「ヘルメス ホワイト キュラソー」という名前を聞いて、懐かしさを感じる人も多いのではないでしょうか。かつて多くのバーや家庭の棚に並んでいたサントリーの「ヘルメス」シリーズ。その中でもホワイト キュラソーは、オレンジの果皮が香る透明なリキュールとして、多くのカクテルに使われていました。そんな定番の一本が、いつの間にか姿を消している……。この記事では、「ヘルメス ホワイト キュラソー」がなぜ終売になったのか、そして今でも手に入る方法や、味わいの近い代替リキュールを詳しく紹介していきます。
ヘルメス ホワイト キュラソーとは？長年愛された国産リキュールの名作
「ヘルメス ホワイト キュラソー」は、サントリーが展開していた国産リキュールシリーズ「ヘルメス」ブランドのひとつ。昭和の時代から続くシリーズで、カクテル文化が日本に定着し始めた頃から多くのバーテンダーに愛用されてきました。
ホワイト キュラソーとは、オレンジの果皮を原料にした柑橘系のリキュールで、色が透明なのが特徴。ブルーキュラソーのような鮮やかな色味はないものの、香りと味わいは同系統です。
「ヘルメス ホワイト キュラソー」は、40％というしっかりしたアルコール度数を持ち、柑橘の爽やかさとほのかな苦味が絶妙なバランスを生み出していました。日本のカクテル黎明期を支えた一本と言っても過言ではありません。
終売の知らせ…公式発表はないが、流通は完全に停止
近年、この「ヘルメス ホワイト キュラソー」を探しても、サントリーの公式サイトにも、主要な酒販店にも掲載がなくなっています。卸サイトではすでに「終売」と明記され、在庫を残していた店舗でも「販売終了」「取扱いなし」との表記が目立ちます。
また、フリマアプリやオークションサイトでは「終売品」「古酒」として出品されることもあり、定価の数倍で取引されることもあるほど。つまり、メーカーの生産は完全に終了しており、新品としての入手はほぼ不可能な状況です。
ヘルメス ホワイト キュラソーが終売になった理由を考察
公式な発表はないものの、いくつかの要因が重なって終売に至ったと考えられます。
1. カクテル文化の変化と需要の低下
かつてはバーで多用されていたホワイトキュラソーですが、近年は「家飲み」「ハイボール」「缶チューハイ」の需要が増え、カクテル用リキュール全体の需要が減少傾向にあります。
特に家庭用としては、色鮮やかなブルーキュラソーや手軽に使える低アルコールのリキュールが好まれるようになりました。その流れの中で、クラシックなホワイトキュラソーの存在感が薄れていったのです。
2. 製造コストと採算性の問題
「ヘルメス」シリーズは戦前から続く老舗ブランドで、伝統的な製法を守っていたことで知られています。オレンジ果皮の香味を抽出するには手間がかかり、製造コストも高め。
一方で、販売数量は減少していたため、採算を取るのが難しくなったとみられます。メーカーとしても、同じリソースをより需要のある新ブランド（たとえば「奏 KANADÉ」シリーズなど）に振り分けた可能性が高いです。
3. ブランド整理とラインナップ再編
サントリーは近年、「クラフト」や「プレミアム」をキーワードにした新しいスピリッツを次々と展開しています。これに伴い、古くからのラインを整理し、「ヘルメス」ブランドのリキュールは徐々に縮小傾向に。
同シリーズの他のリキュール（ヘルメス ブルー キュラソー、チェリーブランデーなど）も次々と終売しており、ブランド全体の再構築の一環と考えられます。
今でも手に入る？再入手の方法と注意点
「どうしてもあの味をもう一度」という人にとって、完全に手放された製品はつらいもの。けれど、少し探せばまだ手に入るチャンスはあります。
1. フリマアプリ・オークションサイト
メルカリやヤフオクなどでは、未開栓の「ヘルメス ホワイト キュラソー」が「終売品」として出品されていることがあります。価格は時期や状態によって変動しますが、概ね定価の2〜3倍ほど。
ただし古酒扱いのため、購入時には「未開栓」「ラベルの劣化」「保存状態」などをしっかり確認しましょう。経年による風味の変化も覚悟が必要です。
2. 専門酒販店・業務用在庫
稀に、業務用ルートで保管されていた在庫が一般販売に出ることがあります。ネット通販で「終売」「在庫限り」と表示されているショップをチェックしておくのも一つの手です。
