ゼンハイザーのHD560Sは、発売以来「価格以上の音質」として注目され続けているヘッドホンです。
この記事では、実際のレビューや試聴体験をもとに、音質・装着感・使用感・おすすめポイントをわかりやすく紹介します。リスニング用にもモニター用にも使える万能モデルを探している方は、ぜひ参考にしてください。
HD560Sとは？ゼンハイザーが作った“正確さ”重視のオープン型ヘッドホン
HD560Sは、ドイツの老舗オーディオブランド「SENNHEISER（ゼンハイザー）」が開発したオープンバック型の有線ヘッドホンです。
同社の人気シリーズ「HD500シリーズ」の中で、リファレンス志向のモデルとして位置づけられています。
最大の特徴は、「自然で正確な音の再現」。
低音を過剰に盛ることもなく、高音を強調しすぎることもない。まさに“録音された音をそのまま聴く”ようなバランスが魅力です。
仕様面では次のような特徴があります。
- オープンバック構造（開放型）
- インピーダンス：120Ω
- 重量：約240g（軽量）
- 着脱式ケーブル（3m）
- 価格帯：2万円前後
見た目は落ち着いたマットブラックで、無駄な装飾がないシンプルなデザイン。プロ機材のような質実剛健さが漂います。
音質レビュー：フラットで透明感ある“素直な音”
HD560Sの最大の魅力は、その「ニュートラルな音質」。
多くのレビューで「モニター的」「正確」「フラット」という言葉が使われており、ジャンルを問わず音源本来の魅力を引き出します。
低音：引き締まりつつも量感は控えめ
低音は深く沈み込みますが、重低音を強調するタイプではありません。
ドンシャリ系の派手な音に慣れている人には少し物足りなく感じるかもしれませんが、楽器一つひとつの輪郭が明確で、ベースラインの動きがしっかり分かります。
クラシックやアコースティック、ジャズのような生楽器中心の音楽では、むしろこの控えめな低音が心地よく感じるでしょう。
中音：ボーカルが自然で、定位も明確
中音域は非常に滑らかで、ボーカルや弦楽器の再現力に優れています。
歌声が耳に近すぎず、自然な距離感で響くのが印象的。
ギターやピアノの倍音も豊かで、録音の良い楽曲ほどHD560Sの実力が際立ちます。
高音：繊細でクリア、聴き疲れしにくい
高音はスッキリとした伸びがあり、ハイハットやシンバルの響きもきれい。
ただしシャリつきや刺さりが少ないため、長時間のリスニングでも疲れにくいです。
全体的に音の粒立ちが良く、情報量の多いハイレゾ音源との相性も抜群です。
音場と定位感：開放型ならではの立体的な広がり
HD560Sはオープンバック構造のため、音が耳の外側に広がるような開放感があります。
左右のセパレーションが明確で、空間表現に優れたヘッドホンを探している人には理想的です。
ライブ音源ではステージの奥行きを感じ、クラシックではホールの残響がしっかり伝わります。
また、音の位置を正確に把握できるため、ゲーム用途（特にFPS）でも高い評価を得ています。
快適性レビュー：軽量×ベロアパッドで長時間リスニングも快適
装着感の良さもHD560Sの大きな魅力です。
約240gという軽さに加え、柔らかいベロア素材のイヤーパッドが耳を包み込みます。
通気性がよく、蒸れにくいのもポイント。
ヘッドバンド部分も適度にクッションがあり、側圧（締め付け感）は中程度。
頭の大きさによっては最初ややタイトに感じることもありますが、使ううちに自然に馴染んでいきます。
長時間音楽を聴いたり、作業中に着けっぱなしでも痛くなりにくい設計です。
軽いこともあり、何時間でも快適に使える点は多くのユーザーが高評価をつけています。
使用シーン別レビュー
音楽鑑賞
HD560Sは、音楽のジャンルを選ばず活躍します。
クラシックやジャズ、アコースティックなど、音場の広さと正確な定位が生きる楽曲では特に効果的。
ロックやポップスもバランスよく聴けますが、低音重視のEDMなどでは若干の物足りなさを感じるかもしれません。
それでも、「音源のリアルな質感を味わいたい」というリスナーには間違いなくおすすめできます。
ゲーム・映画視聴
音の方向感や距離感を正確に再現するため、FPSゲームのような“音で勝つ”ジャンルに最適です。
映画ではセリフの明瞭さや空間表現のリアルさが際立ち、臨場感のある体験が楽しめます。
ただし、マイクは非搭載なのでボイスチャットには別途マイクが必要です。
外出・通勤用途
HD560Sは開放型のため、外の音が普通に聞こえ、音漏れも多いです。
そのため外出や電車内には不向き。
静かな自宅や作業部屋での使用が前提のモデルといえるでしょう。
HD560Sの弱点と注意点
完璧に見えるHD560Sにも、いくつかの注意点があります。
- 遮音性の低さ
オープン型ゆえに外音を拾いやすく、周囲への音漏れも大きい。静かな環境専用と割り切るのがベストです。 - 低音の量感
ドンシャリ系の派手なサウンドが好きな人には少し物足りないかもしれません。
ただし質の高い低音を求める人には最適です。 - 駆動力の必要性
インピーダンスが120Ωとやや高いため、スマホ直挿しよりもヘッドホンアンプやDACを使うと真価を発揮します。 - 有線のみ対応
Bluetoothやノイズキャンセリングなどの機能は非搭載。
音質重視の“純粋なリスニング機”として割り切るモデルです。
コストパフォーマンス：2万円台で手に入る“リファレンス級”
HD560Sの評価を語るうえで外せないのが、そのコストパフォーマンスです。
2万円前後という価格ながら、音の正確さや空間表現は上位モデルにも匹敵します。
同価格帯の中では群を抜いた解像度と自然なサウンドバランスで、音楽制作やリスニングの両方に対応可能です。
同シリーズの「HD600」や「HD650」と比べても、価格差を考えると非常に優秀。
「初めてリファレンス系の音を体験したい」「ハイエンドに近い音をコスパ良く味わいたい」という人には理想的な選択肢です。
こんな人にHD560Sをおすすめしたい
- 自然でフラットな音を求める人
- 作業用・モニター用にも使えるヘッドホンを探している人
- 軽くて長時間装着できるモデルが欲しい人
- 音の定位や空間表現を重視するリスナー
- 高音質を手頃な価格で楽しみたい人
逆に、「迫力ある重低音」「外でも使えるノイズキャンセリング付き」を求める人には別モデルが向いています。
HD560Sレビューまとめ：音質・快適性・おすすめポイントを紹介
HD560Sは、ゼンハイザーの哲学が詰まった“原音忠実”なヘッドホンです。
派手なチューニングではなく、音楽そのものをまっすぐ伝えるタイプ。
透明感のある音、軽やかな装着感、そして高いコストパフォーマンス。どれを取ってもバランスが良く、長く使える1台です。
音楽制作のモニター用にも、じっくり聴き込むリスニング用にもぴったり。
「聴くたびに発見がある」そんな魅力を持つHD560Sは、初めての本格ヘッドホンとしても自信を持っておすすめできます。
