こんにちは!最近、資生堂のビューラー(アイラッシュカーラー)の値上げが気になっている方、多いのではないでしょうか?
ちょっと待ってください、そうなんです。実は資生堂は2025年4月17日から、一部製品の価格を改定することを発表しました。
この記事では、その中でも特に多くの人が愛用する「ビューラー」に焦点を当てて、値上げの詳細や背景、私たち消費者への影響までを、分かりやすくお伝えしていきますね。
資生堂ビューラー値上げの核心:事実と数字を確認
まずは、皆さんが一番気になる具体的な事実から整理しましょう。
資生堂グループが発表した今回の価格改定は、2025年4月17日に実施されます。対象は、スキンケア、メイクアップ、そして美粧道具を含む合計38製品にのぼります。
値上げの幅は製品によって異なりますが、おおよそ2%から10%の範囲。とはいえ、中には悦薇水(ヴェイパーランチング ソフトナー)のように、9,900円から11,000円へと約11%も値上げされるケースもあるようです。
ここで大きなポイントが一つ。資生堂中国が明言しているように、今回の公式価格改定は、現時点では中国市場には適用されません。日本などでの値上げが直接、日本国内の私たちに影響を与える形になります。
では、なぜビューラーなどの美粧道具も値上げの対象になるのでしょうか?その理由は大きく三つ考えられます。
一つ目は、言うまでもなく原材料費の高騰です。ビューラーを構成するプラスチック、金属(ばね部分など)、ゴム(滑り止めパッド)などのコストが世界的に上がっています。
二つ目は、ブランドとしての価値維持です。資生堂のビューラーは、アジア人の目の形状に合わせた独自のカーブなど、多くの特許技術やノウハウが詰まったアイテム。価格を維持することは、高級ブランドとしてのイメージを保つ上でも重要な戦略の一環です。
三つ目は、シリーズやセット販売との連動です。ビューラーはしばしばマスカラとセットになったり、同じシリーズの製品として展開されたりします。シリーズ全体の価格戦略が見直されると、個々のアイテムにも影響が及ぶのです。
なぜ今? 資生堂値上げの背景にある企業戦略
「また資生堂が値上げ?」と感じた方もいるかもしれません。実はその感覚、あながち間違いではありません。
資生堂を含む高級化粧品ブランドでは、ここ数年、定期的な価格調整が見られます。例えば、ライバル社の一つであるエスティ・ローダーグループは、2020年から2024年2月までの約4年間で、7回前後も価格を変更したと報じられています。
資生堂自身も、直近では2024年2月に同年4月実施の値上げを発表するなど、ほぼ「年1回」のペースで価格改定を行ってきた経緯があります。
では、なぜこのような頻度で値上げが行われるのでしょうか? 公表される理由はいつも「原材料費等の高騰」ですが、その裏側には、企業としてのより深い戦略的な事情が横たわっています。
近年の資生堂は、特に大きな経営課題に直面しています。2024年の第1四半期から第3四半期の累計で、コアとなる営業利益は前年同期比26%減、営業利益に至っては驚くべきことに92%も減少しました。
特に重要な市場である中国での販売も苦戦を強いられており、2023年通年では前年比4%減、2024年の第1~第3四半期累計でも2.4%減と、下降傾向が続いています。
このような状況を打破するために資生堂が打ち出した核心戦略が、「低価格帯の戦線から撤退し、高級ブランドに経営資源を集中させる」というもの。いわば「捨てるものは捨てて、勝てる戦いに集中する」という方針です。
実際、資生堂は「TSUBAKI」「洗顔専科」「UNO」といった大衆向け、低価格帯の事業を他社に売却するなど、大胆な事業のスリム化を進めています。その代わりに、肌のキー(クレ・ド・ポー ボーテ)や資生堂インターナショナルなど、高級スキンケアや日焼け止め分野への投資を強化しているのです。
今回の値上げも、この高級化戦略の文脈で捉えることができます。ブランドの格や利益率を維持・向上させるための一環と言えるでしょう。
さらに、ここに大きな投資失敗の後遺症も影を落としています。2019年に巨額を投じて買収したアメリカの人気ブランド「ドランク・エレファント」ですが、その後、思うような統合や運営ができず、ついには2024年に468億円もの巨額の「のれん代」減損を計上する事態に陥りました。
この大きな傷を癒やし、業績を回復させるためにも、会社は様々な手段を講じる必要があり、価格政策もその重要な要素の一つとなっているのです。
私たち消費者への影響:買い替えか、我慢か、代替品か
さて、肝心の私たち消費者は、この値上げにどう向き合えばいいのでしょうか?
