車のスピーカーを交換するだけで、ここまで音が変わるのか。
そう感じさせてくれるのが、パイオニア・カロッツェリアの「TS V174S」だ。
今回は、実際に装着して試聴した体験をもとに、その音質や取り付けの印象、前モデルとの違いまで、徹底的にレビューしていく。
TS V174Sとは?パイオニアが誇るVシリーズの最高峰モデル
TS V174Sは、パイオニアのカロッツェリアブランドが展開する「Vシリーズ」の最新モデルで、17cmセパレート2ウェイスピーカーとして登場した。
シリーズの中でも最上位に位置づけられ、いわば“純正交換の限界を超える”をテーマにした意欲作だ。
製造は日本国内。細部の仕上げや音質チューニングに至るまで、丁寧な設計が感じられる。
このモデルでは新たに「Open & Smooth」コンセプトを採用。これは音の広がりと中域の自然なつながりを重視した思想で、より生演奏に近い空間表現を狙っている。
外観と構造の進化
外観は前モデル「TS V173S」と比べると、見た目の印象は大きく変わらないが、内部構造はかなり刷新されている。
ウーファーは深型化され、振動板面積が拡大。これにより、低域の再現性が格段に向上している。
ツイーターはリング型からチタン製のバランスドドーム型に変更。
これによって指向性が改善され、音の広がりと高域の透明感が増した印象だ。
まさに「細部まで届く解像感」を狙ったアップデートといえる。
また、専用ネットワークが付属し、バイアンプ接続にも対応。ユーザーが自分好みの鳴らし方を追求できる点も嬉しい。
音質レビュー:低域から高域までの完成度が高い
実際に装着して聴いてみると、まず感じるのは“厚みのある中低域”。
ベースラインがしっかり前に出て、ドラムのアタックが自然。低音が膨らむことなく、引き締まった響きを維持している。
中高域は非常に滑らかで、刺さるような高音がない。
特にボーカルの再現性が高く、声の息遣いやニュアンスまで丁寧に描かれる。
これは新ツイーターの恩恵が大きいだろう。
空間表現も広く、ライブ音源を再生すると、ステージの奥行きが感じられる。
音が前方だけでなく左右・上下にも自然に広がる感覚があり、まるで車内がスタジオのような臨場感だ。
前モデルとの比較:TS V173Sからの進化点
TS V174Sは、前作のTS V173Sから明確に音の質感が変わった。
TS V173Sは繊細で伸びのある音が特徴だったが、TS V174Sではそこに“芯の強さ”が加わっている。
中低域の押し出しが増し、全体のバランスがよりフラットに。
前作ではややツイーターが主張しすぎる印象もあったが、今作は高音が自然に溶け込み、長時間聴いても疲れにくい。
結果として、クラシックやアコースティック系だけでなく、ロックやEDMなどにも対応できる万能型スピーカーになっている。
取り付けと使い勝手
取り付けに関しては、基本的に純正スピーカー交換の延長で行える。
ただし、ウーファーが深くなった分、車種によっては奥行きのクリアランスがギリギリになる場合がある。
特にドア内部の防水シートやウィンドウレールとの干渉には注意が必要だ。
ツイーターの取り付け位置は自由度が高く、純正位置にも、ピラーやダッシュ上にも設置できる。
ネットワークはコンパクトなので、設置場所にはそれほど困らないだろう。
音の立ち上がりは装着直後よりも、ある程度エージングを経てから本領を発揮するタイプ。
最初は高域がやや硬く感じられることもあるが、1〜2週間の使用で落ち着き、自然なトーンに変化する。
実際の使用感:ドライブが楽しくなる音質
走行中の車内ノイズに対しても音が埋もれず、ボーカルや楽器の位置がしっかり定位する。
高速道路で音量を上げても、歪みや割れが少なく、音像が安定している点は特筆すべきだ。
長時間のドライブでも聴き疲れしにくく、どんなジャンルでも安心して再生できる。
これが「自然で滑らかな音場再生」を掲げるOpen & Smoothの成果だろう。
とくに女性ボーカルやアコースティックギターの響きは秀逸で、CD音源でもハイレゾ並みの質感を体感できるほど。
ハイレゾ対応を明示しているだけあり、デジタル再生時の解像度も高い。
価格とコストパフォーマンス
実売価格はおおよそ7〜8万円前後。
同価格帯の他社製スピーカーと比べると、音の密度と作りの良さで一歩リードしている印象だ。
海外ブランドの派手さこそないが、長く付き合える“安心感”と“完成度”がある。
特に国産車との相性が良く、取り付け精度や音響特性が車内空間に馴染みやすい点もポイント。
「純正+αの高音質」を目指すユーザーには、理想的なアップグレード候補といえる。
TS V174Sを選ぶべき人
このモデルが特におすすめなのは次のような人だ。
- 純正スピーカーからの明確な音質向上を求める
- ロックやジャズなど幅広いジャンルを楽しみたい
- 長時間の運転でも疲れない音が好き
- 国産品質の信頼感を重視する
一方で、より派手なサウンドや低音の迫力を重視する人には、サブウーファーの追加を検討してもいいかもしれない。
まとめ:TS V174Sの実機レビューから見えた真価
TS V174Sは、単なるスピーカー交換の枠を超え、車内音響を本格オーディオの領域へと引き上げてくれる存在だ。
中低域の厚み、高域の繊細さ、そして広がりのある音場。すべてが自然で、長く聴き続けたくなる音を奏でる。
取付の工夫さえすれば、純正オーディオでも驚くほどの変化を感じられるだろう。
ハイレゾ対応の実力も本物で、音楽好きなら確実に満足できる完成度だ。
静かに、しかし確実に進化したカロッツェリアのVシリーズ。
「TS V174S レビュー」という検索ワードに値するだけの実力が、そこにはある。
