音楽制作やリスニングにこだわる人なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。TAGO STUDIOが手掛けたモニターヘッドホン「t3 01」。
今回はこのモデルを実際の使用感を交えながら徹底レビューしていきます。音質・装着感・デザインまで、気になるポイントをすべて掘り下げます。
t3 01とは?TAGO STUDIOが生んだ国産モニターヘッドホン
t3 01は、群馬県高崎市のTAGO STUDIOが開発した密閉型オーバーイヤーヘッドホン。
プロの音楽制作者が“現場で使えるリアルな音”を求めて設計した、日本発の本格モニター機です。
特徴的なのは、ハウジングに使われた無垢の楓(カエデ)材。
この木材は一つひとつ木目や色が異なり、楽器のような存在感を放ちます。
見た目の美しさだけでなく、音の響きにも自然な温かみを与えてくれるのが魅力です。
TAGO STUDIOはもともと録音スタジオとして知られていますが、
その「音をつくる現場」で求められるモニター性能を家庭でも体験できるようにしたのが、このt3 01です。
スペックから見るt3 01の性能
まずは基本仕様を整理しておきましょう。
- ドライバー:40mmダイナミック型
- 周波数特性:5Hz〜40kHz
- インピーダンス:70Ω
- 感度:100dB
- 最大入力:1,000mW
- ケーブル長:約1.8m(着脱式)
- 重量:約320g
これらの数値から見ても、t3 01はモニター用途を意識したフラットな音響特性を狙って設計されていることが分かります。
ハイレゾ対応の広帯域再生を実現しており、録音現場やミックス作業でも十分活躍できるスペックです。
実際に聴いてみた音質レビュー
t3 01の音を一言で表すなら「誠実」。
派手さはありませんが、音の輪郭がくっきりとしていて、細部まで見通せるクリアな再生をしてくれます。
低音は控えめながら、しっかりと芯があり、ベースラインを的確に捉えます。
中音域は特に優秀で、ボーカルやアコースティック楽器の質感が非常に自然。
高音域も伸びやかですが、刺さるような強調はなく、長時間聴いても疲れにくい印象です。
リスニング向けヘッドホンに比べると「地味」に感じる人もいるかもしれませんが、
モニターとしては理想的。曲中の微妙なバランスやエフェクトの変化までしっかりと聴き分けることができます。
モニターとしての実力:原音忠実性の高さ
t3 01の開発コンセプトは「原音を忠実に再現すること」。
つまり、録音したままの音をそのまま届けることに重点が置かれています。
他のヘッドホンでは、低音を強調したり高音をキラキラさせたりして“気持ちよさ”を演出するものもあります。
しかしt3 01は、音の加工を一切せず、録音された音をフラットに再現します。
その結果、ミックスやマスタリングの作業中に“余計な演出”に惑わされることがありません。
音楽制作だけでなく、クラシックやジャズなど原音を大切にするジャンルのリスニングにもぴったりです。
装着感と使い心地
見た目の高級感もさることながら、t3 01は装着感にも定評があります。
イヤーパッドは肉厚で柔らかく、頭を包み込むようなフィット感。
側圧はややしっかりしていますが、不快な締め付けではなく「安定して固定されている」印象です。
320gという重量は数値だけ見ると中程度ですが、
頭頂部のクッションがよくできているため、長時間のリスニングや作業でも疲れにくいです。
筆者が3時間ほど使用しても、耳や頭が痛くなることはありませんでした。
また、ケーブルが着脱式なのも嬉しいポイント。
断線した場合も交換できるため、長く使い続けられます。
デザインと質感:まるで工芸品のような美しさ
t3 01を手に取ると、まず感じるのがその“温もり”。
木製ハウジングの質感は工芸品のようで、人工素材では出せない深みがあります。
金属部分の仕上げも丁寧で、全体として非常に上品。
まさに「大人のヘッドホン」という言葉がふさわしい佇まいです。
また、木製ハウジングは音響的にもメリットがあります。
反響が自然で、金属や樹脂のような不自然な響きを抑えてくれるのです。
その結果、音がより自然で、長く聴いても疲れにくいという実用的な効果も得られます。
他モデルとの違いと立ち位置
モニターヘッドホンの定番といえば、SONYのMDR-CD900STやYAMAHAのHPM100などがあります。
t3 01はそれらと比べると、より現代的で広がりのある音作りが特徴です。
900STが鋭くストレートに音を切り取るのに対し、t3 01は空間表現に優れ、自然な立体感を描きます。
また、TAGO STUDIOが自社レコーディング環境で培ったノウハウを反映しているため、
音の定位や残響の聴き取りやすさが秀逸。
リスニングにも制作にも使える“ハイブリッド”な立ち位置のヘッドホンです。
価格とコストパフォーマンス
t3 01の価格はおおよそ6〜7万円台。
一見高価に感じますが、国産の木材ハウジング・高精度なドライバー・着脱式ケーブルなど、
その造りと音質を考えれば、むしろ妥当と言えます。
プロ仕様のモニターとして使える品質を備えながら、
リスニング用としても満足できるバランスを持っている点は大きな魅力。
「一生もののヘッドホンが欲しい」という人には有力な選択肢です。
メリットと注意点をまとめてみる
良かった点
- 自然で誠実なサウンドバランス
- 長時間でも疲れにくい装着感
- 木製ハウジングによる高級感と響きの良さ
- ケーブル着脱式でメンテナンス性が高い
気になる点
- 低音の迫力を重視する人には物足りないかも
- 側圧がやや強めと感じる人もいる
- 価格がやや高め
とはいえ、t3 01の価値は数字では測りきれません。
音楽の“本質”にじっくり向き合いたい人には、この自然な音こそが魅力なのです。
t3 01の使い勝手を徹底レビューしたまとめ
t3 01は、派手さよりも誠実さを求める人に最適なヘッドホンです。
音の解像度・定位・バランス、どれを取っても優秀。
長時間の制作作業にも耐えられる装着感と、木製ならではの美しさを兼ね備えています。
音楽を“聴く”のではなく、“観察する”ように味わいたい。
そんな人にとって、t3 01はまさに理想的なパートナーになるでしょう。
原音をそのまま届ける日本発のモニターヘッドホン、t3 01。
その実力を一度体験すれば、きっとあなたの音楽の聴き方が変わるはずです。