まず、一番シンプルな影響は、手持ちのお財布への直接的な打撃です。同じ商品を買い続けるためには、これまでよりも多くのお金を支払わなければなりません。
これに対し、消費者の反応は分かれるでしょう。「2~3年に一度の値上げならまだしも、毎年上がるのは『ニンジン』をかけられているみたいで嫌だ」と感じ、愛用をやめる人も出てくるかもしれません。SNS上では既に、「値上げするからますます買いたくなくなる」といった本音の声も見られます。
特に今の経済環境では、高級化粧品は「ちょっとしたぜいたく品」として、真っ先に支出を削られる対象になりがちです。ある世界的な調査機関のレポートによれば、半数以上の消費者が「必要ではないものへの支出を減らしている」と回答しています。
しかし、逆に「どうしてもあのビューラーのフィット感が手放せない」という愛用者にとっては、値上げされても購入を続けるという選択肢もあるでしょう。その判断は、ブランドへの信頼と、製品が提供する独自の価値(まつ毛が傷みにくい、長時間カールが持つなど)をどう評価するかにかかっています。
そして、値上げを機に「プチプラ代替品」を探すという行動も、自然な流れです。近年は特に、国産の化粧品ブランドが急速に力をつけています。パーフェクトワンや薇諾娜、カンスなど、自国の消費者のニーズを素早く捉え、コストパフォーマンスに優れた製品を次々と投入。特に5000円以下の中間価格帯では、こうした国内ブランドが国際ブランドのシェアを奪い始めているのです。
消費者の意識そのものも大きく変化しています。かつてのように「海外の高級ブランドだから」という理由だけで盲目的に選ぶ人は減り、「資生堂って、母の世代が使うブランドじゃない?」という認識が若い層に広がるリスクさえあります。今の消費者は、成分、効果、そして価格に対するメリットを冷静に比較する傾向が強まっています。
美粧道具市場の革新:値上げだけではない未来
資生堂のビューラーを巡る状況は、単なる「値上げ」という短期的なニュースだけで語り尽くせません。実は、美粧道具(メイクアップツール)の市場そのものが、大きな変革期を迎えているからです。
例えば、資生堂は以前、「バイオ パフォーマンス セカンドスキン」という画期的な商品を発売しました。これは独自の「セカンドスキン」技術と「3Dフィックス テクノロジー」を組み合わせ、目の下のクマを瞬時にカバーするというもの。
このように、スキンケアの技術とメイクアップの効果を融合させるという発想は、これから美粧道具の分野にも広がっていく可能性が大いにあります。
想像してみてください。温度を一定に保ってまつ毛を優しく巻く「保温機能付きビューラー」、微振動で根元からしっかりカールさせられる「振動ビューラー」、あるいは一人ひとりの目の形に合わせてカスタマイズできる「オーダーメイド弧度ビューラー」…。技術的な進歩があれば、こうした高機能な製品が登場し、それが新しい価値と、それ相応の価格を支える根拠になるでしょう。
そのためには、ブランド側からの適切な「市場教育」 も欠かせません。「ただまつ毛を巻くだけの安価な小物」ではなく、「まつ毛の健康を守りながら、理想的なカールを長時間キープするためのプロフェッショナルな美容ツール」であるという価値を、どう伝えていくか。
成分にこだわる「スキンケア化粧品」と同じように、道具の機能性や設計思想にこだわる「ツールマニア」のような層を育てていくことも、市場を成熟させ、適正な価格を受け入れてもらう上で重要です。
資生堂の次の一手:値上げ先に見える企業の転換
この先、資生堂が私たち消費者に値上げ分の価値をきちんと実感させ、納得してもらえるかどうか。それは、会社全体の大きな方向転換の成否にかかっています。
