家賃がじわじわ上がっている…そんな実感、ありませんか?
「更新時に家賃を上げたいと言われたけれど、これって妥当なの?」
「引っ越しを考えているけど、今の相場がわからない」
「自分が住んでいるエリアの家賃は、これからどうなっていくんだろう?」
こうした不安や疑問を抱えている方は、きっと多いはずです。実は今、日本の賃貸市場は長らく続いた「岩盤」のような状態から大きく変わりつつあります。特に都市部を中心に家賃が上昇を始め、その波は全国の主要都市にも広がっているんです。
この記事では、「家賃値上げの相場」を中心に、具体的な金額や割合の目安、そしてあなたの住む地域別や物件のタイプ別の最新動向を、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。今の家賃が適正か、これからどう備えればいいのか、判断するためのヒントを見つけていきましょう。
家賃上昇は全国的な現象です!地域別の最新動向を見てみよう
まずは大きな流れから。家賃の上昇は、東京だけの話ではありません。ある不動産ポータルサイトの月例調査によると、2025年後半の段階で、全国13の主要エリアの多くで、前年よりも3.0%以上の家賃上昇が確認されているんです。
特にマンションでは13エリア中11エリアで上昇が、アパートでも6エリアで明確な上昇が見られています。では、具体的にどの地域がどのくらい上がっているのでしょうか?注目のエリアとその上昇率をいくつか挙げてみますね。
- 福岡市(マンション・30㎡以下):なんと前年同月比 +14.1%
- 仙台市(アパート・50~70㎡):こちらも +12.8% の上昇
- 東京23区(マンション・30~50㎡): +12.0% と高い上昇率
- 仙台市(マンション・70㎡超): +11.1% の上昇
- 福岡市(マンション・50~70㎡) / 東京23区(マンション・30㎡以下): 両方とも +11.0%
このデータを見て、お気づきになりましたか?上位を占めているのは、なんと仙台や福岡といった地方の主要都市です。東京ももちろん上がっていますが、地方都市の上昇率の高さが目立ちます。つまり、家賃の上昇トレンドは、もはや全国に広がっている現象だと言えそうです。
気になる首都圏、東京23区の家賃は今どうなっている?
とはいえ、やはり家賃水準の高さで群を抜くのが東京23区です。2025年秋頃のデータでは、東京23区の平均家賃はこんな感じです。
- シングル向け(30㎡以下):約 10.4万円
- カップル向け(30~50㎡):約 17.0万円
- ファミリー向け(50~70㎡):約 24.8万円
これらの数字は、いずれも前年より3%以上は上昇しています。特にカップル向けの物件は、2年以上にわたって記録を更新し続けているという話もあります。
でも「東京23区」と一口に言っても、港区と足立区では全然違いますよね。実は、エリアによって家賃水準も上昇のスピードも大きく異なります。2026年から先の見通しも含めて、予測に基づくグループ分けをすると、次のようになっています。
■グループ1:都心の超高級エリア(千代田区、中央区、港区、渋谷区)
坪単価で月4,800~5,300円台とトップクラスの水準。ビジネスや観光の中心地で需要が非常に高く、外国人居住者の需要も追い風です。2026年以降も高い成長率(予想5.0~6.3%)が続くとみられ、絶対額での上昇幅は一番大きくなるでしょう。
■グループ2:主要ターミナル・文化エリア(新宿区、目黒区、品川区、文京区、台東区)
中価格帯(坪単価月3,800~4,200円台)ですが、主要駅や観光地を抱え、需要は安定しています。再開発が進むエリアも多く、こちらも高い成長率(4.8~5.4%)が見込まれています。
■グループ3・4・5:落ち着いた住宅地~郊外エリア(江東区、墨田区から足立区、葛飾区など)
比較的手頃な価格帯(坪単価月2,500~3,700円台)のエリアが並びます。ただし、過去に上昇率が高かったエリアや、再開発で利便性が向上したエリアでは、成長率が4~5%台と無視できない水準で上昇が続く予測もあります。つまり「郊外なら安心」とは限らない、というのが今の市場の現実なんです。
家賃値上げの具体的な「相場」、金額と割合の目安は?
さて、ここからが本題です。「相場」を知りたいですよね。実際に契約更新のとき、値上げの通知がきた場合、いくらくらいが一般的なのでしょうか?
