾向を把握すること
便秘が続くのか、下痢が多いのか、交互なのか。
それに応じて使う薬の方向性がまったく変わります。 - 刺激の強い下剤は避ける
即効性はあっても、使いすぎると腸が慣れてしまい、自然な排便ができなくなります。 - 同時に複数の薬を使わない
下痢止めと下剤を同時に服用すると、腸の働きが混乱して悪化することも。
医師や薬剤師の指導を受けながら、慎重に切り替えましょう。 - サプリや整腸食品との併用も選択肢
食物繊維や乳酸菌サプリを組み合わせることで、腸のバランスを整えるサポートができます。
市販薬で探す場合のポイント
コロネルは医療用医薬品でしたが、市販薬でも似た働きを持つ製品はあります。
ただし「完全に同じ効果」を持つものは存在しません。
たとえば、ドラッグストアで見かける以下のような製品があります。
これらは「腸を整える」という点で方向性は近いものの、医薬品ではなく“日常ケア”の位置づけです。
便秘・下痢が頻繁に起こる場合は、自己判断で市販薬に切り替えず、医療機関で相談することをおすすめします。
生活習慣の見直しも大切
コロネルに頼らなくても、腸の調子を整える方法はあります。
薬に加えて、生活面を少し意識するだけで改善するケースも多いです。
- 水分をしっかり摂る：1日1.5〜2Lを目安に。
- 朝食を抜かない：朝の排便リズムを作るのに効果的。
- ストレス管理：IBSは心身の影響を受けやすく、リラックス時間が重要。
- 発酵食品を摂る：ヨーグルト、納豆、味噌などを日常的に。
- 軽い運動：ウォーキングや腹式呼吸で腸の蠕動を促す。
薬が効きづらいときでも、これらを意識することで「自然な便通リズム」を取り戻す助けになります。
医療機関に相談すべきタイミング
- コロネルをやめてから便通が極端に悪化した
- 市販薬を使っても効果が安定しない
- 下痢や腹痛が長引く
- 便に血が混じる、体重が急に減る
こうした場合は、自己判断せず消化器内科や胃腸科で相談を。
IBS以外の疾患が隠れていることもあるため、専門医の診断を受けるのが安全です。
コロネル代替品を探すときの心構え
コロネルが販売終了した今、「完全に同じ薬を探す」という発想を少し変える必要があります。
代替薬を組み合わせたり、生活習慣を見直したりと、複数の方法を並行して行うのが現実的です。
「便を出す薬」「下痢を止める薬」という単純な分類ではなく、
“腸全体を整える”“波を小さくする”という考え方でアプローチすると、長期的に安定しやすくなります。
コロネルの代替品を正しく理解して使おう
コロネルは、腸の水分を調整して自然な便通を保つユニークな薬でした。
その代わりを完全に担える薬は現時点で存在しませんが、症状に応じた薬や整腸ケアを組み合わせることで、十分に安定を目指すことは可能です。
便秘や下痢、過敏性腸症候群に悩む人は、焦らず自分の体のリズムを観察しながら対策を重ねていくことが大切です。
コロネルの代替品をうまく取り入れながら、腸に優しい日常を少しずつ取り戻していきましょう。