ただし、在庫が尽きれば再入荷はないため、見つけたら早めの判断が肝心です。
3. 海外ルートは期待薄
「ヘルメス ホワイト キュラソー」は国内製造のリキュールで、海外ではほとんど流通していません。そのため、海外通販や輸入ルートからの入手は難しく、現実的ではありません。
再販や復刻の可能性はある？
現時点では、メーカーから「再販」「リニューアル」に関する発表はありません。ただ、同じサントリーが展開する「奏 KANADÉ」シリーズなどを見ると、和素材や自然香味を重視する方向に舵を切っているように見えます。
つまり、同じ「ヘルメス」ブランドとしての復活は望み薄ですが、「伝統的リキュールの再解釈」という形で新製品が登場する可能性はゼロではありません。
国内リキュール市場では、クラシックな味を再評価する動きも見られるため、今後の展開を静かに期待して待つのもいいでしょう。
ヘルメス ホワイト キュラソーに近い味のおすすめ商品
では、現在流通している中で「ヘルメス ホワイト キュラソー」の代わりに使えるリキュールはあるのでしょうか。
オレンジの香り、透明感、カクテルへの使いやすさを基準に選ぶと、いくつかの候補が挙げられます。
1. ボルス ホワイト キュラソー
オランダの老舗リキュールブランド「ボルス」は、世界中のバーテンダーに愛されている定番メーカー。ホワイトタイプは色が透明で、オレンジの皮のほろ苦さと甘みがしっかりしています。カクテル素材としての汎用性も高く、代替として最も無難な一本です。
2. デカイパー ホワイト キュラソー
こちらもオランダの伝統的なブランド。日本国内では一時的に終売となりましたが、輸入ルートによっては今も取り扱っている店舗があります。香りは柔らかく、口当たりが軽めなので、ヘルメスよりも少しマイルドな印象です。
3. トリプルセック（ホワイトキュラソー系）
「コアントロー」「マリーブリザール トリプルセック」など、トリプルセック系のリキュールもホワイトキュラソーに分類されます。特にコアントローは香りが豊かで、透明感のある甘さが特徴。価格はやや上がりますが、品質面では申し分ありません。
4. 国産の果皮系リキュール
サントリーの「奏 KANADÉ」シリーズや、中小メーカーの柑橘リキュールも選択肢になります。純粋に「ホワイト キュラソー」とは異なる味ですが、カクテルに使うと香りの立ち方が似ている場合もあります。
古酒として楽しむときの注意点
もし運よくヘルメス ホワイト キュラソーを入手できた場合、開栓前にいくつか確認しておきたいポイントがあります。
- 長期保管品は、香りが飛んでいたり、アルコールの角が立っていたりすることがある
- キャップやコルクの劣化で液漏れしている可能性もある
- 沈殿物や色の濁りが見られる場合は、軽く振らずに様子を見る
古酒としての価値を楽しむなら、無理に飲まずにコレクションとして保存するのもおすすめです。リキュールはアルコール度数が高いため、未開栓なら長期保存が可能です。
ヘルメス ホワイト キュラソーが残したもの
「ヘルメス」ブランドは、戦前から日本の洋酒文化を支えてきた歴史的な存在でした。ジンやウォッカ、リキュールなど、多くの製品がバー文化の礎を築いてきたのです。
その中で「ヘルメス ホワイト キュラソー」は、派手さはないものの、カクテルの“陰の主役”として愛され続けてきました。終売によってその系譜が途絶えるのは残念ですが、いまも多くのファンがその味を記憶しており、カクテル文化の中で静かに息づいています。
ヘルメス ホワイト キュラソー終売の理由と再入手方法まとめ
「ヘルメス ホワイト キュラソー」は、昭和から令和にかけて長く愛された国産リキュールの名作でした。
需要の変化、製造コスト、ブランド再編など、さまざまな要因が重なって終売となりましたが、その存在は今も多くの人の記憶に残っています。
もし今でもその味を求めるなら、古酒市場をチェックしてみるのも一つの楽しみ方。そして、新しいリキュールたちの中に、あの爽やかな柑橘の香りを感じさせる一本を探すのもまた面白いでしょう。
消えてしまった名酒をたどることは、時代を超えて味覚の記憶を旅することでもあります。あなたのカクテルグラスの中で、もう一度あの香りを蘇らせてみてください。
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