ある不動産関連のQ&Aサイトに集まった実際の声をもとにすると、値上げ額の分布はこんな感じです。
- 最も多いのは「1,000~2,999円」の値上げで、全体の約63.6%を占めています。
- 次に多いのが 「3,000~4,999円」 で、約28.6%。
- つまり、月額5,000円未満の値上げが、実に9割以上のケースだということです。
これを家賃に対する率に直してみると、
- 家賃の「3%未満」の値上げが約35.1%
- 「3~5%未満」の値上げが約33.8%
- 合わせて、値上げ率が5%未満の場合が全体の大半を占めています。
例えば、月額7万円の物件で1,500円値上げされた場合、上昇率は約2.1%。この数字は、上記の相場感からすると「妥当な範囲内」と言えるでしょう。ただし、これは全国的な平均的な目安です。先ほど紹介したような上昇率の高いエリアや物件タイプでは、この範囲を超えるケースも当然出てくることは覚えておいてください。
家賃上昇を加速させる「定期借家」という選択肢
近年、家賃上昇の背景にある大きな構造変化として指摘されているのが、「定期借家契約」の増加です。これは従来の「普通借家契約」とは仕組みが違います。
- 普通借家契約:契約期間(通常2年)が満了しても、借主が更新を希望すれば原則更新されます。家主が家賃を上げたい場合は「正当な理由」に基づいて交渉する必要があります。
- 定期借家契約:契約期間(多くは2年)が満了すると、原則として契約は終了し、借主は退去することになります。双方の合意があれば「再契約」はできますが、その際、家主はまったく新しい賃料を提示できるのです。
この定期借家契約、首都圏では10年前には約4%程度だった割合が、2025年には約12% にまで拡大しています。同じ条件の物件でも、定期借家契約の方が普通借家契約より20%以上賃料が高いというデータもあり、この契約形態の広がり自体が、市場全体の家賃を押し上げる一因になっていると考えられています。
2026年、家賃はどうなる?専門家の見通しと背景にある理由
では、この先、2026年以降の家賃はどうなっていくのでしょうか?市場関係者や専門家の間では、上昇の勢いは続くものの、そのスピードには少し注意が必要という見方が多くなっています。
ある専門家向けのアンケートでは、2026年初頭の賃料見通しについて、「横ばい」が約46.9%で最も多く、次いで「小幅上昇」が約40.1%という結果でした。一方で「小幅下落」と予測する声も約12.9%あり、全てが楽観視されているわけではありません。2025年が上昇のピークだったと見る向きもあります。
しかし別のレポートでは、2026年も賃料上昇のトレンドが続くと分析しています。その背景には、次のような複合的な要因が指摘されています。
- 管理コストの上昇:光熱費、修繕費、固定資産税など、物件を維持するコスト自体が上がっており、家主側の値上げ圧力となっています。
- 住宅購入のハードル上昇:新築マンション価格の高騰と住宅ローン金利の上昇で、「買う」から「借りる」を選ぶ人が増え、賃貸需要を支えています。
- 都市部への人口再流入:コロナ禍で一時的に分散した人口が、再び利便性の高い都市部に戻る動きが続いています。
- 建築費の高止まり:新築物件を供給するコストが依然高いため、賃料を下げる余地が少ない状態が続いています。
家賃値上げの時代を賢く生き抜くための心得
ここまでの話をまとめると、今の家賃値上げの相場は、金額で月1,000~3,000円程度、率で5%未満がひとつの中心的な目安です。ただし、これは全国平均であり、あなたが住む地域や物件のタイプによって、この数字は大きく変わることを忘れてはいけません。東京23区のファミリー向けマンションのように、年間で10%を超える上昇に直面することもあるのが現実です。
では、私たち借り手は、この家賃値上げの時代にどう向き合えばいいのでしょうか?
まずは、自分の住むエリアが今どういう状況なのか、データで知ることです。 この記事で紹介したような地域別の動向は、その大きなヒントになります。
そして、もし家賃値上げの通知が届いたら、すぐに「はい」と言わないこと。 一方的な通告にそのまま従う必要はありません。周辺の同じような物件の家賃相場(賃貸サイトなどで簡単に調べられます)を確認し、自分の契約書を読み返しましょう。普通借家契約であれば、家主には値上げの正当な理由を示す義務があります。相場と照らし合わせて、必要ならば交渉する姿勢を持つことが大切です。
長らく「変わらないもの」と思われてきた家賃が、確実に動き出しています。変化の時代を乗り切るのは、正確な情報と、それに基づく冷静な判断です。自分の住まいと家計を守るために、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。
家賃値上げの相場はいくら?地域別・築年数別の動向から見える未来
いかがでしたか?家賃の動向は、単に「上がっている」だけではなく、地域によって熱さがまったく異なり、その背景には社会全体の複雑な変化が絡み合っていることがお分かりいただけたと思います。
大切なのは、漠然とした不安に振り回されるのではなく、「自分の場合はどうなのか」 を具体的に考えるきっかけを持つことです。引っ越しを検討しているなら対象エリアの相場を、更新時期が近いなら周辺の賃料動向を、まずは調べてみてください。
これからも、自分の住環境と向き合い、時には情報をアップデートしながら、快適な住まい生活を続けていきましょう。
