スマートフォンの中でも「撮る」「観る」「遊ぶ」体験を追求してきたソニー。その代表作であるXperiaシリーズの中でも、Xperia 1 III(エクスペリア ワン マークスリー)は特に完成度の高いモデルとして注目を集めました。
この記事では、実際の使用感を踏まえて、カメラ性能と処理速度を中心にじっくりレビューしていきます。
Xperia 1 IIIとは?フラッグシップの立ち位置
Xperia 1 IIIは2021年に登場したソニーのハイエンドモデルで、当時の最新チップ Snapdragon 888 5G を搭載。
メモリは12GB、ストレージは256GB(512GBモデルもあり)と余裕のある構成です。
ディスプレイは6.5インチの4K OLED。解像度3840×1644ピクセルという超高精細パネルに加え、120Hzリフレッシュレートを実現。映像やゲームを鮮明に滑らかに楽しめる仕様です。
さらに21:9のシネマスコープ比で、映画視聴時の臨場感も抜群。
ソニーが「クリエイター向け」として磨き上げてきた特徴が随所に感じられます。
カメラ構成と特徴:世界初の可変式望遠レンズ
まず特筆すべきは、Xperia 1 IIIのトリプルカメラ構成。
広角・超広角・望遠の3眼ですが、望遠レンズには 70mmと105mmを切り替えられる可変式望遠機構 を採用しています。
1つのセンサーで光学ズームを2段階に切り替えられるのは、当時として世界初。
この仕組みにより、デジタル処理ではなく物理的なズームによる高画質な撮影が可能になりました。
- 超広角:16mm F2.2
- 広角:24mm F1.7
- 望遠:70mm / 105mm F2.3 / F2.8
- 3D iToFセンサー搭載で高速AF対応
全てのレンズにZEISSレンズが使われ、コーティングによる反射軽減や階調表現の豊かさが魅力。
ソニーのαシリーズで培ったカメラ技術がスマホに落とし込まれた構成です。
写真画質レビュー:目で見たままを再現する描写力
実際に撮影してみると、Xperia 1 IIIの写真は他社のように“派手に盛る”傾向がなく、自然な色味と柔らかな階調が特徴です。
空の青も、花の赤も、見たままの印象に近い。シャープネスを過剰に強調せず、現実的な質感を再現してくれます。
このナチュラルさは、撮影後の補正が前提のユーザーにも好評。
特に広角レンズではディテールが非常に滑らかで、逆光時のハイライト表現も優秀です。
一方で、SNS映えを狙うような「派手さ」を求める人にはやや地味に感じるかもしれません。
望遠レンズのクオリティも安定しており、70mm〜105mm間での切り替えでも解像感をしっかり維持。
光学ズームを活かした中望遠ポートレートは特に評価が高いポイントです。
夜景・暗所撮影の実力
ナイトモードでは黒の締まりがよく、照明やネオンの光も自然な発色。
ただし、手持ちでの撮影では若干ノイズが出る場面もあります。
暗所でのAF性能は優秀ですが、他社の超高感度モードに比べるとやや落ち着いた結果になります。
この辺りは「リアル志向」のソニーらしいチューニング。
派手さよりも忠実さを求める人には心地よい画作りと言えるでしょう。
動画撮影機能:映像制作にも使える完成度
Xperia 1 IIIは動画撮影にも強く、4K HDRで最大120fpsまでの撮影に対応しています。
被写体追従AFや露出制御の滑らかさも◎。
動画撮影アプリ「Cinematography Pro」では、映画のようなルックを再現できるプリセットも搭載されています。
また、マイク性能も向上しており、周囲ノイズを抑えたクリアな音声録音が可能。
外付けマイクとの組み合わせで、YouTubeやVlog撮影でも十分実用的です。
カメラアプリと操作感:プロ仕様の深さ
Xperia 1 IIIのカメラアプリは「Photography Pro」と「Cinematography Pro」の2本立て。
αシリーズのUIを踏襲しており、ISO感度やシャッター速度、ホワイトバランスなどを細かく手動調整できます。
まさに“スマホで使える一眼ライクな操作感”。
一方で、オートモード中心のユーザーにはやや複雑に感じるかもしれません。
ボタンや設定項目が多く、慣れが必要です。
ただ、それだけに使いこなせば思い通りの表現ができる、撮影ツールとしての深みがあります。
処理性能レビュー:Snapdragon 888の実力
Snapdragon 888は、CPU性能・GPU性能ともに前世代の865から大幅に向上しています。
実測ベンチマーク(Antutu)では約80万点前後。
アプリ起動、ブラウジング、写真編集、マルチタスクといった日常操作はもちろん、重い処理でも快適に動作します。
動画編集アプリ「Video Pro」でもプレビュー再生がスムーズ。
大容量データを扱ってもストレスが少なく、パフォーマンス面では間違いなくハイエンド級です。
ゲームプレイと発熱対策
高性能SoCを搭載しているだけに、ゲームの快適さも抜群です。
「原神」や「PUBG Mobile」などの重量級タイトルも、高画質設定・高フレームレートで安定。
21:9のワイド画面もゲーム体験を高めてくれます。
ただし、Snapdragon 888の弱点として「発熱」があります。
長時間プレイ時には本体が温かくなり、性能が一時的に制限されることも。
ソニー独自の「ゲームエンハンサー」で温度やリフレッシュレートを調整しながらプレイするのが現実的です。
また、充電しながらのゲーム中は「HSパワーコントロール」機能でバッテリーに直接電流を流さず、発熱を抑える工夫もされています。
バッテリーと使い勝手
4500mAhのバッテリーは、4Kディスプレイ+高性能CPUという構成を考えると標準的な持ちです。
1日使うなら問題ありませんが、長時間の撮影やゲームでは消費が早め。
急速充電とワイヤレス充電に対応している点は便利です。
また、側面の指紋認証はレスポンスが良好。
顔認証には対応していませんが、マスク時代を考えると指紋で十分という声も多いです。
Xperia 1 IIIの魅力を総括
ここまで使い込んで感じたのは、「尖った完成度を誇るプロ志向スマホ」ということ。
カメラは使い手を選ぶほど多機能で、撮影体験の自由度が高い。
そしてディスプレイ、音質、処理性能のすべてが高水準でまとまっています。
ただ、万人向けの“簡単で華やか”なスマホとは少し違い、どちらかというと「写真や映像を自分で作り込みたい人」にフィットする1台です。
その意味では、ソニーが理想とする“撮る喜びを感じるスマホ”として完成度は非常に高いといえるでしょう。
Xperia 1 III レビューまとめ:今でも通用する完成度
Xperia 1 IIIは発売から時間が経ってもなお、カメラ性能・処理性能ともに現役レベルの実力を持っています。
特に可変式望遠レンズや4K 120Hzディスプレイは、今見ても独創的で先進的。
日常使いから作品づくりまで幅広くこなせる万能機種です。
派手なAI補正ではなく、あくまで撮影者の意図を反映するカメラ。
それがXperia 1 IIIの真髄。
「自分の手で構図を決め、光を読み、仕上げたい」——そんな人にこそ、このスマートフォンは刺さるでしょう。
