プールや浴場の水質管理に欠かせない塩素剤「ハイクロン」。長年多くの施設で愛用されてきた製品ですが、2025年に販売が終了することが発表されました。これにより「今後どの製品を使えばいいの?」「ハイクロンと同じ効果の代替品はあるの?」と悩む声が増えています。
この記事では、ハイクロンの特徴や販売終了の理由、そして実際に使用者から評価の高い代替品を、成分・価格・入手方法の観点から詳しく紹介します。
ハイクロンとはどんな製品?
ハイクロンは、日本曹達株式会社が製造していた「次亜塩素酸カルシウム」を主成分とする固形塩素剤です。
主な用途は以下のとおりです。
- 学校・公共プールの消毒
- 浴場水の衛生管理
- 食品工場や厨房での除菌
- 浄化槽や排水処理施設の殺菌
水に溶けると次亜塩素酸を発生させ、細菌やウイルスを強力に除菌。pHが安定しやすく、水質を中性に保ちやすいのも特徴でした。さらに食品添加物にも指定されており、安全性と除菌力のバランスが取れた“定番塩素剤”として高く評価されてきました。
なぜハイクロンは販売終了になったのか?
2025年5月で生産終了、同年8月頃には販売も終了する予定です。
ただし「危険性がある」「成分が問題になった」という理由ではなく、メーカーの事業整理による製品ラインナップの見直しが主な要因です。
化学品業界では原料コストの上昇や市場環境の変化が進んでおり、製造コストや物流面の負担が増加。ハイクロンは長く愛された製品でしたが、同等成分の他メーカー製品が市場に十分あるため、事業整理の対象になったと考えられています。
つまり「ハイクロンが危険だから終売」ではなく、「同じ成分の代替製品が普及したため生産を終了した」という前向きな理由です。
ハイクロンの代替品として使える製品一覧
現在、ハイクロンの代替として推奨されているのは、同じく次亜塩素酸カルシウムを有効成分とする「無機系塩素剤」です。性能面でも安全性でもほぼ同等の働きをします。
トヨクロンファインシリーズ
もっとも代表的な代替候補が「トヨクロン」です。
ハイクロンの各製品に対応する形で、同等性能のタイプが複数展開されています。
- トヨクロンPTH100:ハイクロンQの代替。高濃度(有効塩素70%)でプールや浴場向け。
- トヨクロンPTG3:ハイクロンFHの代替。顆粒状で溶けやすく、投入が簡単。
- トヨクロンファインシリーズ:ハイクロンLT-100/200の代替。扱いやすい錠剤タイプ。
トヨクロンは国内の多くのプール施設や旅館で採用されており、溶解速度・塩素濃度の安定性が高いと評価されています。
スタークロン
もう一つの有力候補が「スタークロン」。こちらも次亜塩素酸カルシウム系の無機塩素剤です。
飲料水の消毒にも使用できる食品添加物グレードで、安全性が高いのが特徴。
また錠剤・顆粒・小分け容器などラインナップが豊富で、ハイクロンからの切り替えがスムーズです。
プールだけでなく、浴槽水、貯水槽、食品器具の除菌など幅広い用途に対応しており、少量使用にも向いています。
その他の高度さらし粉・無機系塩素剤
市場には他にも、同様に次亜塩素酸カルシウムを主成分とする高度さらし粉系の製品が多数あります。
メーカーによって溶解性や添加物の違いはありますが、基本的な消毒効果や扱い方はハイクロンと共通です。
小規模施設や家庭用で使う場合は、錠剤や顆粒タイプの製品を選ぶと扱いやすいでしょう。
ハイクロン代替品の価格目安
価格は販売店や容量によって異なりますが、2025年現在の一般的な相場は以下のとおりです。
どちらも業務用では20kg単位での販売が主流ですが、家庭用・小規模施設向けの小分けタイプもオンラインで入手可能です。
Amazonや楽天市場などでも取り扱いがありますが、用途が業務用か家庭用かで成分濃度や表示内容が異なるため、購入前に仕様を必ず確認しましょう。
ハイクロンから代替品に切り替える際の注意点
1. 成分を確認する
ハイクロンと同じ「次亜塩素酸カルシウム」が主成分の無機系塩素剤を選ぶことが基本です。酸性の有機塩素剤(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなど)に切り替えると、水質のpHが変動しやすく、設備の腐食リスクが高まります。
2. 投入量と濃度を調整する
代替品でも有効塩素濃度が若干異なるため、投入量をそのまま流用せず、実際の残留塩素値を測定しながら調整するのが安全です。
3. 水質測定を定期的に行う
切り替え後は、遊離残留塩素濃度やpH値をこまめにチェック。安定した値になるまで、少量ずつ試験的に使用するのがベストです。
4. 安全な保管方法を守る
次亜塩素酸カルシウムは強い酸化剤です。酸や油脂などと混ざると発火の恐れがあるため、単独で保管し、湿気や直射日光を避けるようにします。開封後はしっかり密閉し、保護具を着用して取り扱いましょう。
入手方法と流通状況
ハイクロンが終了した今でも、トヨクロンやスタークロンは全国の薬品販売店や衛生管理業者で入手可能です。
また、ネット通販では法人・個人問わず購入できる店舗が増えています。
- 法人・学校・施設向け:業務用通販サイトやプール薬品取扱業者に相談。
- 一般ユーザー・個人事業者向け:Amazon・楽天市場などで小分け品を選択。
在庫が安定しているメーカーが多いものの、ハイクロン終了に伴い需要が集中しているため、早めの確保がおすすめです。
ハイクロンの代替品を選ぶポイント
- 同等成分であること
次亜塩素酸カルシウム配合の無機塩素剤を選ぶ。 - 用途に合った剤形を選ぶ
プールなどでは錠剤、浴場では顆粒タイプが扱いやすい。 - 供給が安定しているメーカーを選ぶ
トヨクロンやスタークロンは流通が安定しており安心感がある。 - コストと安全性のバランス
1kgあたりのコスパも重要だが、品質や信頼性を優先すること。
これらを踏まえれば、ハイクロンからスムーズに切り替えられます。
今後の水質管理をどう続けるか
ハイクロンが姿を消しても、同じ次亜塩素酸カルシウム系の塩素剤を使えば、従来どおりの水質管理を維持できます。
特にトヨクロンやスタークロンは、同等の成分・性能を持ちながら、使い勝手もハイクロンに近い仕様です。
大切なのは、製品を変えるだけでなく「塩素濃度の管理」「安全な保管」「適正な投入量」を継続的に見直すこと。
製品が変わっても、管理の基本を守ることで、衛生的で安心な環境を保てます。
ハイクロンの代替品まとめ
ハイクロンの販売終了は残念ですが、同等の効果を持つ代替品は複数存在します。
特にトヨクロンとスタークロンは、成分・濃度・安全性のバランスが良く、最有力候補といえます。
早めに代替品を確保し、試験的に使いながら水質を確認することで、スムーズな移行が可能です。
ハイクロンと同じ次亜塩素酸カルシウム系の無機塩素剤を選べば、今後も安心して衛生管理を続けられるでしょう。
