音楽好きの間で注目を集めている「Bowers & Wilkins Px7 S2e」。英国の名門ブランドによるこの最新モデルは、音質を最優先した“本格派ワイヤレスヘッドホン”として話題です。この記事では、実際の使用感や音質評価、前モデルとの違いまで、ユーザー視点で徹底的に解説します。
Px7 S2eとは？高音質と快適性を追求したプレミアムモデル
Px7 S2eは、Bowers & Wilkins（以下B&W）が手がけるノイズキャンセリング対応のワイヤレスヘッドホン。先代のPx7 S2をベースに、DSP（デジタルシグナルプロセッサ）や音響チューニングをさらに最適化した「アップデート版」にあたります。
デザインや素材感は前モデルを継承しつつも、音の解像度や立体感が一段と向上。B&Wの上位機種「Px8」で得たノウハウを取り入れており、より自然で奥行きのあるサウンドに仕上がっています。価格はおおよそ5万円台で、ハイエンドクラスの製品として位置づけられます。
音質レビュー：解像度と暖かさを両立したB&Wサウンド
B&Wといえば「音の美しさ」にこだわるブランド。その精神はPx7 S2eにも受け継がれています。
まず感じるのは、音のバランスの良さ。低音はしっかりと沈み込みつつも、膨らまずタイト。中域はボーカルが自然に浮かび上がり、高域は伸びやかで透明感があります。特にアコースティックやジャズ、ボーカル曲では、まるでスタジオで聴いているかのような空気感が再現されます。
B&Wが採用する40mmドライバーと24bit DSPの組み合わせが、この立体的な音像を実現している要因。前モデルよりも細やかな音の粒立ちが感じられ、音の“つながり”がより滑らかになっています。
一方で、ソニーやBOSEのような派手さはありません。音の自然さと深みを味わう“リスニング志向”の設計です。
ノイズキャンセリング性能：自然な静寂を演出するチューニング
Px7 S2eのノイズキャンセリング（ANC）は、極端に強力というより「自然で違和感がない」タイプ。
6基のマイクを使って外音を検知・制御する仕組みで、電車やカフェの環境音をしっかり抑えつつも、圧迫感のないリスニング体験を提供します。
完全な無音空間を作るよりも、音楽との一体感を重視したチューニング。周囲の音を適度に取り込みながら、耳への負担を減らしてくれるため、長時間の使用でも疲れにくい印象です。
通勤・通学などの日常利用には十分な性能で、飛行機内でもBGMのように残る低周波ノイズが軽減されます。
接続性と対応コーデック：aptX Adaptiveで高音質ワイヤレス
Bluetooth 5.2に対応し、aptX Adaptive／aptX HD／AAC／SBCといった主要コーデックを網羅。特にaptX Adaptive対応のAndroidスマートフォンでは、ハイレゾ相当の音質をワイヤレスで楽しめます。
接続の安定性も高く、音途切れや遅延の報告はほとんどありません。さらに2台同時接続（マルチポイント）にも対応しており、スマホで音楽を聴きながらPCの会議通知を受け取る、といった切り替えもスムーズです。
有線接続も可能で、付属のUSB-Cケーブルを使えばデジタル接続での高解像度再生も行えます。これにより、オーディオプレイヤーやPCとの相性も良好です。
操作性とアプリ連携：シンプルで実用的
操作は右側のハウジングに配置された物理ボタンで行います。
・音量の上げ下げ
・再生／停止
・曲送り／戻し
・ANC／外音取り込みモードの切替
といった操作が直感的に行える設計。タッチパネル式と違い、誤操作が起こりにくい点が好評です。
スマートフォン用アプリ「Bowers & Wilkins Music」を使えば、ANCの強度切替やイコライザー調整、ファームウェア更新も可能。ただし設定項目はシンプルで、派手なカスタマイズ要素はありません。音質が完成されているため、下手にいじる必要がないとも言えます。
装着感とデザイン：長時間でも疲れにくい快適性
イヤーパッドは柔らかく、耳を包み込むような形状。側圧はほどよく、長時間着けていても圧迫感が少ないのが特徴です。重量は約307gと軽量ではありませんが、バランスの取れた設計で負担を感じにくい作りになっています。
外観はB&Wらしい上品さと高級感を兼ね備えています。アルミニウムのアクセントとファブリック素材の組み合わせが上質で、ブラック、オーシャンブルー、フォレストグリーンなどのカラー展開も人気。街中での使用でも落ち着いた存在感を放ちます。
バッテリー性能：1日中使えるロングライフ仕様
フル充電で約30時間の再生が可能。ノイズキャンセリングをONにしてもほとんど変わらないのは好印象です。
また、急速充電にも対応しており、15分の充電で約7時間の再生が可能。朝の支度中に充電すれば、通勤・通学の往復を余裕でカバーできます。
USB-Cでの充電速度も速く、ケーブル1本でスマホやPCと共用できるのも便利です。
前モデル「Px7 S2」との違い
Px7 S2eは、外観こそ大きく変わっていませんが、中身はしっかり進化しています。
- DSPアルゴリズムを最適化し、音の立体感が向上
- ノイズキャンセリングが自然な効き方に改善
- 音の定位と透明感がより高精度に
Px7 S2を愛用していたユーザーの多くも「聴き比べるとS2eのほうが明瞭」「細部のニュアンスが自然」と評価。派手な変化ではありませんが、音の完成度は明確に上がっています。
競合モデルとの比較：音質派ならPx7 S2eが有力候補
この価格帯では、ソニー「WH-1000XM5」やBOSE「QuietComfort Ultra Headphones」との比較が定番です。
それぞれ得意分野が異なります。
- ソニー WH-1000XM5：ANCの強さと機能性重視
- BOSE QC Ultra：通話品質や快適性に優れる
- B&W Px7 S2e：音質とデザイン、自然なリスニング体験が魅力
つまりPx7 S2eは、**「静けさより音楽を楽しむ時間を重視したい人向け」**の選択肢です。ノイズを完全に消すことよりも、“音楽の余韻”を大切にしたチューニングが心地よく、聴き疲れしにくいのが最大の強みです。
実際に使って感じたメリットと気になる点
良かった点
- 自然で上質なサウンド
- 長時間でも快適な装着感
- 高級感あるデザインと仕上げ
- aptX Adaptive対応で高音質再生
- 安定したBluetooth接続
改善を望む点
- アプリ機能がややシンプル
- ANCの効きは「強力」ではない
- 折りたたみ非対応で持ち運び性は普通
とはいえ、これらの弱点を補って余りある音質とデザイン性があり、トータルバランスは非常に高いです。
px7 s2eの最新レビューと実際の使用感まとめ
Bowers & Wilkins Px7 S2eは、単なるノイズキャンセリングヘッドホンではなく、**“音を味わうためのリスニングツール”**として完成度の高い一台です。
音質の厚み、自然なANC、心地よい装着感──どれを取っても上質で、長く愛用できる製品といえます。
他社の最新モデルが機能を詰め込む中、B&Wは「音楽を聴く時間そのもの」を豊かにする方向に磨きをかけました。
静寂の中でお気に入りの楽曲を楽しみたい。そんな人にこそ、Px7 S2eはぴったりの相棒になるでしょう。
