「MGウイングガンダムゼロEWって、実際どうなの?」
そう思っている人は多いはず。2004年に登場して以来、いまだに根強い人気を誇るこのガンプラ。発売から20年近く経つ今でもレビューや作例が絶えないのは、それだけ完成度が高い証拠です。
ここでは、実際に組んでみた印象や他モデルとの比較、キットの魅力と注意点を含めて、MGウイングガンダムゼロEWを徹底的に掘り下げていきます。
天使の羽が象徴するウイングガンダムゼロEWの美しさ
まず最初に語らなければならないのは、このキットの代名詞ともいえる“天使の羽”。
OVA『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』版のウイングゼロは、劇中でも印象的な姿でしたが、MG版はその繊細さと迫力を1/100スケールで見事に再現しています。
主翼・副翼ともに細かな可動ギミックがあり、羽ばたくようなポーズから包み込むようなシルエットまで、自由自在。大型のウイングを広げた状態は、まさに神々しいといっても過言ではありません。
飾るだけでも存在感が圧倒的で、素組みのままでも「完成品のような高級感」が漂います。
MGならではの精密設計と組み立ての楽しさ
MGシリーズの特徴といえば、細かい内部構造と高い可動性。
このウイングゼロEWも例外ではなく、当時としては非常に緻密なフレーム設計がなされています。
脚部や腕部は二重関節でしっかり曲がり、膝立ちポーズも自然。腰のスイングや肩関節の可動域も広く、ポージングの自由度は高めです。
ただし、関節はABS素材が多く使われており、組み立て時にやや固く感じる部分もあるので、慎重に扱うのがコツ。
特に指可動タイプのハンドパーツは時代を感じる構造で、ツインバスターライフルの保持がやや甘い点は注意が必要です。
それでも、組み立てながら各部の構造を理解していく過程には、MGらしい“作る楽しみ”が詰まっています。
素組みでも映える高い色分けと造形美
ウイングゼロEWの魅力の一つが、パーツ分割による色分けの完成度です。
白・青・赤・黄の基本色がしっかりパーツで再現されており、塗装をしなくても設定どおりのカラーリングに仕上がります。
ホイルシールはツインアイやセンサー部など最低限。素組みでも十分映えるため、初心者にも扱いやすい設計です。
また、パネルラインやモールドが細かく入っているため、軽くスミ入れをするだけで一気に情報量が増え、リアルさが際立ちます。
ウイング部分には軟質素材が使われており、羽の動きに柔らかさを出せるのもポイント。ただし塗装を考えている場合は、素材の特性上、塗料の定着に注意が必要です。
ネオバード形態の変形ギミック
ウイングゼロといえば忘れてはいけないのが“ネオバード形態”。
MG版では、この特徴的な大気圏突入形態をしっかり再現できるギミックが搭載されています。
肩を展開し、ウイングを折りたたみ、ツインバスターライフルを前方に連結することで、飛翔形態へと変形。
可動部の多い構造ながら、変形後もシルエットが崩れず、非常に完成度が高いです。
ただし、変形時にウイングの根元を強く動かすと破損のリスクもあるため、ゆっくり丁寧に操作するのがポイント。繊細な構造を理解しながら扱うことで、より長く美しく楽しめます。
付属品とディスプレイ性の高さ
付属パーツも充実しています。ツインバスターライフル、ビームサーベル、ヒイロ・ユイ フィギュア、そして専用ディスプレイスタンドが同梱。
特にスタンドの存在が大きく、ウイングを広げたダイナミックな飛行ポーズも安定して展示できます。
MGサイズならではの重量感とバランスの良さも魅力。ウイングを全開にしても後ろに倒れにくく、空中戦をイメージした飾り方にもぴったりです。
ヒイロのフィギュアは小さいながらも造形が丁寧で、作品の世界観を補完してくれます。
旧MG版の味わいとMGウイングガンダムゼロEW Ver.Kaとの違い
2020年に登場した「MGウイングガンダムゼロEW Ver.Ka」は、最新設計によって旧版を一新。
内部フレームから外装の造形、関節保持力、デカールの仕様までアップデートされています。
よりシャープで精密なディテール、そして水転写デカールによるマーキングが映える仕上がりです。
一方、旧MG版(本キット)は、当時の技術で作られたからこその“素朴な完成度”が魅力。
関節構造に多少の古さはあるものの、組みやすく、塗装派にも優しいシンプルな構成になっています。
価格面でも旧版は手に取りやすく、「MGの入門キット」としても人気があります。
Ver.Kaとどちらを選ぶかは目的次第。作り応えと新しさを求めるならVer.Ka、クラシックなMG体験を楽しむなら旧版がベストです。
組み立てて感じるウイングゼロの存在感
完成後にまず感じるのは、“立たせているだけで美しい”ということ。
白を基調とした機体にブルーとレッドの差し色、そして背中の大きなウイング。光の当たり方で羽根の陰影が変わり、まるで生きているかのような存在感があります。
特にディスプレイスタンドを使って上空ポーズを取らせると、エンドレスワルツの劇中カットそのままの迫力に。
ウイングを閉じて静かに佇む姿も、広げて動きをつけた姿もどちらも絵になります。
この「静と動のバランス」こそが、MGウイングガンダムゼロEWの真価と言えるでしょう。
カスタマイズ・塗装で広がる表現の幅
素組みでも十分完成度が高い本キットですが、塗装派モデラーにとっても格好の素材です。
羽根部分のグラデーション塗装やメタリック仕上げを加えると、劇中以上の幻想的な雰囲気に。
また、内部フレームの露出部分をチタン風に塗り分けると、メカニカルな重厚感が増します。
合わせ目処理やデカール追加など、ひと手間加えるごとに表情が変わるのもMGの醍醐味。
自分なりの“ウイングゼロ”を作り上げる楽しみが詰まっています。
長年愛され続ける理由
発売から年月が経っても、ウイングゼロEWが多くのレビューで高評価を維持しているのには理由があります。
・天使の羽を象徴する唯一無二のデザイン
・飾って映えるプロポーションの美しさ
・古さを感じさせない堅実な設計
・組み立てやすく、塗装派にも優しい構成
・MGシリーズらしい高い完成度
これらがバランスよくまとまっており、ガンプラファンの世代を超えて支持されているのです。
MGウイングガンダムゼロEWの完成度と魅力を改めて評価する
改めて言えるのは、このキットが“時代を超えた名作”であるということ。
確かに最新MGと比べれば一部設計は古い。しかし、それを補って余りある造形美と存在感があります。
羽根の広がり、シルエットのバランス、変形ギミックの完成度——どれを取っても、ガンプラとしての魅力が凝縮されています。
初めてMGを作る人にも、コレクターとして飾りたい人にもおすすめできる一体です。
ウイングゼロEWは、ただのガンプラではなく、ガンダムWという物語の象徴を“手の中で再現できる”特別なモデル。
その完成度と魅力を体感すれば、長く愛され続ける理由がきっとわかるはずです。
