「チョコレートって、こんなに奥深い味だったの?」
初めてUshio Chocolatl(ウシオチョコラトル)の一枚を口にしたとき、そう思わずにはいられませんでした。
カカオの香り、酸味、苦味、余韻──それらが複雑に絡み合いながらも、ひとつの作品として完成している。そんな印象を与えてくれるチョコレートです。
広島・尾道の向島で生まれたUshio Chocolatlは、ただのスイーツブランドではなく、カカオという自然の素材を通じて「感じる」ことを提案する存在でした。
この記事では、ブランドの背景や製品のこだわり、実際に食べた感想、口コミで語られる魅力までをたっぷりレビューします。
Ushio Chocolatlとは?尾道発の“感じるチョコレート”
Ushio Chocolatlは2014年に広島県尾道市・向島で誕生したBean to Bar(ビーン・トゥ・バー)チョコレートブランドです。
名前の「Ushio」は、潮の流れ、朝の海を意味し、瀬戸内の穏やかな自然と人の営みを象徴しています。
創業者の中村真也さんら3人は、チョコレート職人の経験もなく、自らカカオ豆からチョコレートづくりを学びました。
彼らが目指したのは「食べるチョコ」ではなく、「感じるチョコ」。
ブランドのコンセプトでもある「Chocolates not to eat, Feel!(食べるのではなく、感じるチョコレート)」には、素材の背景や作り手の思いごと味わってほしいというメッセージが込められています。
Bean to Barへのこだわり
Ushio Chocolatlがつくるチョコレートの最大の特徴は、カカオ豆の仕入れから製造、包装までをすべて自社で行うBean to Bar方式。
一般的なチョコレートが複数の業者を経由して製造されるのに対し、Ushioでは生産者と直接取引(ダイレクトトレード)を行い、豆の品質や生産背景を確認しています。
この仕組みにより、単なる「産地チョコレート」ではなく、豆の個性そのものを味に反映させることができます。
カカオの種類や産地によって、果実のような酸味を感じたり、ナッツのような香ばしさが際立ったりと、一枚ごとにまるでワインのような個性が楽しめるのです。
シンプルなのに深い。素材が主役のチョコレート
Ushio Chocolatlのチョコレートには、驚くほど少ない原材料しか使われていません。
ほとんどの製品が「カカオ豆」と「きび砂糖」だけ。
乳化剤や香料、ミルクパウダーを使わないからこそ、カカオの香りや酸味がダイレクトに伝わるのです。
初めて食べると、そのストレートな味に戸惑う人もいるかもしれません。
でも、噛みしめるほどに口の中で変化していく香りや甘みの余韻は、まさに自然が生んだアート。
ひとくちごとに「カカオってこんな味だったのか」と新しい発見があります。
味の多様性を楽しむラインナップ
Ushio Chocolatlの魅力は、その多彩なチョコレートの個性にもあります。
たとえば、トリニダード・トバゴ産の豆を使ったチョコはスパイシーでキレがあり、ベネズエラ産のものはナッツのようなコクとまろやかさが特徴。
グアテマラ産は柑橘のような明るい酸味を持ち、ホンジュラス産はしっかりした苦味の中に甘さが潜んでいます。
さらに、ヴィーガン対応のライン「foo CHOCOLATERS」も展開しており、動物性原料を使わず、カシューナッツでミルク感を出す工夫がされています。
ヘルシー志向やライフスタイルに合わせて選べるのも魅力です。
おしゃれで遊び心あるパッケージデザイン
Ushio Chocolatlのチョコレートを見た人がまず驚くのが、そのパッケージデザイン。
正方形のパッケージに描かれるイラストは、旅や自然、宇宙など多様なテーマをモチーフにしており、一枚一枚がまるでアート作品のよう。
ギフトやお土産としても人気で、「見て楽しい、食べて美味しい」という二重の魅力を持っています。
このデザイン性がSNSでも話題となり、「パッケージが可愛くて集めたくなる」といった口コミも多く見られます。
実際、Ushioのチョコレートは“映えるチョコ”としても知られており、開ける瞬間からワクワク感を演出してくれます。
尾道・向島での体験が生む特別な記憶
Ushio Chocolatlは、ただのチョコレート工房ではありませんでした。
本店は向島の山の中腹にあり、木々に囲まれた古い建物を改装した空間。
窓の外には瀬戸内海が広がり、青い空と穏やかな潮風が流れる──そのロケーション自体がブランドの一部でした。
訪れた人は「まるで海外のアトリエに来たよう」と口を揃えます。
カフェスペースではホットチョコレートやカカオドリンクを味わうことができ、香り高く濃厚な一杯が人気でした。
休日の午後、海を眺めながらゆっくりチョコをかじる。そんな贅沢な時間を過ごせる場所だったのです。
実際の口コミと評判
口コミを見ても、Ushio Chocolatlは多くの人から愛されていました。
- 「カカオの風味が強くて驚いた。普通のチョコとはまったく別物」
- 「甘さが控えめで大人の味。少しずつ味わうのが楽しい」
- 「ホットチョコレートが絶品。チョコというより香りの体験」
- 「パッケージが可愛くてプレゼントにぴったり」
一方で、「値段が高い」「アクセスが大変」という声も少なくありませんでした。
でも、それすら「わざわざ行く価値がある」と多くの人が語ります。
味だけでなく、場所・雰囲気・人との関わり──そのすべてを含めて「体験」として評価されているのが特徴です。
生産者とのつながりが生む“優しい味”
Ushio Chocolatlのチョコレートは、美味しさだけでなく、背景にある“関係性”にも価値があります。
ダイレクトトレードによって生産者と直接つながり、公正な価格で取引を行う。
現地の環境や人々の暮らしを尊重しながら、持続可能な形でカカオを仕入れる。
そんな姿勢が、チョコレートに優しさと深みを与えています。
「どんな人が作ったカカオなのか」「どんな土地で育ったのか」。
その物語を想像しながら味わうと、一枚のチョコがまるで旅先の風景のように感じられる。
これがUshio Chocolatlの真の魅力だと思います。
現在のUshio Chocolatlとこれから
残念ながら、向島のUshio Chocolatl本店は2025年に閉店しました。
自然活用村からの撤退により、尾道での活動は一区切りを迎えています。
それでも、ブランドが残した影響は大きく、全国のBean to Bar文化を広めた先駆者として今も語り継がれています。
閉業後も、Ushioの精神を受け継ぐブランドやスタッフが新たな活動を始めており、クラフトチョコレートの世界はさらに広がりを見せています。
「食べて感じるチョコレート」という思想は、多くの新しいブランドにインスピレーションを与え続けています。
Ushio Chocolatlのチョコレート魅力を体験して感じたこと
最後に、個人的な体験をひとつ。
初めてUshio Chocolatlを手に取ったとき、そのパッケージを開ける手が少し震えました。
まるでアートブックを開くような感覚。
香りを吸い込み、ひとかけら口に入れた瞬間、驚くほどクリアな酸味が広がり、やがてやわらかな甘さに変わる。
それは「チョコレートを食べる」というよりも「物語を感じる」体験でした。
たった一枚の板チョコに、世界の気候や人の手、文化、哲学が詰まっている。
その深さこそが、Ushio Chocolatlが多くの人を惹きつけた理由なのだと思います。
今はもう現地の店舗で味わうことはできませんが、Ushio Chocolatlが伝えた「感じるチョコレート」の精神は、これからも多くの人の心の中で生き続けていくはずです。