資生堂は今、かつてないほどのスピードで現地化(ローカライゼーション) を進めています。特に中国市場では、単なる「販売会社」から、「投資家」「共同革新者」としての色合いを強めているのです。
その象徴が「資悦基金」という投資ファンドの設立です。このファンドを通じて、資生堂は中国の新興ブランドや先端技術企業に出資しています。例えば、再生コラーゲンで注目を集める「創健医療」への投資がそれにあたります。これは将来の成分トレンドを押さえると同時に、現地市場の鼓動を直接肌で感じるための巧妙な布石と言えます。
また、中国農業大学栄養・健康研究院との間で「皮膚健康共同研究所」を設立するなど、現地での研究開発(R&D) にも本腰を入れ始めました。これまでの「日本で生まれた革新を中国に持ってくる」という一方通行のモデルから、「中国で、中国のため、そして世界のための革新を生み出す」という新しい段階への移行を意味します。
さらに、資生堂が今後大きく成長させたいと期待を寄せている分野が、「インナービューティー(内側からの美容)」、つまりサプリメントなどの経口美容領域です。
資生堂はこれを、スキンケア、メイクアップに次ぐ「第3の柱」として位置付けるため、グローバルオーラルビューティー事業部を新設しました。そして、「INRYU流之律」というブランドで、中国消費者好みの「アンプル飲料」タイプの商品(10本入りで約788円)を発売するなど、本格的な参入を果たしています。
その背景には、経口美容市場の急速な成長があります。世界市場は2030年までに約1兆1000億円規模に達すると予測されており、資生堂は「外側からと内側からのWのケア」を求める消費者の高度なニーズを取り込み、新たな業績のエンジンにしたいと考えています。
もちろん、人事面でも変革は進んでいます。ロレアルなどライバル企業での豊富な経験を持つ新たな責任者をアジア太平洋旅行販売事業に起用するなど、重要な販路の立て直しを図っています。
こうした数々の取り組みは、すべて「2025-2026年行動計画」という中期戦略に集約されます。その目的は、ブランドの基盤固め、収益基盤の再構築、経営管理の向上。そして、2030年までに営業利益率10% を達成するという明確なゴールが設定されているのです。
まとめ:資生堂ビューラー値上げが教えてくれること
いかがでしたか? 一つのビューラーの値上げというニュースの裏側には、原材料高という単純な話から、国際ブランドのグローバル戦略、業界の競争構造の変化、そして消費者の意識改革まで、実に多くの物語が絡み合っていることがお分かりいただけたでしょうか。
資生堂ビューラー値上げは、単なる価格変更の通知ではありません。それは、グローバルな市場の変化、国産ブランドの台頭、そして自らも変革を迫られる大企業の苦闘が交差する、一つの「結節点」なのです。
私たち消費者は、このような変化の中で、より賢い選択をすることが求められています。値上げされたからといって、すぐに飛びついて買う必要もなければ、逆に感情的に敬遠する必要もありません。
大切なのは、その製品が本当にあなたに必要な価値を持っているかどうか。デザイン、機能、使用感、そしてブランドが込める物語。それらを総合的に天秤にかけ、「これは自分への投資だ」と納得できるかどうかを見極めることが、これからの消費のあり方ではないでしょうか。
資生堂をはじめとするブランドが、これからどのような革新で私たちを驚かせ、納得のいく価値を提供してくれるのか。市場の動向と合わせて、これからもウォッチしていきたいですね。
資生堂ビューラー完全値上げ情報をきっかけに、化粧品との付き合い方について、少し考えてみる時間になれば幸いです。
